ヨットレース | 雨 風 呂

ヨットレース

航空券あげると言われたらどこへ行く? ブログネタ:航空券あげると言われたらどこへ行く? 参加中
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$雨 風 呂
☆若洲海浜公園より舞浜を望む

航空券あげると言われたら・・地中海の国々を全て旅したいです♪ о(ж>▽<)y ☆

前の日記、「移動秘密基地」 で 夢の一つに「ヨットで海外を旅したい」と書いたんだけど・・

それには漠然とした希望と言うより、「海での生活」と言う憧れがあるのです。



自分がヨットに興味を持ったのは昔、東京に戻って家業を継ぐ前、

つくば市宇宙センターでSEをやってた頃です。

当時自分が活動してたのは霞ヶ浦土浦のヨットハーバーでした。(職場のつくば市から近かった)

当時の職場の同僚(当時ライバル会社、後に協力会社に)で社長!と呼ばれるY氏(本当に社長だった)

は自分より少し年長だが、若くして2つの会社を経営する人物だった。

彼は好奇心旺盛で頭も良く性格も良かったので、人間的にも尊敬し慕っていた。

東京に写真関係の会社も持っていて写真に関して面白い話を良く聞かせてもらった。


その彼が中古のヨットを購入し(確か40万円位)船主にして船長になったのだ。

彼は無線にも詳しかったので間もなく小型船舶一級も取り、外洋にも出れるんだぞ?と自慢していた。

それを聞いて俺は何処へ連れて行かれるんだろう?とちょっと心配した。

実際は霞ヶ浦から利根川経由で太平洋へ出るのは難しいんだけどね。


もちろん最初は何も知らないのでロープの結び型や帆の張り方、

畳み方、交換の仕方など、何度か乗せて貰ううちに教わっていった。

4~5人乗りの船室のある小型の船だったが帆の操作は気を許せない物だ。

帆のブームが回転して頭を割る話も良く聞く。

まして帆の交換になると狭い甲板の上は修羅場となる!

初めのうちは言われる通りに動くだけで余裕もなかったが、段々とヨットの魅力に惹かれていった。

こんな贅沢な時間の使い方も有るんだなぁ、と。


動力を使わず自然の力を味方にし、船を操ると言う事が楽しくなってきたのだ。

出航する時はいつも向かい風だったのでタッキング(風を遡る)の練習には好都合だった。

帰りは殆どジャイブ(風下での転進)でのらりくらりと比較的楽に帰れた。

が、これが後に問題になり苦労する事となる。


こう言う事もあった。

衛星打上リハーサル業務役務の日・・

仕事が早めに一段落した午後のY氏との会話。

「社長!良い天気ですねぇ?」

「すがぴーさん、良い天気ですね。」

「こんな時に仕事しているなんてもったいないですねぇ?」

「行っちゃいますか?」

「え!行くんですか?」

「行かないんですか?」

「行きましょう♪」


ネクタイ姿でヨットハーバーを出る。空いている! 当たり前だ、平日の昼間だから。

いつもは邪魔なウィンドサーフィンも居ない、我が物顔で避けもしない遊覧船も居ない。

にわか船長とにわか船員の見習いはもう天下を取った気分だ。

地元の漁師も怪訝そう。

そりゃ、ネクタイしてにやにやしている2人がヨットに乗ってるんだからね。

この時は午後から乗り始めたので帰るのが遅くなってしまったが、

なんとか駐車場の閉鎖時間に間に合った。(日没後の操船も危険)


他にも彼の会社の社員や俺の友達も何回か付き合ったが余り乗る気じゃなかったようだ。

(一緒に船舶4級取ろうね?と言って居たのにそのままになってしまった)

俺はY氏の「すがぴーさん、酔わないね?ヨットに向いているね?」

の言葉でその気になったのかも知れない。


皆、経験は少なかったが、ここ霞ヶ浦は穏やかで初心者には打って付け!

しかも琵琶湖の次に大きい湖だ。この事は毎回何処まで行けるか?と言う楽しみにもなった。

でも、殆ど向かい風でジグザグに遡るため何キロも行けなかったのが現実。


こんな事もあった。いつものように離岸して調子良く沖へ出て快適なクルージングを楽しんだ後、

Y氏の「そろそろ帰りますか?」の言葉で西の空に目を向ける。

もう、日没が近い。「はい。」と返事をしジャイブする。

風の弱い日ならスピンネーカー(追い風用のパラシュートの様な帆)を張るのだが、

面倒だしいつもメインセールとジブセールで追い風を受けるので充分だった。

が、それどころではない!まったく風が無くなってしまったのだ。

暫く様子を見るか?と言っていたが、燃料も無い事を思い出すと真っ青になった。


必死に風を探す。が、湖面はどこも凪いでおり鏡の様に景色が写っている。

土浦港からだいぶ来てしまった。自衛隊の基地の近くまで来てしまっただろうか?

