若宮啓文さんのご冥福を祈りながら、日中韓の未来を考える | おもしろき こともなき世を おもしろく -呼び起こせ!アジアの涙!!-

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昨日は、日本国際交流センターが主催する

「だから“日中韓”―絆の再発見」という連続セミナーに参加してきました。

 

今回のテーマは「アメリカと語る日中韓」(詳細はこちら)。

 

ゲストスピーカーが、日中韓とアメリカの4カ国から一人ずつ。

アメリカからは、コロンビア大学名誉教授のジェラルド・カーティスさん。

中国からは、東洋学園大学人文学部教授の朱建栄 (シュ・ケンエイ)さん。

韓国からは、ソウル大学校国際大学院教授、日本研究所長の朴喆熙 (パク・チョルヒ)さん。

日本からは、作家であり元新日中友好21世紀委員会委員の石川好さん。

 

それぞれの立場からの、

「日中韓の関係をどうとらえるのか」

という話題がとても興味深かったです。

私がメモしてポイントだと感じた部分を列挙します。

 

日中韓の関係が悪化したのは中国の台頭にあること。

韓国は、北朝鮮との関係を常に意識する必要があり、

中国、アメリカとのバランス感覚ある外交が必要であること。

日韓関係は日本側の歴史修正主義の濃度に左右されること。

 

中国は、大国化していることに中国自体が戸惑っている状態にあること。

まるで体がどんどん大きくなっていくけど、そのことに慣れていないようなもので、

対日、対米の外交意識は被害者意識から自由になっていないこと。

中国から見れば日本は、自分たちのことを過小評価しているきらいがあり、

中国も韓国もはじめ海外からは一目置かれていること。

 

日本は、韓国の南北分断、中国と台湾の問題も、

植民地支配による一番の当事者であるにも関わらず、

その責任をアメリカに求めていること。

敗戦後、表面上ではアメリカの意向を受け入れてはいるが、

無意識的には如何ともしがたい反米意識が眠っていること。

 

アメリカは、日中韓との関係に「安定とバランス」を求めていること。

日中韓の関係が悪化することは、アメリカが困ること。

歴史問題で3か国が未だに摩擦を起こしているが、

アメリカから観れば、それは既に賞味期限が切れた話題であること。

 

ざっくりとですが、そのような話でした。

 

私が感じたことは、

韓国は、北朝鮮、中国、日本、アメリカとの関係の中で、

どう立ち振る舞うのかに苦労する現状にあり、

中国は、表面上は大国になったけれど内面が追い付いていない状態で、

アメリカは、自国を中心とした日中韓との関係であり、

その中で日本は、無意識深いところに反米感情を抱えているんだということ。

 

それぞれの国の立場と観点があるから、どれもその観点に立ってみればうなずけます。

 

きっとお話をする方が変われば、また違った観点からの現状診断があると思いますが、

ともあれ、今はこう言った現状があるならば、

次に関心の向かう先は、アメリカはひとまず置いておいて

日中韓の”これから”はどうなっていくのか?

 

私は次の3つが必要だと思います。

 

1つ目は、「問題の原因がどこにあるのか、その明確な診断」です。

今の日中韓の関係性が理想的な状態ではないとした時に、

なぜそうなっているのか、問題の根本原因をはっきりとさせることが必要です。

 

2つ目は、「どこに向かっていくべきなのか、共通の未来ビジョン」です。

日中韓という3カ国が、お互いの国を中心に据えたビジョンではなくて、

お互いに肩を組んで歩むことができる共通の未来ビジョンを提示することが必要です。

 

3つ目は、1つ目が現在地の診断、2つ目が理想のとするならば、

「現在地から理想までを具現化することができる道具」です。

理想を訴えるだけではただの理想論者ですし、

現実を見るだけではリアリストで変化をつくりにくい。

現在地と理想という両極を描いた上で、

そのギャップを埋めることができる”道具”が必要です。

 

この3つを同時に満たすことは可能なのか不可能なのか。

可能にした新しい技術が、認識技術・観術です

 

 

ゲストスピーカーの一人、カーティス名誉教授は大学で教える中で、

日中韓の若い学生たちを見ると楽観的になると言っていました。

アメリカに留学する日中韓の学生たちが、

カーティスさんの日本に関する授業を受講するようになって、

お互いに友達になったり仲良くする姿を見るんだと言います。

40年以上教鞭をとる中で、それは最近起こり始めた出来事らしく、

特に東日本大震災以降、その傾向が強まったそうです。

 

国と国という枠を超えた民間からの交流、

しがらみを超えた若者同士の交流。

カーティスさんのようなキャリアを持った方がここに可能性を感じていることに、

大きな意味があると思います。

 

外交や政治となると、”国という服”を着なければならない。

しかし、一個人に戻れば”同じ人間”です。

国という観点を脱いだ交流ができるのかどうか。

簡単なようでいて実現できていないことです。

 

これを可能にするために、さっきの3つを満たすことが必要だと私は思うのです。

 

明日のHITOTSU学公開講座のテーマは、

「太平洋の両雄 日米160年史の未来」

国際政治に詳しく、明確な未来の代案を語る内海昭徳さんの講座が、

より一層楽しみになりました。

 

 

最後に、

この連続セミナーのコーディネーターであり元朝日新聞主筆の若宮啓文さんの、

東アジアの未来のために奔走されたご遺志を尊敬するとともに、

心からご冥福をお祈りいたします。

 

呼び起こせ!アジアの涙!!

すっちゃ