うつ病について考えたこと その2 ~人と比べる病気なのか?~
昨日記事にした「 うつ病について考えたこと その1 ~何故うつ病は理解されにくいのか?~ 」。
既に色々なご意見を頂いており、有意義な内容になっている気がします。
今日は第2弾。
「人と比べる病気なのか?」ということについて綴りたいと思います。
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昨日の記事でもそうですし、このブログを通して私が書き続けていることは「うつ病の症状は十人十色」ということ。
そして、「同じうつ病はこの世に2つと存在しない」ということ。
だとしたら、次に疑問としてあがるのはそもそも「人と比べる病気なのか?」ということかなと…。
うつ病になる原因は色々ありますが、例えば人間関係。
人間関係一つ取り上げても同じケースというのは存在しないと思うのです。
そもそも人間は異なる環境で育っています。
ですから、まったくのコピーというのは存在しないと思います。
だとしたら、「人間関係で悩んでいる。」と言っても本人、相手の環境次第で何億というパターンが存在すると思っています。
ここまではうつ病になる原因は人それぞれということを簡単に述べましたが、闘病生活においても同じことが言えると思っています。
「うつ病で闘病生活を送っています。」と言っても全員が全員同じ環境とは限らないですよね。
むしろ同じ環境なんて存在しないと思っています。
例えば私の場合。
ブログを開始した頃に書いていますが、うつ病を発病したトリガーは仕事でした。
激務が続いて、いくつかの並行で行っていた仕事がある時一斉に終わりました。
その時、「燃え尽き症候群」のような症状が出て、「もうこの仕事はしたくない。」という気持ちになりました。
結果的に「抑うつ状態」になってしまい、それを理由にとりあえず4年以上常駐していたお客様先を退き、一旦本社に戻されました。
ただ、本社はその時大きな人事編成を行っていた時期で、部署異動を希望している人の面倒を見れる状態ではありませんでした。
そして、5ヶ月、何も仕事が与えられないまま、ただ出社する日が続きました。
当時「マーケティング」をやってみたいと思っていたので、研修などに参加したり、書籍を買っては読んだりしていましたが、実際に配属される保障もない状態での5ヶ月。
徐々にモチベーションが下がり、「この会社では自分がやりたい仕事が出来ないのではないか?」という疑問を感じるようになりました。
そこにようやく上司から仕事の話が…。
ところがそれは希望していた「マーケティング」の仕事ではなく、もう二度としたくないと思っていた「SE(システムエンジニア)」の仕事でした。
それに落胆し、「その仕事はやりたくないし、やったらまた病気になってしまう可能性があるので困ります。」とハッキリ告げると、「だったら産業医に相談して、必要なら休職して。」と言われました。
結果的に休職する運びとなり、仕事の話が来たら徐々にリハビリをしつつ、復職するという話になりました。
が、休職期間満了まで待ってもそのような話はなく、最後は辞めるわけにはいけないという焦りから強引に復職しましたが、待っていた仕事は「SE」の仕事。
最初こそ踏ん張りましたが、結局働けなくなり、退職することになりました。
とここまでは私が病気になって、職を失うまでの話を綴りました。
これと全く同じ経験で職を失ったという方はいらっしゃいますでしょうか?
類似していても、全く同じケースというのはないと思います。
そして、今度は私の闘病生活について。
私が発病したのは2005年8月頃。
そして休職したのは2006年5月から。
それから2008年6月に復職し、同10月に退職しました。
経済的な話になってしまいますが、2005年8月から2006年4月まではフルにお給料をもらっていました。
休職期間は傷病手当として満額ではありませんが、闘病に専念するには十分なお給料をもらっていました。
2008年10月に退職した際に9年勤続した分の退職金をもらって、それ以降は全く収入がありません。
これを聞くと、2008年10月から今日まで無給で生活していることになり、私のブログを読んでいる方の中には「じゃあ、何で外食したり、カフェ行ったり、ジムに行ったり出来るの?」と感じる方が大勢いらっしゃると思います。
私は障害者厚生年金の支給は受けていませんし、生活保護も受けていません。
自宅で投資などをしているわけでもなく、親から資金援助をしてもらったり、借金をしているわけでもありません。
なのに、旅行に行ったり、食べ歩きをしたり、友人と会ったり出来るのは何故なのか?
