神田岩本町の開業社労士のブログ

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東濃信用金庫(本店・岐阜県多治見市)の愛知県内の支店に勤めていた30代男性の自殺をめぐり、遺族が労災保険法に基づく葬祭料の不支給処分を取り消すよう国に求めた訴訟の控訴審判決が12日、名古屋高裁であった。

 

 長谷川恭弘裁判長は、上司による日常的なパワーハラスメントがあったと指摘。自殺は業務に起因する労災だと認定し、不支給処分を取り消すよう国側に命じた。

 控訴審判決によると、男性は2017年5月、「自分が弱いせいです。申し訳ございません」などと遺書に記し、自殺した。遺族側は労災だとして愛知県内の労基署に葬祭料を支給するよう求めたが認められなかったため、処分取り消しを求めて提訴した。

 

 一審・名古屋地裁判決は、男性が業務に起因する精神障害を発病したことは認められないなどとして、遺族側の請求を棄却していた。

 控訴審で長谷川裁判長は、男性の自殺前の半年間の業務状況から心理的負荷の程度を検討。男性には厳しい営業ノルマが課される一方、「バカ野郎!」「無駄に仕事してるふりしてるなら客をとってこい!」などと、当時の支店長から繰り返し厳しく叱責(しっせき)され、業務上の失敗の全責任を理不尽に押しつけられるなどしていたと指摘。叱責について「業務上必要かつ相当な範囲を逸脱する」「もはや指導とはいえず、いじめだ」と認めた。

 他にも、男性が休日にも支店長のゴルフ送迎などをさせられていた点にも触れ、「日常的にパワハラを行っている支店長を快く同乗させることができるはずはなく、男性の精神的苦痛は大きかった」と指摘した。

 これらの経緯を踏まえ、「支店で男性がおかれていた状況は異常」と判断し、パワハラによる強い心理的負荷によって男性がうつ病を発症して自殺したと認定。労基署による不支給処分は「明らかに違法」と断じ、一審判決を取り消した。

 男性の母親は判決後の会見で、「息子がなぜ自殺しなければならなかったのかちゃんと理由があり、真面目で一生懸命に仕事をして生きていたと認めてくれたのが本当にうれしい」と話した。

 

 労基署長は「判決文を十分検討し、関係機関とも協議したうえで判断したい」とコメントした。 東濃信用金庫は「今回の裁判は直接の当事者にはなりませんので、コメントは差し控えます」としている。

 

(朝日新聞のホームページより)