前回 の続きから)

市川らの考えは、都市と人間のトランザクションを示している。
つまり、都市は人間に影響を与え、
人間もまた都市に影響を与えているということである。

このような相互作用を論じる上で記号論は示唆に富んでいる。

都市は<近接性>・<コード>・<意味>・<象徴性>などといった
記号論の枠組みの中で論じることができる。

よって、ここでは記号論的な視点から都市空間と人間との
相互作用を論じていきたい。

2.都市における情報

都市が圧倒的な情報量を有していることはすでに述べた。
都市は様々な言説・情報・イメージ・文化を生み出すと同時に。
都市そのものも情報となっている。

Lynch(1960)は、都市環境のlegibilityを前提に、
都市のイメージの構成要素として

path(各種の道筋)
edges(各種の線状の要素)
districts(都市の部分)
nodes(都市内部の主要な集合点)
landmarks(外部から認識できる特徴的・点的な要素)

の5つを挙げている。

つまりこれは、都市が断片的情報から構成され、
それらをコード化し再構成することで我々が都市を捉えていることを
示唆しているのだ。

言い換えるならば、都市は記号をコード化し解釈し意味を抽出するという
記号論の一連の流れを経て捉えられているのである。

Lynchの研究は、都市計画や建築・心理学などにも影響を与えた。
今日ではLynchの概念に批判的な研究者も少なくないが、
それでも未だに引用される重要な文献である。

2-1.landmarksについて

Lynchの挙げた5つの構成要素のうち、
landmarksは特に記号論と関わりが深い。

津川(2003)によれば、landmarksとは
「極めて地理的な存在・対象であり、地理的空間において象徴性・記号性・場所性・認知性
などの諸特性を有し、人々の空間行動を支え、
空間イメージや原風景を形成する景観の一要素」であるという。

そして彼は、landmarksに求められるものとして、
「認知性・視認性・アクセント・利便性・快適性・時代性・芸術性・方向位置
などの多様な情報」としている。

これらは、
主観的・客観的、物理的・心理的・機能的という違いはあるものの、
情報を解釈することで得られるものであろう。

さらに、landmarksの象徴性は希少価値の大きさに比例し、
その記号性は適切・適度に分布・配置することで
空間認識を促進することも述べている。

[参考文献]

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