この作品、帯広在住の作家・鳴海章の小説「輓馬」が原作。
鳴海章と言えば、相米慎二監督の映画「風花」の原作者として有名な方です。
実は、「輓馬」という作品も、相米慎二監督が映画化を熱望していたのだが、2001年に他界し、実現できなかったものだったんです。そして、ともに日本映画界を牽引してきた根岸吉太郎監督が、その意志を継いで実を結んだ作品なんです。
先日、自分のブログ(映画「透光の樹」)で、根岸監督といえば、エッチなシーンばかりで…っていうようなことを書いてしまったのですが、前言撤回ですね。この映画には、そんなものはありません…。そんなものはなくても、本当に素敵な映画でした。
実は、わたし、秋田十文字映画祭で、根岸吉太郎監督がお隣の席だったんです。
「どっかで見たことあるな~、この人… あ、根岸監督だ~」
え~っと、とっても素敵な方でした。けして、エッチな映画ばかりではありません…
物語の舞台は、北海道帯広にある「ばんえい競馬場」。
ばんえい競馬は、みなさんわかりますよね~。もともとは、農耕馬だった輓馬(ばんば)が、数百キロもあるソリを引きながら障害を越える激しいレースです。わたしも、一度帯広に行って見たことがあります。普通の競馬と違って、スピード感を楽しむものではなく、その過酷なレースゆえに、ある意味別の感動があります…
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都会に出て会社を作ったが、借金を作って逃げ帰ってきた弟(伊勢谷友介)と、輓馬の厩舎を仕切っている兄(佐藤浩市)の兄弟が、とっても魅力的に描かれている作品です。
兄、佐藤浩市が、この作品では最優秀男優賞を受賞しています。頑固者で、無口で、厳しい態度で、厩舎を細々と仕切る素敵な役でした。(イメージぴったりでした…)
弟、伊勢谷友介は、都会で会社を倒産させ、妻と別れて地元に戻ってくるいい加減な役を熱演。この青年が、まわりの仲間や家族に支えられ、再生していくお話です。
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脇を固める小泉今日子、吹石一恵、山崎努など、個性的な役者さんたちも、素敵でしたね。
そして、脇を固めると言えば「ウンリュウ」など輓馬たちのがんばりも…
200m直線コースには、大きな障害(坂)が2つ。スピードだけでなく、馬のパワー・持久力、騎手の腕も大事。一気に攻めたり、一息ついたり、駆け引きが大事。成績のふるわない女性騎手(吹石一恵)とピークを過ぎた馬の物語も大きな見どころ…。何しろ成績不振の輓馬は、なんと食肉にされる運命に…
この映画で、一番好きな映像…
朝もや(朝焼け)の中を、白い息を吐いて歩く輓馬たち。すごく好きです。馬好きにはたまらない!
傷ついた心、北海道の大地の上、人のぬくもりに触れ、また歩き出す…
とっても、いい話です! 根岸監督ですが、エッチなシーンはありません!