若い才能に嫉妬する〜『第23回 東京学生映画会』
5月27日(金)~29日(日)に下北沢の北沢タウンホールで開催された『第23回 東京学生映画会』の最終日に行った。全てが学生による自主運営とのこと。
もともとの目的は同映画会で特別上映された『駕瞑羅(ガメラ)4 真実』(2003年/林家しん平監督による自主制作/角川映画許諾作品)であった。でも、せっかくだからメインの上映も観ようと。
100作品以上の応募があった中からノミネートされた作品の最終選考が行われた上映会である。
ゲスト審査員として、大森立嗣さん(映画監督)、田口トモロヲさん(俳優・映画監督・ミュージシャン)、そして林家しん平師匠(落語家・映画監督)も登場。上映作品の監督とのトークなどもあり、非常に面白かった。
う~ん、三日間通っても良かったなあ。
実は、学生映画や自主制作映画については、経験的にあまり良い印象を持っていなかった。
一番わかりやすいのは自分自身が関わった作品だが、とにかく見るに耐えない作品ばかり観て来てしまったからである。
そんなだから、ほとんど期待していなかったのだが。
さすがに最終選考まで残った作品のことだけはある。私は最終日に上映された4本しか観ていないが、とにかくまずは「ちゃんと見られる」作品ばかりだったことにビックリ。
構成もしっかりしてるし、カット割りその他に破綻は感じられなかったし、役者もちゃんと演技してるし、アマチュアの作品であることをほとんど意識することなく普通に楽しめた。
逆に言うと、私がマイナス方面に期待していた、学生ならではの青臭さがあんまり感じられなくて…(^^;
5年後くらいに自分の作品を観て恥ずかしさのあまり封印したくなるような、そして20年くらい経ってから「ふふふ、オレも若かったなあ」とやっと直視出来るような、そういう作品を期待してたんである。
とは言え、それぞれの作品には(良い意味での)学生らしさもちゃんと出ているんだから悔しいじゃありませんか。
以下は私が観た4本の感想と、覚えている限りのゲスト審査員の講評など。
『大怪獣シュラメック』(早稲田大学映画研究会 高階匠監督/50分) …予告篇はこちら
この作品のタイトルを見なければ、私は上映会そのものを観ようという気にはならなかったであろう。高階監督本人が怪獣が好きだとのこと、なのだが。
林家しん平審査員から「私ゃこれを怪獣映画とは認めない」という講評…というより、思いっきり怒られていた(笑)。
私も途中まではそう思っていた。冒頭の宇宙船登場シーンからしてそれが宇宙船であることを認識するのに時間がかかっちゃったし、 宇宙人や怪獣の造型もアレだし、ミニチュアはあまりにもチャチだし。
しかし、ラストに登場するUFOが完全なアダムスキー型のベタな円盤だったことで、これは何か意図があるのではないかと読んだ。極めてまっとうに撮られているシーンと特撮シーンとのギャップがあり過ぎるのだ。これはきっと、わざとやってるんだな、と。今でもそう思っている。
つまりこれは怪獣映画ではなく青春映画であって、高校生の男女の不安定な心の象徴として怪獣が登場する、と。
まあ、それにしては本編と特撮のバランスが悪かったかもしれない。結果的に主人公たちの動機が曖昧になり、特撮シーンも今ひとつになってしまった感はある。
なお、細かいツッコミかもしれないが、怪獣が蹂躙した街が一週間で「何事も無かったように平穏な生活」(劇中のアナウンサーの台詞)には戻らないだろう。そのあたりのリアリティの無さが“怪獣映画”にならなかった要因でもあるように思う。
しん平監督の講評はそれなりに受け止めつつ、今後も怪獣映画に挑戦して欲しいなあ。けっこう期待してたりする私である。
『宇宙のスクリーン』(成城大学映画研究部 落合萌監督/35分)…予告篇はこちら
これもタイトルに騙された(笑) 内容的は良い意味での学生らしい人間ドラマである。
女性の監督が男の友情を描いたというあたりに、大森審査員と田口審査員が興味を示していたっけ。
