当院では、座り仕事による腰痛予防のために、座り仕事で緩んだ骨盤を締める特殊なスクワットを患者さんに教えています。詳しくはこちら→骨盤スクワット

このスクワットの目的は筋肉を鍛えるのではなく、緩んだ骨盤を締めることを目的とし、指導通りにちゃんとやれば効果的な体操なのですが、自分勝手に誤ったやり方をやると逆に腰や膝を痛めます。

特に、この体操で痛める人に多いのが、膝を曲げて腰を落とす時に「ゆっくり」やらずに「いそいで」やる人です。

このスクワットの重要な運動は「顔を前に向ける」・「膝を曲げて腰を落とす」・「腰を反らしてお尻を後ろへ突き出す」の3種類があり、この3種類の動きが円滑に同期したときに、腰やお尻や下肢の筋肉が骨盤へ動員されて、骨盤を締めて安定させます。(図1、2)
また、「ゆっくり」やることで時間をかけて骨盤を圧迫し、骨盤を締めて安定効果があります。


図1                 図2

しかし急いでやる人は、以下のように誤った運動や運動がバラバラになるので、骨盤を締める事ができません。

運動がバラバラになると、効果がないばかりか、逆に膝や腰を痛めます。

1「膝を曲げて腰を下ろしてからお尻を突き出す」

膝に負担をかけないように、この体操では90度以上膝を曲げないように指導しています。しかし膝が90度の状態で腰を突き出すこと、重心が前に移動して膝が90度以上曲がります。骨盤に緩みがある側の膝が前に出る傾向にあるので、緩みと同側の膝に負担が集中して膝を痛めます。そして骨盤には殆ど効果がありません。

2「お尻を突き出してから膝を曲げる」

お尻を突き出し、腰が反り切った状態で膝を曲げる(腰を落とす)と、膝を曲げた時に、さらに腰の反りが強くなり、腰周囲の筋肉や靭帯を腰を痛めて、反ると痛む腰痛になります。

3「顔を下見向けて膝を曲げる。」と痛めない代わりに何の効果もありません。

顔を下に向けると、それに連動して腰が曲がります。腰が曲がった状態で膝を曲げても膝の屈伸運動にしかなりません。


このスクワットは腰痛を予防するためだけの地味な体操です。腰痛を防ぐだけで、痩せもしなければ綺麗にもならないし、何の達成感もありません。
しかし、簡単な腰痛ならその場で解消され、座り仕事の腰痛を防いでくれる優れた体操です。
せっかくの予防体操で腰や膝を痛めないように、しっかりやり方を覚えて、正しく実践しましょう。

ただ人前でできないのが欠点ですが・・・。