昨日のブログじゃ物足りないぞ…という厳しくも温かいツッコミをいただき、再度チャレンジすることにしました。本日も、映画「夜の大捜査線」でお楽しみください。
原題は 「In the Heart of the Night」(夜の熱気の中で)です。
第40回アカデミー賞作品賞受賞作品です。
まだ露骨な黒人差別のあった1960年代半ば。
アメリカ南部のとある田舎町で起きた殺人事件を巡るストーリー。
この映画の価値は、ただ作品として優れているだけではなく、時代の空気 ~特に、アメリカ南部における黒人たちの立場を~ リアルに(熱く)感じさせる巧みな演出で見せてくれることにあります。
当時の人権問題に関する事件…
1965年 黒人投票権法(公民権法)成立。
黒人解放運動の指導者「マルコムX」暗殺。
LAのワッツでは、歴史上最悪の黒人暴動が起きる。
1966年 黒人解放運動組織「ブラックパンサー党」設立。
キング牧師の提唱した非暴力から暴力容認へと変化。
黒人による暴動が多発。キング牧師は、黒人たちから離反を招く…
1967年 モハメッド・アリ、徴兵を拒否し世界タイトル剥奪。
映画の中では、ほとんど奴隷時代と変わらない労働を強いられている黒人たちが働く綿花農場が映し出されています。
黒人刑事の捜査の様子を、白い目で見ている住民たち…。黒人刑事は、町の差別主義者たちに命まで狙われることに…。
そして、ことごとく捜査方法に対立する白人警察署長…。しかも、その白人警察署長たらものは、頑固で無能な男。
この当時、ここまでリアルに人種差別問題に取り組んだ映画は、ほとんどなかったとのこと…
昨日は、正直どのようにまとめようか、全く自分の中で整理できないままの更新だったのですが、当然助演男優賞でしょう…という、警察署長のビル・ギレスピー(ロッド・スタイガー)が、アカデミー賞最優秀主演男優賞をもらっていることも、この時代ならでは…だったのかもしれない?
敏腕黒人刑事を演じているヴァージル・ティッブス(シドニー・ポワチエ)は、人種差別のひどい南部での撮影を拒否し、ほとんどの撮影はイリノイ州で撮影を行ったとのこと…。この映画では、完全に主役ではあるが、当時のいろいろな影響がここにもあったのだろう…。実は、このシドニー・ポワチエは、黒人で初めてアカデミー賞主演男優賞を受賞した男である。
人種差別っぷりの凄さが目立つ作品ではあるが…
白人警察署長ビルと黒人刑事ティップスが一緒にお酒を酌み交わすシーン…
ラストの見送りのシーン…
「白人と黒人が融合する新しい時代のはじまり」を印象づけた場面だったと思います。
その45年後、黒人初めての大統領の誕生…
その当時には、まったく考えられなかったことだと思いますね…