問題なのは、落合監督本人がけっこう可愛くて、劇中では狂言回し的な役の不思議ちゃんキャラを可愛く演じていること。どこが問題なのか書いててもよくわからないが。
この作品に一番食いついていたのが大森監督で、「モノクロからカラーになる、といった小細工は不要」とか「もともと“顔が変”なキャラ(役者に対する評価としては褒め言葉らしい)に、敢えて変な服装をさせる必要は無い」というご意見だった。三人のゲスト審査員全員が「最終的に作品に責任を持つのは、監督である」という、基本的なことではあるがハッとさせられる意見を述べていたのが印象的だった。
トータルで可も無く不可も無くというイメージではあったが、逆にそれは落合監督が「奇をてらわずに淡々と描く」というスタイルをとったことによるもので、狙いどおりなのかもしれない。
主人公が落ち込むと古風な喫茶店のマスターに愚痴ったり、マスターが含蓄のある言葉を返してくるシークエンスについて、大森監督は「古くさい」と指摘していたが、私は好意的に解釈している。
今の若い人たちは“そういう場”を求めているのではないかと。そして、軽く笑えるシーンでもあるので、あれはあれで良いと思う。
主人公二人が偶然再会するシーンではお互いがかつての思い出につながるアイテムを持っている。一方がバナナチップを取り出すのは良いとして、もう一方は(伏線も張られていた)“5本指の靴下”を示すべきだったと思うが、どうか? どうか、と言われても困るだろうが、どうか?
『デリバリーファッションヘルス』(東京造型大学映画研究部 古地良子監督/61分)…予告篇はこちら
予想通り、最終的にグランプリに輝いた。だって、面白かったもん。
田口審査員が「男女が入れ替わる、という大林宣彦監督がやったシチュエーションに果敢に挑戦した」ということを評価していたが、凄いのは入れ替わっちゃった二人がそのこと自体を受け入れてたまま物語が進むんである。
この二人を中心に、様々な男女(男×男もあるw)の微妙だったりあからさまに変な関わりが描かれる。
オムニバス的でありつつも、全体としてしっかりストーリーが流れている構成も見事。
タイトルは相当狙ってキャッチーなものにしたらしい。…釣られました(笑)
釣りタイトルとは言え、ギリギリのキワドいシーンなんかもあって、若い人たちの恋愛や性に対するモヤモヤ感が“コミカルな手法で生々しく”表現されている。
キャスティングもバッチリで個性的な役者たちが、他のキャラを邪魔することなく強烈な存在感を残していた。
そして、繰り返しになるが、面白い。
客席からも(笑えるシーンが多かったこともあって)反応が良く、グランプリと同時に観客賞もW受賞とのこと。
こういうのを女性監督が作るというあたりに「ほほう」とも思ったが、逆に女性ならではの作品でもあると思う。
絵の作り方も上手いな、と思ったのだが、古地監督の喋りから受ける印象としては、「感覚的にこうなっちゃいました」といったノリで、決して計算では無いように感じた。
田口監督からは「映画を作るというのはリビドーの炸裂(実際の発言はもっと直接的表現だった)」で、それがきちんと(?)為された作品との評価も。
部分的に、(私のテンポからすると)ワンカットがちょびっと長いかな、というところもあった。かと言って冗長さを感じたわけではなく、内容と呎はピッタリだった。
この作品だったら、もう一度観てもいいかなと思う。
各賞の受賞作品は、
2011年 7月9日(土)24:00~29:00(予定)に新宿バルト9で上映されるとのことなので観るチャンスは、ある。
『INVASION』(東京大学 井上陽子監督/19分)
完成度が極めて高い。各審査員の講評どおり世界観も確立されているし、何と言ってもビジュアルが美しい。
出演者は全て外国の人で、英語の台詞に字幕が入る。ニューヨーク滞在中に撮影したとのこと。
