第2話 「敗北」

 

 

「それをこっちに渡せ」

 

俺とアフィンの前にあの仮面が再び現れた

 

 

 

俺はアークス活動の中で、とある依頼を受けこの凍土に来た

 

 

シオン

 

 

そう名乗るその人物によって

 

正直・・・得体の知れない人・・・・いや、人なのかどうかも怪しい

 

言ってる事もどうも要領を得ない。

 

人の言葉なんだが・・どうも・・・言葉の使い方が違うようで、何を言ってるか理解に苦しむ

 

しかも俺にしか見えないようだ

 

 

怪しいことこの上ないのだが・・・どうしてか悪い人のようには感じなかった

 

 

どこかにあるという「ある物」

 

それを探し出して欲しいとのことだ

 

どういったもので、どこにあるのかを全く伝えないため、当てのない捜索になった

 

 

クエストに行く直前にアフィンと会い、『俺も手伝うぜ』と言ってきたので同行させることにした

 

 

あれ以来一緒に行ってないこともあり、たまにはいいかと

 

 

その道中で、ゼノとエコーの2人とも再会した

 

2人はここにあの仮面の姿が目撃されたとのことで捜索に来ているらしい

 

このメンツであの仮面か・・・・どうも嫌な感じが・・

 

 

途中で2人と別れ、例の物を探す俺たち

 

 

この凍土で奇跡的にもそれが見つかった

 

 

『目にすればそれが、そうだ、とわかる』

 

本当にそうだった

 

これがそうなんだ、と直ぐに分かった

 

理由は無い。そう感じた。

 

何かの武器の破片

 

 

これが一体何なのか、それは分からないが、何か大切な物というのがヒシヒシと感じた

 

 

そんなときにあの仮面が現れたんだ

 

 

 

 

「彼女から手を引け。お前には彼女を救えない」

 

 

あの時は一言も発しなかったのが今回は直ぐに言ってきた

 

 

それがこれか・・・・

 

コレを引き渡せ、彼女から手を引け

 

いきなりなんだって言うんだ!?

 

彼女?・・・マトイのことか?

 

殺そうとしてたヤツが何を言う!?

 

 

「見ず知らずの相手のいう事を聞くほど俺はお人よしじゃない!

お前は一体何者なんだ!

何故彼女を殺そうとする!?」

 

「今のお前に何を言っても信じないだろう

仮に理解できても納得はしない。お前はそういうやつだ」

 

 

・・・・・なんだよ・・こいつ

 

まるで見透かしてるような・・この感覚

 

最初に会ったときもそうだが・・・こいつには不愉快しか感じない

 

見ていたくない・・直ぐに消えて欲しいと

 

妙な苛立ちがあるんだ

 

 

「それは渡せば、今日はこのまま退こう。」

 

渡せ、と言わんばかりに手を差し出してくる仮面

 

「生憎、お前のいう事を聞く気は毛頭ないんでな」

 

俺はソレを衣服の中、つまり懐へと押し込むように隠した

 

「欲しければ力づくで奪え」

 

「・・・・愚かな」

 

「アフィン!お前はゼノたちと合流してシップへと戻れ。

コイツは俺に用があるらしい・・・お前が巻き込まれる必要は無い」

 

そう、これは俺たちの問題だ。マトイを巡っての

 

「そうはいくかよ、相棒!相棒だけ残して俺だけ逃げられるかっての

俺だってあのときのままじゃないんだぜ。ずっと力をつけたんだ。

相棒の手助けはできるつもりだ!」

 

アフィンはライフルを構える

 

 

最初はビビッてたのが・・・いつの間に

 

「じゃあ、援護を頼む。だが・・ヤバくなったら逃げろよ」

 

俺もソードを構える

 

アフィンも言ったように俺もあれから力はついた

 

仮面に遅れを取ることはないと

 

 

そして俺と仮面・・・同時に飛び出した

 

互いに袈裟切りで斬りあい、鍔迫り合いとなる

 

そしてこれもまた同時に別の角度から斬り合う

 

 

・・・・なんだ?

