米国連邦食品医薬品局(FDA)は2008年12月18日、甘味料大手メリサントが申請したステビア甘味料「ピュアビア」と穀物商社カーギルが承認申請したステビア甘味料「トゥルビア」の安全性を承認しています。


ステビア甘味料の安全性に関しては、厚生労働省や日本ステビア工業会などが繰り返し安全を宣言してきましたが、一部マスコミが、あたかもステビアが危険であるかの報道を繰り返してきました。しかし米国FDAからステビアの安全性のお墨付きが下りたことで、ステビアの安全性に対する論議は終息を迎えました。


ステビア甘味料が、このように数年に一度、安全性に疑問符がつけられる報道がなされてきた原因は、1968年発行の科学誌「サイエンス」に掲載された「ステビアの全草煎汁がラットの出生率を20~30%低下させた」というプラナス氏の論文です。

しかしこの論文は、発表者プラナス氏の共同研究者を始め複数の米国の大学や西独の研究者によって否定され、さらに75年、81年の二回、日本でも厳格な実験方法によって交配・妊娠前後試験が実施され、「妊娠抑制作用は認められない」ことが明らかにされているのです。


さらにステビア工業会安全性部会で念のため追試を行い、その結果、「プラナス方式の2~3倍量の摂取によっても、ラットの妊娠・出産には無関係である」との結果を得ています。


疑問の第二弾は、「発ガン性」の問題です。この疑問に対しては前出のステビア工業会安全性部会が、一般薬理試験、亜慢性毒性試験、慢性毒性試験、発ガン性試験を実施し、問題になるような結果は出ていないと報告しています。


さらに74年には、「ステビア甘味料糖転移品に毒性あり」という問題が持ち上がりました。これに対しても、英国ハンチンドン研究所の試験で疑問は否定されました。


毒性とガン原性試験は大阪市立環境科学研究所でも行われ、ステビアの安全性が確認されている。また催奇形性試験でも、「使用限度量である1000mg/日の経口投与でもなんらの催奇形性が認められなかった」と報告されているのです。


近年では、シンガポール・香港におけるステビア甘味料含有食品の撤去という問題がありました。これはEU諸国がステビア抽出物を食品添加物(甘味料)として未だ認可していないため、英国連邦であるシンガポール国政府並びに香港特別行政区で同様の対処をしたということであり、ステビアに関し、安全性問題が発生したための措置ではありません。


(逆にEU諸国の中には、日本で禁止されている人工甘味料チクロをいまだに承認している国もあり、チクロ入りの製品が輸入されれば、日本でも撤去措置がとられます)


この間、ステビア工業会は、国際的な承認を得るべく、数々の安全性試験を実施し、JECFA会議(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)などに様々な資料を提出してきた。その結果、2008年6月にイタリアのローマで開催された第69回JECFA会議に於いて、ステビア抽出物(ステビオール配糖体)の正式な一日許容摂取量(ADI)が決定され、さらに、10月9日にはオーストラリア・ニュージーランドFSANZ(豪州・ニュージーランド食品基準)もステビアに許可を与えたのです。


そして米国FDAにおける承認へと続いてきたわけです。今後はヨーロッパ、東南アジア諸国などでも許可される動きが早まるものと思われます。



米国食品医薬品局(FDA)のステビア甘味料の承認を受けて、承認後早々に、米コカ・コーラ社がレモンフレーバーを使用した「スプライト・グリーン」、米ペプシ社が、新フレーバー3種を使用した「ソービー・ライフウォーター」と、ステビアを採用した商品をそれぞれ発売しました。


 また、米コカ・コーラ社の子会社のオドワラ社もフルーツジュースの新商品でステビアを採用、昨秋に南米でもテスト販売した後に北米でも販売を開始しました。

 いずれの商品もカロリーハーフやナチュラルを売りにしています。飲料以外では、穀物メジャーの米カーギル社がステビアやエリスリトールなどを配合したカロリーゼロの卓上甘味料「トゥルビア」を北米で発売するなど、ステビア商戦が活発化してきました。

 コカ・コーラやペプシ、カーギルといった大手メーカーが相次いでステビア入り商品を発売したことで、米国でステビアの知名度が高まりそうです。


今後、甘味料ステビアは「カロリーゼロの天然甘味料」としてステビアが甘味料市場を開拓して行くことが期待されています。