完成度が高いのと、計算しつくされた映像で、本当に外国映画を観ているようだった。まあ、オープニングタイトルは何だか外国映画のパロディかと思うくらいにあまりにも“それっぽい”テイストが強過ぎた感はある。
井上監督によれば、変化(変身)の美しさを描きたかったそうだが、私はむしろ(映像が美しいが故に逆に)グロテスクさを感じた。それが狙いなのかとも思ったが違ったらしい。
上映前に、パンフに書かれた監督自身による解説を読んだら、「主人公は変身するので特殊メイクを使った」とあったので、『ハウリング』とか『狼男アメリカン』みたいな変身シーンを期待してしまったが、そういうコトではなかったんですね(^^;
計算しつくされ過ぎていて逆に面白みが無いとも言える。
とは言え、お洒落を極める王道がコンサバから入って少しずつ崩しながら自分なりのスタイルが出て来るのと同じで、通過儀礼として…または習作と位置づけるならこれはアリだと思う。
今後「絵的に面白い」作品を作ってくれるのではないかと期待。
問題は、井上監督…何たって東大である。経済学部である。どう考えてもアタマは良いし、困ったことに美人である。って、これも何が問題なのか書いていて自分でもわからんのだが。
とにかく、今どきの学生映画はクオリティが高い。
映画の撮り方もちゃんとおさえているし、役者の演技も私が若い頃とは比較にならない。
ひとつには、様々な映像作品をDVDなどで見る機会も多く、技術的な部分を吸収しやすい時代であることが理由としてあると思う。
また、役者については、今の人たちはメディアに出て「何かやる」ことに対する抵抗があまり無く、照れずに堂々と演技が出来るのかな、とも思う。
加えて撮影機材や編集機材(ソフトを含む)が比較的手軽に高度なことが出来るようになったということもあるかもしれない。
フィルムコミッションを活用したり、多くのスタッフ(もちろん、役者が兼ねていたりもする)を使ったり、色々本格的な作り方をしている。
当然、予算や制作期間などの“現実”との兼ね合いもあっただろうが、妥協点もうまく消化しているのではないかと思う。
と、様々な刺激を学生作品から受けたわけである。
いや、オレも頑張ってこんなレベルの作品を作ろうなどと思ったわけではない。
改めて自分の目的は映像作品を作ることそのものではなく、内輪向けの一発ギャグであると再認識したんである。
思い付いたネタが映像向きだと思えば映像にするという感じ。
今後も、心に残る作品とか語り継がれる作品なんてーものを作る気は全くない。
30人くらいの知り合いが、その時だけ「バッカでぇ~」と笑ってくれれば十分。
作る動機としてもそれで十分なのであって、それはそれで私(たち)なりに相当の情熱を注いでいるんである。
繰り返す。
私ゃ今後も、おバカ&ゆるゆるな作品しか作らない。
もともとの目的は同映画会で特別上映された『駕瞑羅(ガメラ)4 真実』(2003年/林家しん平監督による自主制作/角川映画許諾作品)であった。でも、せっかくだからメインの上映も観ようと。
100作品以上の応募があった中からノミネートされた作品の最終選考が行われた上映会である。
ゲスト審査員として、大森立嗣さん(映画監督)、田口トモロヲさん(俳優・映画監督・ミュージシャン)、そして林家しん平師匠(落語家・映画監督)も登場。上映作品の監督とのトークなどもあり、非常に面白かった。
う~ん、三日間通っても良かったなあ。
実は、学生映画や自主制作映画については、経験的にあまり良い印象を持っていなかった。
一番わかりやすいのは自分自身が関わった作品だが、とにかく見るに耐えない作品ばかり観て来てしまったからである。
そんなだから、ほとんど期待していなかったのだが。
さすがに最終選考まで残った作品のことだけはある。私は最終日に上映された4本しか観ていないが、とにかくまずは「ちゃんと見られる」作品ばかりだったことにビックリ。
構成もしっかりしてるし、カット割りその他に破綻は感じられなかったし、役者もちゃんと演技してるし、アマチュアの作品であることをほとんど意識することなく普通に楽しめた。