 

まるで・・・・同じことを考えてるような

 

俺の太刀筋を読んでるように同じ攻撃をしてくる仮面

 

 

互いのソードがぶつかり火花が散る

 

互角・・・・そう思ってた

 

だが・・徐々に俺の方が押され始める

 

同じ攻撃のはず・・・なのに・・・

 

・・・違う。少しずつだが・・・仮面の攻撃が早くなり始めた

 

そのため俺の攻撃は一手遅れる感じになっていく

 

仮面の横なぎの攻撃に俺はソードを縦にもったまま固定し受け止めようと

 

 

ガキーン

 

その一撃を受け止めた

 

 

!!

 

直後、逆の方向から刃が襲い掛かってきた

 

 

くそっ!

 

俺は急いで後ろへと飛んでかわそうとしたが、少し間に合わず切っ先が俺の腹部を切り裂いた

 

幸い深い傷じゃない。それでも切り裂いたことに変わりは無く、血が滴り落ちる

 

 

腹筋の一部が切られたため結構な痛みを感じる

 

 

これならまだメイトで

 

 

俺は常備している回復アイテムを使って傷を治した

 

傷は塞がった。だが痛みはまだ残ってる。それでもさっきより痛みは少ない

 

その痛みを堪えソードを持ち直す

 

 

こいつ・・・・今・・何をしたんだ?

 

俺は確かに受け止めた。が、直後逆から切りかかれた

 

あの攻撃・・・・まるでダブルセイバーじゃないか

 

仮面の武器・・・・ソードのはず・・・・・

 

 

武器を持ち替えた?

 

だがそんな余裕は無かったはず

 

 

俺たちアークスは武器をいくつか所持している

 

でもそれらを常に持ち歩いてるわけじゃない

 

複数のを持ち歩いてたらかさばって動きにくくなる

 

ならどうしてるか

 

それが粒子再生装置だ

 

武器を一旦粒子状態にしてそれをデータ保存し、必要なときに呼び出すことで粒子から物質へと再変換される

 

こうすることで常に手ぶらで持ち歩けるわけだ

 

この粒子再生装置には3つまでストックできるが必要なら拡張して6つまでストック可能となる

 

だが・・・それでも別の武器へと持ち変えるにはわずかだがラグタイムがある

 

今の仮面にはそれが全く無かった

 

まるで・・・始めから・・・・

 

 

 

あれ・・・・あの持ちかた・・・ソードっていうより・・ダブルセイバー風じゃないのか?

 

まさか・・・・今までダブルセイバーだったのか?

 

それを俺は勝手にソードと勘違いしてたと?

 

そういや・・・あの武器の形状はソードよりもダブルセイバーに近い感じだ

 

 

ゆっくりと近づいてくる仮面

 

そこに

 

「任せろ、相棒!」

 

アフィンが仮面に向け何かを投げつけた

 

それは仮面に当たることは無く一歩手前で落ちた

 

どこに向けて投げてる・・・・というわけじゃない

 

あれは・・・・

 

 

仮面はその場に釘付けされたように動けなくなった

 

そう、あれはグラビティボムだ

 

着弾点から一定範囲内に強力な重力を発生させ、周囲のものを引き寄せそこに留まらせる

 

仮面がその場に留まってる間にアフィンはワンポイントを撃つ

 

それだけじゃない、ワンポイントの合間にグレネードシェルも撃ち込んでいった

 

 

爆煙に包まれる仮面

 

「まだ終わりじゃないぜ!」

 

するとアフィンは方膝をつきチャージし始めた

 

上空から光の柱のようなものが仮面に降りていく

 

それが少しずつ集束していく

 

レンジャーのもつ最大火力のPA「サテライトカノン」だ

 

光の帯が集束され強力なエネルギーの束が幾度も仮面に降り注いでいった

 

 

やったか!?

 

そう思った瞬間

 

仮面の周囲に何かしらの力場が発生

 

それが周囲を吹き飛ばすように展開される

 

それによりサテライトカノンは防がれた

 

同時にグラビティボムも吹き飛ばされる

 

 

なんてデタラメなシールドだ・・・あんな防御みたことないぞ

 

「邪魔だ、消えろ!」

 

仮面はアフィンへと矛先を変え切りかかる

 

「逃げろ!アフィン!」

 

俺はそういいながら既にアフィンへと駆け出していた

 

仮面の気迫なのか、動けずにいるアフィン

 

そこに仮面の一撃が降りかかる

 

 

させるか!!

 

俺は寸でのとこで間に合い、自分のソードを水平に持ちそれを受け止めようとする

 

だが・・・・

 

仮面の刃は俺のソードを、まるで熱したナイフでバターに切り込むかのように俺のソードを簡単に切り裂き、そのまま俺は仮面の刃で胸を深く切り裂かれた

 

!!!

