さよならレナード じゃぁまたねマリアンヌ | 鳥肌音楽 Chicken Skin Music

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WRITING ABOUT MUSIC IS LIKE DANCING ABOUT ARCHITECTURE.

レーナードLeonard Choen/So Long,Marianne



窓際へおいで 僕の可愛い人
君の手相をみてあげる
時々思い出すんだ
君を家に連れてくるまでの僕は
ある意味ジプシーのようなものだった
じゃまたね マリアンヌ 新しい始まりだよ
笑い泣き 泣き笑う 昔と全く一緒さ

君と暮らしたいという気持ちは分かってるだろ
だけど君は僕とのこと忘れたがっている
僕は天使のために祈るのを忘れ
天使は僕たちのために祈るのを忘れる

じゃまたね マリアンヌ 新しい始まりだよ

出会ったころ僕たちは子供だった
ライラックの緑の中で
僕が磔のキリスト像であるかのようにすがった
そして闇に向かって膝まづいた

じゃまたね マリアンヌ 新しい始まりだよ


ニュー・アルバム『ユー・ウォント・イット・ダーカーYou Want It Darker』についてのニューヨーカー誌のインタビューの中にレナード・コーエンの60年代の恋人(文中ではミューズつまりレナードにインスピレーションを与えた人という意味)マリアンヌが今年の7月に亡くなった時のレナードとマリアンヌのやりとりが書かれているのを読んで思わず目頭が熱くなってしましました。

今年の7月にレナードはマリアンヌの親友のジャン・クリスチャン・モレスタッドからマリアンヌがガンに冒されているというEメールをもらいます。マリアンヌとレナードの最後の連絡はマリアンヌがビーチ・ハウスを手放したという話だけで病気のことには触れていませんでした。Eメールではマリアンヌの余命は数日となっていました。

レナードはすぐにマリアンヌへの返信を送りました。

あぁマリアンヌ
とうとうこんな時がやってきてしまった
僕たちは本当に年老いてしまい
身体もバラバラになってしまうんだ
でもきっと僕もすぐに君を追いかけるよ

僕はきみのそばにいる
もしきみが手を伸ばしたら
きみの手に触れるところにいるよ

そしてきみの美しさとかしこさを
いつだって愛している
だけど それ以上のこという必要はないね
きみはもう十分に知っているんだから

君の旅が素敵なものだといいな

さよなら友よ

終わりのない愛 道の先で合おう





2日後、レナードの元にノルウェーから返信が届きます。

親愛なるレナード

マリアンヌは昨晩ゆっくりと眠るようにこの世を去りました。

友に囲まれ 安らかに

あなたの手紙が届いた時、彼女の意識ははっきりしていました。
我々が手紙を読み上げると マリアンヌはいつもの笑顔をみせました。
「手が届くくらい近くにいる」と言うところでは 手を伸ばしてみせました。
あなたが彼女の状態を知っているということで彼女は安心しました。
そしてあなたからの旅立ちへの祝福は彼女に勇気を与えました・・・

最後の時、私は彼女の手を握り「電線の鳥」をハミングすると
彼女の呼吸はとても安らかになりました。
彼女の魂が窓から飛び出し新しい冒険に旅立ったあと
私たちは彼女の頭に口づけし
あなたの永遠の言葉を彼女にささやき、病室を出ました

じゃまたね マリアンヌ・・・


Leonard Cohen - Bird on the Wire 1979



「僕もきみをすぐに追いかけるよ I think I will follow you very soon」

本当にマリアンヌを追いかけて逝ってしまったレナード・コーエン。
この世からレナードが居なくなるのは寂しいけれど
レナードの道の向こうには 微笑むマリアンヌが待っている
すてきな旅だねレナード

R,I,P,