逆に言うと、私がマイナス方面に期待していた、学生ならではの青臭さがあんまり感じられなくて…(^^;
5年後くらいに自分の作品を観て恥ずかしさのあまり封印したくなるような、そして20年くらい経ってから「ふふふ、オレも若かったなあ」とやっと直視出来るような、そういう作品を期待してたんである。
とは言え、それぞれの作品には(良い意味での)学生らしさもちゃんと出ているんだから悔しいじゃありませんか。
以下は私が観た4本の感想と、覚えている限りのゲスト審査員の講評など。
『大怪獣シュラメック』(早稲田大学映画研究会 高階匠監督/50分) …予告篇はこちら
この作品のタイトルを見なければ、私は上映会そのものを観ようという気にはならなかったであろう。高階監督本人が怪獣が好きだとのこと、なのだが。
林家しん平審査員から「私ゃこれを怪獣映画とは認めない」という講評…というより、思いっきり怒られていた(笑)。
私も途中まではそう思っていた。冒頭の宇宙船登場シーンからしてそれが宇宙船であることを認識するのに時間がかかっちゃったし、 宇宙人や怪獣の造型もアレだし、ミニチュアはあまりにもチャチだし。
しかし、ラストに登場するUFOが完全なアダムスキー型のベタな円盤だったことで、これは何か意図があるのではないかと読んだ。極めてまっとうに撮られているシーンと特撮シーンとのギャップがあり過ぎるのだ。これはきっと、わざとやってるんだな、と。今でもそう思っている。
つまりこれは怪獣映画ではなく青春映画であって、高校生の男女の不安定な心の象徴として怪獣が登場する、と。
まあ、それにしては本編と特撮のバランスが悪かったかもしれない。結果的に主人公たちの動機が曖昧になり、特撮シーンも今ひとつになってしまった感はある。
なお、細かいツッコミかもしれないが、怪獣が蹂躙した街が一週間で「何事も無かったように平穏な生活」(劇中のアナウンサーの台詞)には戻らないだろう。そのあたりのリアリティの無さが“怪獣映画”にならなかった要因でもあるように思う。
しん平監督の講評はそれなりに受け止めつつ、今後も怪獣映画に挑戦して欲しいなあ。けっこう期待してたりする私である。
『宇宙のスクリーン』(成城大学映画研究部 落合萌監督/35分)…予告篇はこちら
これもタイトルに騙された(笑) 内容的は良い意味での学生らしい人間ドラマである。
女性の監督が男の友情を描いたというあたりに、大森審査員と田口審査員が興味を示していたっけ。
問題なのは、落合監督本人がけっこう可愛くて、劇中では狂言回し的な役の不思議ちゃんキャラを可愛く演じていること。どこが問題なのか書いててもよくわからないが。
この作品に一番食いついていたのが大森監督で、「モノクロからカラーになる、といった小細工は不要」とか「もともと“顔が変”なキャラ(役者に対する評価としては褒め言葉らしい)に、敢えて変な服装をさせる必要は無い」というご意見だった。三人のゲスト審査員全員が「最終的に作品に責任を持つのは、監督である」という、基本的なことではあるがハッとさせられる意見を述べていたのが印象的だった。
トータルで可も無く不可も無くというイメージではあったが、逆にそれは落合監督が「奇をてらわずに淡々と描く」というスタイルをとったことによるもので、狙いどおりなのかもしれない。
主人公が落ち込むと古風な喫茶店のマスターに愚痴ったり、マスターが含蓄のある言葉を返してくるシークエンスについて、大森監督は「古くさい」と指摘していたが、私は好意的に解釈している。
今の若い人たちは“そういう場”を求めているのではないかと。そして、軽く笑えるシーンでもあるので、あれはあれで良いと思う。
主人公二人が偶然再会するシーンではお互いがかつての思い出につながるアイテムを持っている。一方がバナナチップを取り出すのは良いとして、もう一方は(伏線も張られていた)“5本指の靴下”を示すべきだったと思うが、どうか? どうか、と言われても困るだろうが、どうか?
