早いなぁ。
もうすっかり1年が経ちそうです。

キューバに行ってからもう1年が経とうとしてるなんてな。
信じられへんや。

その間、色んなことがあったのにな。

大事な犬だって亡くなった。
イギリスに2ヶ月間くらい出張してたり、
仲間とワクワクすることだって企んだ。



思うねんな。
世界地図の上を走り回る様になってから。

本当に何も知らへんって。
世界のこと。
自分のこと。
近くにいる人のこと。

例えばさ、スーパーに行けば手に取れるバナナ。
バナナがどんな風に気になってるなんて
ホンマに知らんかった。

というより知ろうともしたことなかったし、
考えたことすらなかった。
誰が、どこで、どんな風になんてさ。

自分に何が出来るかとか考えてるフリしてた。
それはそれで本当なんやろうけど。
もっと知らないといけないと思うのな。



何も知らない。
生きるモチベーションなんて
それだけでいい。




ゆっくりと身を沈める。
焦ると身体がビックリするから。
ゆっくりと耳を傾けながら。

じんわりと溶け出していく。
暖かいお湯に身をつけたときのよう。
柔らかくほとけてく。

大きい球を想像してみる。
この辺にはきっとあの人が、
あの辺にはきっとあそこでであったあの人が
って想像してみる。

忙しいからって想像力を失ってたらあかん。
所詮人は自分が想像できる中でしか生きれへんからね。
広い世界を想像する。
小さな世界のように繊細に。
随分長い間があいちゃったなぁ。
話したいことはいっぱいあるのにな、
話したいってことを忘れてしまう前に少し続きを話そうかな。

随分キューバで書いていたことに救われることが多いな。

何から話そうか。
あ、そういえばキューバでこんな話を聞きいた。


たまたま出会った人にたまたま紹介してもらって日本の専門商社の
駐在員の方に会ってさ。

その頃すでに商社に就職することを決めていて、
駐在の生活や、いろんな話をききたいなって思ってて。
そんな彼に連れ出してもらって色んなキューバ人に会えた。

その中にマベルっていう女の子?がおったねん。

初めて友達という感じで接するキューバ人やったから
すごく覚えてる。
その時にきいた話がめっちゃ印象に残ってる。


キューバ人の平均給料が1500円/月くらいしかもらえないらしい。
知っていはいてん、前から。
でも1500円というのはあくまでも日本円であって、そのくらいあれば
余裕でキューバでは暮らせるのかと思ってた。

生きるために、彼らはみんなどこかでズルして生きているらしい。
生き方にズルがあるのかは分からないけど、
社会的にズルをして生きているらしい。

1500円じゃどうやっても生きれないからね、と
彼女はそんな風に言ってた。
具体的に何をなんて公安がどこにいるか分からない外では
言えないみたいやけど。

「電話番号教えてよ。」
そうやってにこやかに彼女は言う。
「公衆電話から電話をかけるから」って。

でも彼女は受信はしない。
電話は家にないからね。
だから電話番号をいつも自分から聞いて、小さなノートに入れて
もっているらしい。



きっとこんなん言うても伝わらないんやろうけど、
彼らの、途上国と呼ばれる所に棲む人の生命力にはいつも驚かされる。

彼らのことをかわいそうやとは、オレは思わない。
あんなに素敵に笑えるからな。

ただオレらは、弱いなぁと思う。
すぐなんか難しそうとか、できないとか、そう言って
逃げたり諦めたり。

オレらにはチャンスがいくらでもある。


彼らと比べてこう気づいてしまうのは本望じゃないけれど、
こんなことを言うのはなんか悔しいけれど、
やっぱり彼らより、限りなく多い。

何してんねん。って話よ。
ちょっとなんか分からんからて諦めんなよ。と。

あなたは24hrsいつでも好きなときに、
好きな人に、電話をかけれる訳よ。

と。


オレらに出来ない理由は何1つない。
1つもない。


何か1つ今日も挑戦できたかなって振り返って、
彼女が素敵な笑顔で番号聞いてくれたことを思い出して
今日もまたちょっと救われる。






社会主義のキューバは不思議な国で
あんまり普通に日本や、諸外国じゃ想像できないこともある。

たとえばお金とか。
二重貨幣なんていう言葉今まで聞いたことなかった。

お金に2種類あって、CUCっていう単位の外国人旅行客なんかが使うお金と、
CUPっていう地元民が使うお金があったりするん。

値段は1CUC=25CUP

普通外国人は25倍の値段で生活しないといけない感じ。
全然そんなに単純じゃないけどさ笑
地元民も高額のものとかはCUC使ってるし、
CUPは食べ物とかにしかあんま使ってるイメージないし。

