小泉改革による新司法試験に怨唆の声続出
小泉改革の一環新司法試験に怨唆の声が集中 している。定員割れにより事実上の学費免除制度 が登場する、合格率情報のために司法試験を漏洩する 等Law schoolならぬLow schoolだと揶揄されんばかりに無軌道な法科大学院の乱立により当初7～8割を想定していた合格率はついに3割を割り込み、また法科大学院を経由せずに司法試験を受けるための予備試験は平成23年度開始予定と制度移行に手落ちが有るため、一部で「新司法試験は法科大学院の職員を食わせるために導入された」と痛烈な皮肉をかまされている。
この制度の成立過程について大学再編と司法改革-批判的検討 より抜粋引用すると、中曽根政権時代に米共和党追従政策の一環として規制緩和による訴訟増加に対応して法曹数を増加させるために検討開始されたのが大元であり、その後の小泉改革による大学独立行政法人化と絡めると、独立した、そして権力に対してモノを言うような法律家を育成出来るとは到底思えない制度に仕上がってしまったようだ。
また法科大学院は都心部に集中するため大量の学費および生活費が必要とされるため、貧民が法科に進んで立身すると言う道は予備試験制度の開始遅れの件も合わせ考えると一段と険しいものになっていると言えよう。
このように派遣制度以外の面でも格差を拡大する方向にしか動いていない小泉改革は大いに見直しの余地が有る。新司法試験とセットで成立した裁判に余計なコストがかかる裁判員制度もその対コスト効果が疑問視される今、小泉法制改革にメスを入れていくことが求められているのではないか。
筆者の知り合いの公務員は「小泉時代は緊急で法令が制定、公布されたため公布日に窓口で説明が出来ないほどであった」と述べるように、小泉内閣は法令の拙速乱造によりバブル崩壊以降の社会の混乱に拍車をかけた一面も有ろう。