『デリバリーファッションヘルス』(東京造型大学映画研究部 古地良子監督/61分)…予告篇はこちら
予想通り、最終的にグランプリに輝いた。だって、面白かったもん。
田口審査員が「男女が入れ替わる、という大林宣彦監督がやったシチュエーションに果敢に挑戦した」ということを評価していたが、凄いのは入れ替わっちゃった二人がそのこと自体を受け入れてたまま物語が進むんである。
この二人を中心に、様々な男女(男×男もあるw)の微妙だったりあからさまに変な関わりが描かれる。
オムニバス的でありつつも、全体としてしっかりストーリーが流れている構成も見事。
タイトルは相当狙ってキャッチーなものにしたらしい。…釣られました(笑)
釣りタイトルとは言え、ギリギリのキワドいシーンなんかもあって、若い人たちの恋愛や性に対するモヤモヤ感が“コミカルな手法で生々しく”表現されている。
キャスティングもバッチリで個性的な役者たちが、他のキャラを邪魔することなく強烈な存在感を残していた。
そして、繰り返しになるが、面白い。
客席からも(笑えるシーンが多かったこともあって)反応が良く、グランプリと同時に観客賞もW受賞とのこと。
こういうのを女性監督が作るというあたりに「ほほう」とも思ったが、逆に女性ならではの作品でもあると思う。
絵の作り方も上手いな、と思ったのだが、古地監督の喋りから受ける印象としては、「感覚的にこうなっちゃいました」といったノリで、決して計算では無いように感じた。
田口監督からは「映画を作るというのはリビドーの炸裂(実際の発言はもっと直接的表現だった)」で、それがきちんと(?)為された作品との評価も。
部分的に、(私のテンポからすると)ワンカットがちょびっと長いかな、というところもあった。かと言って冗長さを感じたわけではなく、内容と呎はピッタリだった。
この作品だったら、もう一度観てもいいかなと思う。
各賞の受賞作品は、
2011年 7月9日(土)24:00~29:00(予定)に新宿バルト9で上映されるとのことなので観るチャンスは、ある。
『INVASION』(東京大学 井上陽子監督/19分)
完成度が極めて高い。各審査員の講評どおり世界観も確立されているし、何と言ってもビジュアルが美しい。
出演者は全て外国の人で、英語の台詞に字幕が入る。ニューヨーク滞在中に撮影したとのこと。
完成度が高いのと、計算しつくされた映像で、本当に外国映画を観ているようだった。まあ、オープニングタイトルは何だか外国映画のパロディかと思うくらいにあまりにも“それっぽい”テイストが強過ぎた感はある。
井上監督によれば、変化(変身)の美しさを描きたかったそうだが、私はむしろ(映像が美しいが故に逆に)グロテスクさを感じた。それが狙いなのかとも思ったが違ったらしい。
上映前に、パンフに書かれた監督自身による解説を読んだら、「主人公は変身するので特殊メイクを使った」とあったので、『ハウリング』とか『狼男アメリカン』みたいな変身シーンを期待してしまったが、そういうコトではなかったんですね(^^;
計算しつくされ過ぎていて逆に面白みが無いとも言える。
とは言え、お洒落を極める王道がコンサバから入って少しずつ崩しながら自分なりのスタイルが出て来るのと同じで、通過儀礼として…または習作と位置づけるならこれはアリだと思う。
今後「絵的に面白い」作品を作ってくれるのではないかと期待。
問題は、井上監督…何たって東大である。経済学部である。どう考えてもアタマは良いし、困ったことに美人である。って、これも何が問題なのか書いていて自分でもわからんのだが。
とにかく、今どきの学生映画はクオリティが高い。
映画の撮り方もちゃんとおさえているし、役者の演技も私が若い頃とは比較にならない。
ひとつには、様々な映像作品をDVDなどで見る機会も多く、技術的な部分を吸収しやすい時代であることが理由としてあると思う。
また、役者については、今の人たちはメディアに出て「何かやる」ことに対する抵抗があまり無く、照れずに堂々と演技が出来るのかな、とも思う。
加えて撮影機材や編集機材(ソフトを含む)が比較的手軽に高度なことが出来るようになったということもあるかもしれない。
フィルムコミッションを活用したり、多くのスタッフ(もちろん、役者が兼ねていたりもする)を使ったり、色々本格的な作り方をしている。
当然、予算や制作期間などの“現実”との兼ね合いもあっただろうが、妥協点もうまく消化しているのではないかと思う。
と、様々な刺激を学生作品から受けたわけである。
いや、オレも頑張ってこんなレベルの作品を作ろうなどと思ったわけではない。
改めて自分の目的は映像作品を作ることそのものではなく、内輪向けの一発ギャグであると再認識したんである。
思い付いたネタが映像向きだと思えば映像にするという感じ。
今後も、心に残る作品とか語り継がれる作品なんてーものを作る気は全くない。
30人くらいの知り合いが、その時だけ「バッカでぇ~」と笑ってくれれば十分。
作る動機としてもそれで十分なのであって、それはそれで私(たち)なりに相当の情熱を注いでいるんである。
繰り返す。
私ゃ今後も、おバカ&ゆるゆるな作品しか作らない。