透析で仲良しにしていたおじさん。


いつもおじさんの方が先に、

透析のフロアに入っているので、

私が行くと、

私のベッドのテーブルに、

お菓子、を置いてくれてありました。


ハイチュウだったり、

あんぱんだったり。

とにかく色々。


スタッフからは、


「今日の貢ぎ物はなになに?ニコニコ


って言いながら、


「これはええなー」

とか、

「ええーー、このチョイス~?」


とかとか、

その貢ぎ物で、

お喋りにひと花もふた花も咲かせていました。


私はもともと、

月水金のシフトの透析に通っていました。


5年前、

隣のベッドでずっと仲良くしていた、

同い年の親友が亡くなった時、

親友のいない隣のベッドで、

透析を受けるのが辛くてつらくて、

精神的に参っていたので、


スタッフが、

「ひろよちゃん、シフトを火木土に変えてみる?

 環境が変わって少し気分も変わるかも、」


と言ってくれたので、

今の火木土のシフトに変わったのです。


変わったすぐは、

知らない人ばかりだし、

このシフトはおじさんが多いし。

馴染めなくて、

それはそれで透析に通うのが苦痛だった。


でも、


そのおじさんは、

朝と帰りに、


「よー、おはよー」


「ほな先帰るわなー」


とか、

一言二言話しかけてくれるようになり、


いつの間にか、

貢ぎ物(笑)がはじまり、

今週の火曜日まで続いたのです。


2010年に私がこのシフトになってから、

5年も、お菓子を私のベッドのテーブルに置いていってくれてた。


「透析はなピクニックやでー」


って大きなカバンから、

ゴソゴソ渡してくれるときもあったな。



今日いつものように透析センターに行くと、

いつも先に来ていて停めてある、

透析センターの自動扉近くの、

自転車置き場に、

おじさんの愛車。

黄色い自転車がない。


あれれ?


と思いながら透析のフロアにいっても、

おじさんがいなくて。

透析が始まっても来なくて。


スタッフに聞いたら、


「寝坊じゃないのかなあ?

 今、電話したりしとるけど連絡つかへんのさ」


って。


みんなで、どうしたのかな?

って言っていたら・・・


おじさん・・・・・

アパートのお部屋でね・・・


亡くなっていたそうです。

おじさんといっても、

55歳。

りっぱなおじさんか!


透析患者さんの中では若いかも(笑)


いつもおかしなダジャレを言って、

スタッフや私も、

よく、

「まったくもぉー」

って、言いながらも可笑しくて。


誰からも声をかけられる、

陽気なおじさんでした。


今年に入って、

調子が悪かったりして、

珍しく気の弱い事を言っていたりもしてた。


一人暮らしだからね。


じつは・・・


今年のホワイトデーの時に、

プレゼントと一緒に、

おじさんが書いたお手紙が入っていました。


「僕と、結婚、してください。」


って。


いつものジョーダンだと思って、


「もうー、あんなこと書いてー」

って、はぐらかしていたけど・・・


普段はみんなの前で、

バカなこと言ったり、

たまには真面目な話もしたり、

色んなことを知っていたので、

教えてもらったり。

エロじじぃになったり。


でも、

一人で寂しかったのかもしれないね。

心細かったのかもしれないね。


ごめんね、

もっともっと色んな話を、

真面目に聞いてあげたら良かった。



今週の火曜日も、

いつものように、

アホーなこと言いながら、


「お先になー、ばーいばい」って。

手を振っていたのに。


永遠のバイバイになってしまった。


さみしいです。


別れは突然くる。


私の大事な人たちは、

私を大事にしてくれる人たちは、

みんな急いで先に逝ってしまいます。

いつも置いてきぼり。


そして今日おじさんも、

黄色い自転車に乗って、

天国まで、

先に昇って逝ってしまいました。

寿命、

誰でもいつかはこの地球から卒業する。

私だって。


でも残されたものは、

やはり寂しいです。


おじさん、

プロポーズをしてくれてありがとう。


天国ではもっと、

素敵な可愛い人と、

いっぱい楽しい恋をしてね。


透析にも通わなくていいし。

大好きなお酒も飲めるね。


5年間、

本当に楽しかったよ。



アリガトウ