 

切り裂かれた瞬間、勢いよく血が吹き出した

 

その返り血を浴びる仮面

 

俺は・・・意識が跳びそうになるなか・・・仮面に隙が出来てるのに気づき、折れたソードの切っ先を切り上げた

 

腕の力だけで振る上げたようなもののため踏み込みも足りず仮面の胸を少し切った程度になった

 

一矢報いる・・・・そんなとこだ

 

だが・・・俺はまだ倒れない

 

このまま倒れたらそれこそ今度こそ殺される

 

今の体では何も出来ないが・・それでも俺は・・・

 

 

胸から噴水のように吹き出てた血で腹部から下からは赤く染まり、足元にある雪も血で赤く染まっている

 

今はもう吹き出してはいないものの血は留まることなく流れ出ている

 

すると仮面はその斬られた胸に手を当て・・・・苦しむ

 

その傷から黒い粒子のようなものが見える

 

まるで・・・ダーカー因子だ

 

ダーカーを倒した後に出る残滓

 

それに似ていた

 

やはり・・あいつはダーカーなのか?

 

ダメージ自体は俺の方が酷いが仮面はそれが致命傷でもあるかのように空間を歪ませて消えていった

 

 

・・・・逃げてくれた

 

助かった・・・そう思った瞬間・・俺は意識が一変に消えるようになりそのまま積もった雪に倒れこんだ

 

 

・・・・・ダメだ・・・・

 

もう意識が・・・・・・

 

このまま死ぬのか?

 

アークスになることで、いや、それ以前から死は覚悟していた

 

だが・・実際死を目の当たりにすると・・・・

 

怖くなった・・・・

 

死にたくない・・・・

 

けど・・・もう流石にこれは・・・この出血では・・・・

 

 

生きることを諦めかけた・・・その時

 

俺の脳裏にあるものが浮かんだ

 

 

!!

 

 

そうだ・・・まだ死ねない

 

こんなとこで死ぬわけには・・・俺にはまだ・・・

 

 

自分でも信じられない事に起き上がろうとした

 

だが、そのせいで更に出血する

 

「動くな!相棒!じっとしてろ!すぐに救助隊が来る!」

 

アフィンがそう言ってたような気がするが・・・もうよく聞こえない

 

そして・・・俺の意識はここで消えた

 

 

 

 

 

次に目にしたのは見知らぬ天井だった

 

 

ここは?

 

首だけを動かしまわりを見る

 

医療機器らしいのがあちこちにあることから病室、そしてそのベッドにいるのが理解できた

 

 

生きてる?あの出血で?

 

よく見ると腕から管がありそれが赤くなって、機器からこっちに流れてるようだ

 

輸血されてるのか

 

どうやら本当に生きてるらしい

 

そこにフィリアが入ってきた

 

「もう目覚めたんですか?早いですね」

 

俺のバイタルチェックをしつつ、ことの経緯を話してくれた

 

 

意識を失った後,直ぐにゼノたちが来てエコーがレスタを掛けてくれたとの事

 

でも傷の酷さからレスタ程度では傷を塞ぐのがやっと

 

しかも運ぶのに動かそうものならそれのせいでまた傷が開く

 

そのたびにレスタを掛けなおすの繰り返しだった

 

お陰でメディカルチームに引き渡すまで命を繋ぎとめてくれたのだから感謝せねば

 

 

しかし、本当に危ないとこだったらしい

 

少し遅ければ・・・今頃は

 

 

俺はふと斬られた胸を触って見た

 

今もはっきりと傷跡が残っている

 

フィリアが言うには時間と共に薄くなっていくだろうと

 

ちなみに腹部の方はほとんど傷跡は見えない

 

 

にしても・・・・本当によく助かったもんだ・・・あの傷で

 

 

俺の顔がそう言ってのに気づいたフィリアがその理由を教えてくれた

 

俺にあるものを手渡す

 

 

これって・・・・

 

 

そう、例の武器の破片だ

 

どうやらこれのお陰で助かったんだと

 

丁度心臓の上にあったらしく、心臓に達するのを防いでくれたのだと

 

胸の傷の深さは深刻なもので、大胸筋はおろか肋骨までに達していたと

 

だが、コレのお陰で心臓は守られた

 

もしそれがなかったら・・・斬られた瞬間に死んでいた

 

 

・・・・この武器の所有者は誰かは知らないが、感謝しなければな

 

 

あぁ・・・・そういや・・・・何か大切なことを忘れてるような

 

 

・・・・・・・

 

 

あ!

