深呼吸  木原音瀬 | 世界の隅っこで読書するパンダ

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あらすじ:


谷地健司は20年近く勤めた外資系会社をリストラされ、40歳を過ぎて弁当屋でアルバイトを始めた。新しい生活に慣れた彼の前に突然、榛野が現れる。榛野はアメリカの大学院を卒業したエリートで、谷地を冷酷に解雇した年下の上司だった。二度と会いたくないと願っても、彼は毎週末やってきては弁当を買って話しかけてくる。その真意は…。


イラスト: あじみね朔生


おすすめ: 星星星星




過去の話をちょい。

7~8年前でしたか、ダ・ヴィンチで“BL作品に芥川賞を(確か)”という特集を読んで、「三浦しをんさんが推すなら読んでみたい」と思ったのが木原さん。

それがこの世界に出戻るきっかけの一つになりました。

結構決心が入りましたが(^^ゞ



お目当ての『箱の中』『檻の外』を読み、キツかったけどやっぱ感動はハンパなく、他にもこうした作家さんがいるなら読まないなんてありえないわ!

と、まんまと樹海にはまっていったわけです。。。



で、木原さん大好きではありますが、ビビって読めない物も割とあり、、、あせる

だからといって「痛くない木原さん」というレビューは私の場合絶対ではなく、ノーマークだった作品にカウンターくらったりしますグー


『恋について』という本でしたが、、、(はい、ロンリーですとも)

ま~作品のせいではなく、あくまで私の個人的「地雷」のせい。

木原さん、あの上手~い文章で私の一番でかい失恋の傷をトレースしてくれちゃった、、、(:_;)

だからその本は売った。。。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



前フリが長かったですが『深呼吸』、すっごいよかったです!

なぜ2年も寝かしちゃったのかしら。

もっと早く読めばよかった。



主人公・谷地の枯れ感、なかなかいいですね~♪


リストラされ、パッと目にしたお弁当屋さんの求人で、即バイトしちゃうとこがいいグッド!

普通は以前の職に少しでも見合った再就職をしたいものでしょう?

しかしこの谷地さん、元々向上心はなく、仕事は食べていくため。

平坦な生活を送ることが何より大事。

――と割り切るジミ~なおじさんです。


でもなんか好き。

ミステリー読みなのもいいですね~。


あとね、通い猫がいるのもいいんですよネコ

「うちは別宅。ボクは2号さんです」的な(笑)



すんごい大事件が起こるわけではないんですよね(小事件はあったけど)

とても静かにお話が流れてゆくのです。

谷地側から書かれてるから。



榛野側から書かれた『深呼吸 2』は、一喜一憂のジェットコースターストーリーになってました。

榛野さん、上がったり下がったり、宙返りしたりあせる

ってカンジで大忙しでしたぁ(;´▽`A``



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



榛野サイドの『2』、意外にもかわいく乙女(?)な内面描写に非常に好感ドキドキ


注意すいません、ネタバレしてます。










赴任先のロンドンで谷地からのエアメールを受け取った榛野のかわいさったらないわ~。

“ロンドンに旅行することにしました”
という一文を「7回読む」→「デスクに置く」→「コートを脱ぐ」→「また読む」

(〃∇〃)

かわいいじゃないか~。



合理主義、冷徹、愛想無し、、、そんな上司にしたくない男NO・1が、いーーっぱい右往左往する『2』!

最高ですね☆

谷地がほんとにロンドンにやって来ちゃったら、もう、いつもじゃ絶対するわけがない失態がじゃんじゃん!


んっふっふ!

顔色一つ変えず、お愛想一つ言わずに部下のクビを切れる男がね、きのこを上手く切れなくて悲しくなったり、惣菜を皿に盛ったのを褒めてもらって喜んだり(笑)

もうね~~~人間だもの!み・つ・お音譜



『2』も特別事件が起こるわけでもない(榛野にとっては大事件頻発なんだけど汗

やっぱ谷地に流れる時間は人を安心させるな~♪

と、このマイペースで真面目で優しいおじさんをとっても気に入ってしまったわ。

( ´艸`)ドキドキ



んで、ようやっとお付き合いする運びになったと思ったら、すぐ谷地帰国の日に。

それにしても、ラストがほんとうにほんとうに素晴らしいですね!!


榛野が初めて感じる孤独が痛い。


一人で帰ったフラット。

一人で買ったパン。

一人で鳩にエサをやる。

そ、そんで冷蔵庫を開けたところでもう私ダメあせる

や、谷地さん~~~(ノДT)



すごいわやっぱ。

映像が浮かぶわ。

色とりどりの食材が詰まった冷蔵庫。

床を転がって止まる、真っ赤なリンゴ。

くすんだ海色のマフラー。



実っても実らなくても恋は苦しい。



「ハッピーエンド」をこんな風に終える木原さんは、すごい。




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