- 深呼吸 (ビーボーイノベルズ)/リブレ出版
- ¥893
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あらすじ:
谷地健司は20年近く勤めた外資系会社をリストラされ、40歳を過ぎて弁当屋でアルバイトを始めた。新しい生活に慣れた彼の前に突然、榛野が現れる。榛野はアメリカの大学院を卒業したエリートで、谷地を冷酷に解雇した年下の上司だった。二度と会いたくないと願っても、彼は毎週末やってきては弁当を買って話しかけてくる。その真意は…。
イラスト: あじみね朔生
おすすめ:
過去の話をちょい。
7~8年前でしたか、ダ・ヴィンチで“BL作品に芥川賞を(確か)”という特集を読んで、「三浦しをんさんが推すなら読んでみたい」と思ったのが木原さん。
それがこの世界に出戻るきっかけの一つになりました。
結構決心が入りましたが(^^ゞ
お目当ての『箱の中』『檻の外』を読み、キツかったけどやっぱ感動はハンパなく、他にもこうした作家さんがいるなら読まないなんてありえないわ!
と、まんまと樹海にはまっていったわけです。。。
で、木原さん大好きではありますが、ビビって読めない物も割とあり、、、
だからといって「痛くない木原さん」というレビューは私の場合絶対ではなく、ノーマークだった作品にカウンターくらったりします
『恋について』という本でしたが、、、(はい、ロンリーですとも)
ま~作品のせいではなく、あくまで私の個人的「地雷」のせい。
木原さん、あの上手~い文章で私の一番でかい失恋の傷をトレースしてくれちゃった、、、(:_;)
だからその本は売った。。。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
前フリが長かったですが『深呼吸』、すっごいよかったです!
なぜ2年も寝かしちゃったのかしら。
もっと早く読めばよかった。
主人公・谷地の枯れ感、なかなかいいですね~♪
リストラされ、パッと目にしたお弁当屋さんの求人で、即バイトしちゃうとこがいい
普通は以前の職に少しでも見合った再就職をしたいものでしょう?
しかしこの谷地さん、元々向上心はなく、仕事は食べていくため。
平坦な生活を送ることが何より大事。
――と割り切るジミ~なおじさんです。
でもなんか好き。
ミステリー読みなのもいいですね~。
あとね、通い猫がいるのもいいんですよ
「うちは別宅。ボクは2号さんです」的な(笑)
すんごい大事件が起こるわけではないんですよね(小事件はあったけど)
とても静かにお話が流れてゆくのです。
谷地側から書かれてるから。
榛野側から書かれた『深呼吸 2』は、一喜一憂のジェットコースターストーリーになってました。
榛野さん、上がったり下がったり、宙返りしたり
ってカンジで大忙しでしたぁ(;´▽`A``
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
榛野サイドの『2』、意外にもかわいく乙女(?)な内面描写に非常に好感
すいません、ネタバレしてます。
赴任先のロンドンで谷地からのエアメールを受け取った榛野のかわいさったらないわ~。
“ロンドンに旅行することにしました”
という一文を「7回読む」→「デスクに置く」→「コートを脱ぐ」→「また読む」
(〃∇〃)
かわいいじゃないか~。
合理主義、冷徹、愛想無し、、、そんな上司にしたくない男NO・1が、いーーっぱい右往左往する『2』!
最高ですね☆
谷地がほんとにロンドンにやって来ちゃったら、もう、いつもじゃ絶対するわけがない失態がじゃんじゃん!
んっふっふ!
顔色一つ変えず、お愛想一つ言わずに部下のクビを切れる男がね、きのこを上手く切れなくて悲しくなったり、惣菜を皿に盛ったのを褒めてもらって喜んだり(笑)
もうね~~~人間だもの!み・つ・お
『2』も特別事件が起こるわけでもない(榛野にとっては大事件頻発なんだけど)
やっぱ谷地に流れる時間は人を安心させるな~♪
と、このマイペースで真面目で優しいおじさんをとっても気に入ってしまったわ。
( ´艸`)
んで、ようやっとお付き合いする運びになったと思ったら、すぐ谷地帰国の日に。
それにしても、ラストがほんとうにほんとうに素晴らしいですね!!
榛野が初めて感じる孤独が痛い。
一人で帰ったフラット。
一人で買ったパン。
一人で鳩にエサをやる。
そ、そんで冷蔵庫を開けたところでもう私ダメ
や、谷地さん~~~(ノДT)
すごいわやっぱ。
映像が浮かぶわ。
色とりどりの食材が詰まった冷蔵庫。
床を転がって止まる、真っ赤なリンゴ。
くすんだ海色のマフラー。
実っても実らなくても恋は苦しい。
「ハッピーエンド」をこんな風に終える木原さんは、すごい。
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