そういう違いを楽しみながら、
でもやっぱり新しい環境に慣れるまでって意外に時間がかかる。

最初の何日ははしゃいだ気持ちで楽しいけど、
あと1ヶ月もあると思うと疲れたりもする。
意外にな。

ていうのもオレはキューバの水があんまり好きじゃなかったから。
水が合わないってホンマにあるんやな。

水がさ、おいしくないと、些細なことやねんけど、
なんかすげーその場所と距離を感じるねん。
水ってミネラルウォーターの水な。
なんか違うねん。なんて説明していいか分からんけど。

この先不安になる気持ち。


でもそういうのを挽回できるのもやっぱり些細なことで。
その一つはバスやった。


キューバ(観光地、特にハバナ)には外国人用と、地元民用のバスがあって
外国人用は乗り放題で1日$5(=5CUC)とかそのへん。
でも地元民用は1回20セント(0.2CUP)やからその差はすげえ。

でも地元民用はいつくるか若干謎やし、
めちゃめちゃ混んでる笑



ホンマはキューバ人しかのったらあかんねんけど、
乗ったった。
もちろん不安な気持ちマックス。
どこでおりたらええか分からんし、満員やし、駅の名前もあやふややし。

でもここってどこどこ(目的地)?って周りの人にきいたら
みんなすげー親切にあと何個とか、
この次やで!とか、
満員の中ちゃんと降りれるように後ろからおもくそ押してくれたり。


そういうささやかな生活の中にはいっていけたことで
俄然、水の合わなさとかの生活の不安が
すーーーっとなくなんねん。


郷に入れば郷に従えじゃないけど、
地元の移動手段を使うことが
すっかりメンタル的に旅をしやすくしてくれた。

新しい土地にいったら地元の人と一緒の方法で
移動してみること。

同じ方法で生きること。


案外自分達に違いはないんやって、
あー同じ人間なんやって、
だんだんと見えてくるんです。


そしたらさ、地元をブラブラすることも
日本をブラブラことも、
世界をブラブラすることも、
案外何も変わんないんやって思えるねん。



そういう変わらないところで
世界と繋がっていたいと思えて来たりもするねんな。


バスに乗っただけやのにな。




旅をし始めると、

どこへでも行ける自由とどこにも行かない自由と、
何をするのか決めれる自由と何もしないっていう自由が
手に入る。


1年間、オーストラリアから帰って
日本で生活していた中で、今回その自由を手に入れると、
自分が随分”一般的”な流れ
に乗ることに一生懸命やったことに気づいた。


就活だって。
バイトだって。


いつやって、誰かに
何をしてるのか
自分がなんの為にそれをしてるのか
そういうことを社会に説明しなあかん気がしてた。


地球はでべそだ。 - 商社マン 篇


やから、説明せんでもみんなが共通して知ってるコトを
選んでやってた。

就活だって。
バイトだって。

大学生です。バイトしてます。就活してます。
そう言ったら誰も、え?みたいに見ないからね。




キューバに来たのにはそもそもなんかがしたかった訳じゃないし
強いていうなら興味やったから、
日本で乗ろうとしてたことから少し離れた視点が持てた。

なんの目的もなく、
行き先も決めんと、
ぶらーって街とかあるく訳です。

そしたらさ、始めの一瞬は新しいことばっかりで楽しいねん。
けどそのうち無目的に歩くことが段々辛くて、疲れるのな。
そんな風に思い始めてしまう。


そんとき気づいたねん。
目的を持って、「なんのために」を持って、
なんかをするってのはいかに楽かって。

日本で”一般的”な流れに乗ることに一生懸命になってるうちに
そんな決められたダイレクションの中におるうちに、
それに沿って動く。っていうメンタリティがついてることに気づいた。

ある程度決められた中で、自分で全部考えて動くこと少なくなってた。
やから多分、そんな自由を手に入れて、
無目的にブラブラするんが辛かったんやと思った。


どっちがイイとか分からんけど、
オレはそんとき、目的がないと何もできん。
てなったら終わりやと思った。

何かのためになんかやるってさ、スマートなのかもしれへんけど
オレはどうもそれだけじゃない気がしてる。


そういえば、春樹くんもどっかの中で
「ぼくの不完全な人生から無駄を省いたら
その不完全な人生が不完全ですらなくなってしまう。」
みたいなことを言ってた。

「いらないことは、しすぎるほうがいい。」
草野正宗くんも、そう言ってた。

その通りやとヒシヒシと思うんです。
無駄なことをすることがインスピレーションを生んでくれるしさ。


地球はでべそだ。 - 商社マン 篇


何をするにも目的を持とうとする自分をリセットする。



それが旅をする、ブラブラする理由のひとつかもしれんな。
って思ったんです。


一般的な流れに乗ることが気持ち良くなってた。

そこに自分の気持ちとか考えることは要らなくて、
それに慣れちゃってるところがあったって気づいた。


そんなことをキューバについてすぐ思って、
その後随分そのことについて考えることがあった。