「杉並第一小学校建替え」めぐる疑問
2016年1月4日

 けやき公園プールを2017年11月いっぱいで廃止し、撤去する計画を杉並区は進めているが、この理由は、杉並第一小学校の建て替えにともなって、仮設校舎を建てるというものだ。しかもただの建て替えでなない。「地上4階地下1階、地面ゼロで屋上運動場」か「地上8階、地下1階、地上運動場」といった複合施設にするという。

 しかし、この建替え計画をめぐってもぬぐいがたい疑問がある。学校支援課によれば、現在の校舎の老朽化を理由にあげる。54年~57年を経ているからだ。たしかに古いが、じつは2011年にざっと1億円をかけて耐震工事を行っている。あわてて建替えをしなければならない状況とは思えない。

 もうひとつの理由として同課は「維持費の削減」をあげた。阿佐ヶ谷区民センター、産業商業センターという区営施設をそれぞれ取り壊し、杉並第一小学校の敷地にあらたにつくる複合施設にまとめてしまえば、カネがかからないのだというわけだ。

 では、複合施設の建設費をどれくらいに見積もっているのか。学校支援課の課員にたずねたところ、意外な答えがかえってきた。「わからない」というのだ。おおまかな予算の目安もないのか、と追及したが「設計してみないとわからない」と繰り返すばかりだった。

 課員の話が本当であれば、いくらかかるかわからないまま「複合施設」の新築にゴーサインを出したことになる。先に述べた通り「耐震」という理由もあやしい、コストの面でも、はたして本当に経費削減になるのか疑わしい。

 たしかなのは、区の土地が更地になり、工事会社がもうかり、阿佐ヶ谷区民センターや産業商工会館という公的施設が消え、そこで働いていた職員が失業するということである。