 

そうだ!マトイ!

 

彼女は今どうしてるんだ?

 

いつもならその日の任務のことを話してるはず・・・・・それが・・・このせいでできずに

 

 

心配・・・させたかな?

 

それとも・・・・・何とも思ってないのだろうか?

 

ただの話し相手だからな俺は・・・・それも有りうるか

 

そう思うと・・・少し・・・寂しい気が

 

心配させるのも気が引けるが・・・されてないと思うと・・・・これはこれで・・・

 

 

そんな俺を察したのかまたフィリアが教えてくれた

 

 

どうやら凄く心配してたらしい

 

しかも俺がちゃんとメディカルセンターから無事な姿を見るまで、カウンター前のベンチでずっと待ってたと

 

でも今は疲れて自分の部屋で休んでるらしい

 

 

そっか・・・・

 

心配して・・・・いや、させてしまったか

 

それはそれで嬉しいような・・・でも・・・心配させたのがやはり心苦しくも・・・

 

複雑な感じだ

 

 

 

バイタルチェックもクリアし、直ぐに退院することに

 

フィリアも驚いてた

 

こんなに早く回復するなんて

 

一晩で回復するんだから・・・我ながら驚きだよ

 

 

部屋に戻る前にマトイの笑顔を見てから休みたかったが、眠ってるんじゃ仕方ないな

 

 

ロビーに出るとフィリアに礼をして自分の部屋に戻ろうとしたとき

 

そこにマトイが現れた

 

肩で息をしてるとこを見ると、急いで来たようだ

 

 

そんなに慌てなくても・・・俺はもう大丈夫だ

 

そういわんばかりに俺は笑顔で応えてみせた

 

 

 

その直後

 

 

!?

 

マトイが泣き出した

 

 

ええ!?

 

なんで!?

 

安心させようと笑ってみせただけなのに・・・・・

 

 

あ・・・・そうか・・・

 

安心・・・そう、俺が無事だと分かった瞬間・・・緊張の糸がきれたようになり、一気に感情が噴出した・・・そんなとこだろう

 

 

マトイは何度も涙を拭うものの、涙は止まることは無かった

 

正直・・・どうしたらいいか分からなかった

 

とりあえず・・マトイへと歩み寄る

 

「ライディースが・・ライディースが・・」

 

そう言ってマトイは床にペタンと座るように腰を落とした

 

・・どうしよう・・・どうしたらいいんだ?

 

女の子に泣かれたとこに出くわしたことなんてないから分からなかった

 

 

考えた挙句・・俺は

 

 

マトイをそっと抱きしめた

 

 

これが一番だと思ったわけじゃない

 

これしか思い浮かばなかったんだ

 

 

「もう大丈夫、大丈夫だから」

 

マトイの耳元で優しく囁くと

 

無言で何度も頷くマトイ

 

 

この姿・・・・周りの視線がイタイ・・・・・

 

まだ早朝ってことで人の数は少ないが、それでも見られてるわかだから・・・・

 

 

けど・・・・

 

マトイを泣かせたわけだから・・・・これは仕方ないな

 

これは罰ということでマトイが泣き止むまで俺はそのままにすることにした

 

 

第2話 「敗北」 終

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

更新がかなり遅れて申しわけない

 

この時期・・・色々忙しかったもので・・・・

 

FGOでは期間限定イベントだったのでそっちに集中・・・・

 

pixivではここでは書けない話を書いてまして・・・・そっちの方のモチベがあがり、こっちが疎かに

 

さて、

 

武器を収める粒子再生装置

 

勝手に作った設定ですが・・・この元ネタ・・・

 

実はスタートレックのレプリケーターから持ってきました

 

実際のゲームもこんな感じかな?と

 

そして・・

 

本家で仮面に敗北なんて話はなかったのですが、マトイとの関係を少し縮めるためこういう展開に

 

まぁ・・すでにマトイ伝でこういうことになってるわけだしね

 

マトイ伝になぞった展開なので、次回はあの話です

 

今回からまた一歩マトイとの距離が縮まります

 

では次回に~

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