毎日、午後2時近くになると、いつものメンバーから、いつものメッセが飛んでくる。
「そろそろ、おひるどおですかー。」
ちょっと遅い、ランチのお誘いだ。

フツーの会社だったら、かなり遅めのランチタイムだが、なにしろ私のいるクリエイティブの部署は、大半が夜中まで仕事をしているため、その分、立ち上がりが遅い。会社全体の始業時間は、一応、午前9時にもかかわらず、10時にいっても人がまばら。ようやく11時近くになって、「おはようございまーす」という声とともに、人がぽつりぽつりと増えはじめるといった状況だ。そんな理由で、ランチの時間帯もそのまま後倒しになってしまうのである。

「今日、どこ食べにいく?」と同僚。
「らーめん、かなー?」と私。
そこで、すかざず突っ込みが。
「ていうか、よく考えてみたら、週5日はらーめん食べてない!?私たち」
「それって、週末以外、毎日、らーめん食べてるって、ことじゃん!」
と、もうひとりの同僚。

確かに、忙しくて時間がない時に、てっとり早く食べられる、らーめんはうってつけ!...にしても、週5日はいくらなんでも、食べ過ぎだ!これが、らーめんはそんなに好きじゃない、なんていう人がなかに一人でもいれば、そんなことにはならないのだが、ここにいる人たちは、みんならーめん大好き、な人たちである。

かつて、らーめんが主食!?というほど、らーめん好きな人とおつき合いをしていた時に、よくデートでらーめん屋に連れていかれ、それでちょっと店にも詳しくなった程度の私だが、それにくらべて、週5日はらーめんを食べてる、と指摘したその同僚は、旅に出ると必ずその土地のらーめんを食べて帰ってくるほど、らーめんの店にはめちゃくちゃ詳しい。というか、らーめんを食べるために旅に出てるんじゃないか、と思うほどだ。

「どこに食べにいく?っていうのは、どのらーめん屋にいく?って意味になってない?」
この時、たまたま一緒にエレベーターに乗り合わせていた、カメラマンと一瞬目が合った。彼は、笑いを押し殺すのに必死の形相をしている。が、そんなことには、おかまいなしの同僚が、またしても突っ込みを入れる。

そう、悪いことに!?ここ恵比寿は、らーめん激戦区といわれるくらい、らーめんの店が多い。らーめん店が、よりどり、みどり状態なのだ。
とはいえ、よくいく店は、なんとなく、みんなの好みで決まってくる。とんこつ細めんタイプが好きな私としては、本当は「じゃんがららーめん」が近くにあってくれれば嬉しいのだが、ここからだと、わざわざ原宿まで出なければならないため、大抵、会社の裏の「一風堂」か「たいぞう」か、「たいぞう」の向かいの「担々麺の店」...etc.になってしまうのだが。

「切ったら、絶対、背あぶらが出てくるよ...こわっ!」
もうひとりの同僚が、突っ込む。

そうなのだ、カロリー&コレステロール値高めな印象からまぬがれられないのが、らーめんの悲しいところ。ま、その分、どこかできっちりバランスをとればいいのだ。青汁だって、酢だって毎日飲んでるし、寝る前に、フツーの大人には見えない!?相棒に、ちゃんと浄化してもらってるもん♪ほほほほー。(ちょっと、ミラクルな話入れてみました)

この話を、少し前に知人にしたところ、「あーたの成分は、鉄の意志と税金と理論とミスリルでできていて、その間に、らーめんが詰まってるんだよ、きっと」という、こたえがかえってきた。成分とは、インターネットで以前話題になった「成分占い」のことだ。ま、そうかもね、なんて軽く同意してみたりして。

そんな、どうでもいい話をしているうちに、エレベーターは1階に到着。
「で、今日はどこにいく?」

なにも決まらぬまま、なんとなく向かった先は...
やっぱり「たいぞう」だった。