*春に咲くことを忘れない*
平安初期頃までは花といえば梅、春を告げる花として人々に親しまれていて
それはとても自然に感じる…という話を ひとつ前の更新で書いたのですが、
当時詠まれた和歌で好きなものがあるので紹介したいと思います^^*
「東風(こち)吹かば にほひおこせよ梅の花 主なしとて 春な忘れそ」。
今では学問の神様として知られていて、沢山の和歌を残した菅原道真が
晩年、太宰府に左遷されることが決まったときに 毎年庭に花を咲かせる梅の木との別れを惜しんで詠んだといわれる句です。
意味合いとしては、現代語だと
「東方からの春風が吹く季節になったら、その風に乗せて匂いを届けてほしい。
主である私がいなくなっても、春に咲くことを忘れるな」
という感じでしょうか。
(「東風」は春の季語で、この句の他にも「春を運んでくれる風」というような意味で 多くの詩人が和歌に使っています*)
この時代に梅の花が愛されていたのが伝わる、情景が浮かんでくるような一句。
春らしい風が吹くとき、そこに梅の木がなくても思い出します*+:。.。