それは単純にそれまでにしっかりと貯蓄をしていたからです。
これは冗談ではなく、私は大学時代から将来のための貯蓄をしていました。
大学時代の貯蓄は全然あてがない「結婚資金」。
その後は「住宅購入資金」として、可能な限り貯蓄をしていました。
就職してから、結婚するまでは実家で過ごしていたので、貯蓄しやすい環境だったというのもありますが(もちろん家にお金は入れていました)、財形貯蓄や自社株への投資などでお給料から強制的に貯蓄していました。
ですから、結婚式は親の援助なしに挙げることが出来ましたし、新婚旅行も自分で貯めたお金で行きました。
結婚生活が始まってからはとにかく「住宅購入資金」を貯えるためにお金の収支にはかなり気を使いましたし、そもそも忙しすぎてお金を使う暇が無かったというのも手伝って、それなりの貯蓄をしました。
今は妻の収入に加え、そこで貯蓄しておいた「住宅購入資金」を切り崩して生活しているのです。
この「住宅購入資金」を切り崩すということに対して、私はかなりの抵抗がありましたが、妻が「治ったら、また貯蓄すれば良い。」と言ってくれたことで、踏ん切りがつきました。
なので、これは私達夫婦の「こういう形で貯蓄を将来の投資として使おう。」という共通意識です。
で、また質問ですが、私と同じような生活をしたという方はいらっしゃいますでしょうか?
これも類似していても全く同じということはないと思います。
ここまで長々と私の発病の経緯と闘病生活について詳細に説明してきましたが、ここで最初の疑問に戻りたいと思います。
私と全く同じ生活を送った人がいらっしゃれば、「やっぱりあなたの闘病生活は理解出来ない。」と言われても議論出来ると思います。
でも、多分いらっしゃらないですよね。
うつ病とくくられると、他の患者さんも自分と同じ土俵に立っていると思いがちですが、実際は同じ土俵はないのです。
私の過去を知って、「羨ましい。私はもっと辛い過去を持っている。」とおっしゃる方もいらっしゃれば、「そこまでしていたなら納得出来るかも。」とおっしゃる方もいらっしゃると思います。
でも、だからと言って私の闘病生活を批判したり、過度に賛同したりするのは少し違うのかなと思います。
疑問を感じることは悪いことではないですし、批判したくなる気持ちも分かりますが…。
最後に。
「人と比べる病気なのか?」という疑問に対して、私の意見としては「比べる必要はない。」なのですが、それでもあえて比べるとしたら、私は恵まれた環境に居るとは認識しています。
職を失った時の状態や、周囲の理解などを見ると、もっと苦しんでいる方々がいっぱいいらっしゃるのは承知しています。
病気だけれども、生活費がないから、無理して働いている方。
病気で働けないけど、生活費を切り詰めないと生きていけないから、外食など全く出来ない方。
そういう方々が居ることも事実として認識しています。
ですから、「私の闘病生活と同じことをして下さい。」と言うつもりはありません。
その人にはその人なりの闘病生活の送り方があると思いますので…。
私がこのブログで発信したい情報は「こういう闘病方法もあるよ。」ということなのです。
私が書く記事を読んで、「チャレンジしてみようかな?」とか「そういう考えもあるんだ!」というきっかけ作りになれば十分だと思っています。
このブログは闘病ブログであると共に自己満ブログでもあります。
自分がいかに幸せかというのを自分に言い聞かせる、身近なところにも幸せはあるということを自分に言い聞かせるためのブログなのです。
ですから、当然羨ましいと思われることも覚悟しています。
それでも、「自分のため+ひっとしたら人のため」になるかもと思って綴っています。
バックグラウンドや現在の状況が異なるのに同じ病気の人や元気な人と比較をするのは無意味とは言いませんが、あまり有意義なことではないと思います。
自分の置かれている立場で何が出来て、どのように病気と付き合うかを考える方が有意義なのではないかと私は考えています。
再びの長文、失礼しました。