風見もだらしなく垂れている。遥か遠くの岸辺に僅かに風が見えるだけ。(湖面の小波が見える)

暫く手の内が無く夕日を眺めているとようやく風が吹き出した。

言われるまでも無く配置に付き帆の操作に取り掛かる。

ちょっとマジになったが、皆安堵の表情。

確かに日没頃には一瞬、風が止まることが有るんだけど、

この時は日没直前だったし凪いでる時間も長く、燃料も無かったからにね。

どうなる事かと思ったよ・・。


そんなこんなで指示道りには動けるようになってきた頃の11月。

Y氏と交流の有る地元のローカルレースに参加する事となった。

ヨットレースがどういう物かも分からず、いいよ?と返事した物の、ちょっと不安ではあった。

当日、友達のA氏も含めて3人で待ち合わせてみると、自分達の船がなんと小さく見える事か。

金持ちの趣味なんだろうが外洋に出れるような甲板に舵輪が付いてて大きくかっこいい船が目をひく。

うちのはエンジンは外付けだし舵も棒が付いてるだけ。(舵は右に倒せば船首は左に曲がるという代物)

まぁ、せいぜい頑張るべ?で、タイムキーパーの管理の元次々と離岸する。


なんせ11月である。寒い!風向きも夏とは違う。しかも風が強い。

一応レースなので目一杯帆に風を受ける体制をとる。

その所為で船体が大きく傾くので縁が水面に着きそうだ。べたっ!と倒れないのが不思議な位。

もちろん何かに捕まって居ないと落ちるので反対側に2人で座って反り返っている俺とA氏も必死である。

それでも大型のクルーザーはあっと言う間に小さくなって行く。所詮帆の大きさが違うからね。

まだ近くに我々に同クラスの船が居たがそれが気休めだった。その時までは。


前半は風に向かって転身するタッキングの連続だったが、

ブイを廻ってコースを折り返すと今度は強風の中、追い風となる。

ブイに近づくと遥か彼方には追い風用の巨大な帆を誇らしげに張った船が競い合っているのが見える。

Y氏の「スピンネーカー!」の声で帆の交換の準備。

が、いつも追い風で楽をしているのがたたって強風の中での作業は勝手が違い、手間取ってしまった。

追い風用帆の張り方の手順も悪かったし、タイミングも悪かった。

ワイルドジャイブだ!(風に煽られて勝手に転進してしまう。)


しかも帆はとっくに風の中に投げ出されているのに強風でロープを制御するウィンチにセット出来ないのだ。

必死でロープを手繰り戻そうとしているが、指も寒さと疲れからしびれてきた。

ウィンチにどうしてもセット出来ない。

帆で受ける風の力は強力で、ロープを握っている2人共連れていかれそうだ。

「無理だ、回収!」Y氏の決断で帆を畳み、ジブとメインセールでジャイブする事となった。

無念だった。Y氏もスピンネーカーを使えると思っていたのに信頼を裏切ってしまう結果になってしまった。

そう、今までにも帆の交換はやってきた事なので肝心の時に成果が発揮出来なかった自分に腹が立った。


視界の何処にもヨットの姿は見あたら無い。完全に置いてきぼりを食ったのだ。

ヨットハーバーに戻るとY氏に知り合いが明るく話しかけてきたが俺は笑えなかった。

すでに表彰式も終わり、宴会も終盤だった。

他にする事も無いのでテーブルに用意された食べ物やビールを飲む。


Y氏がヨット仲間から戻ってきてびっくりすることを言う。

自分達の前にブイを曲がり損ねた船が居るのだ。つまり、その船は失格となる。

なんとビリでは無い!ブービー賞だそうだ。この時は声を挙げて喜んだ。

A氏も笑っていたがY氏も嬉しそうだ。

Y氏はいつも盛り上げてくれるが、こんな散々な結果でも賞が取れたのが救いだった。

来た甲斐が有ったなぁと思える瞬間だった。

帰りは和やかな雰囲気で別れた。まぁ、自分の至らないところは避けられない事実だったが。


毎年11月になると思い出すヨットレースの事。

その後土浦には何回か行ってるが、最近、Y氏は元気でやってるだろうか?

この前に行った時はいつも係留していた場所にはヨットは無かった。

陸に揚げて格納してあるかも知れない。しかし、知人も噂を聞かないと言う。

自分も霞ヶ浦で会ったきりだ。土浦を引き上げたと言う噂もある。

ヨットに連れてきた友達の中に綺麗な女の人が居た事も有ったし、当然結婚もしているだろう。

自分も東京に戻って随分経つが、こちらでも会える事があるかな?

ネット上で俺を見つけられれば良いのだが?


当時、新木場(夢の島)に新しいヨットハーバーが出来るそうですね?

と言っていたのを思い出し何回か見て来た事も有ったが確認出来なかった。

また昔の仲間を集めてやりたい物である。

ヨットハーバーと言う処はロマンチックで絵になるので、よくアベックも訪れる。

自分も昔、その時の彼女を話の種に何度か連れて行った事もある。

中にはこれも自分の船でも無いのに係留してあるヨットに乗ろうとしているアベックも居る。

しかし乗せた足に体重を掛けるのでヨットは離れていき、よく股裂き状態になるのだ。

そんな時はこうやって乗るんだよと、これ見よがしにヨットに乗って見せる。

「あらヨット!」



$雨 風 呂

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記事の幅を広げてみました!

greengreen さん、PiNKICKさん、アドバイスありがとうございました♪

m(^-^)m
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