◎「ソウル・サーチン:ザ・セッション~スライ・ストーン・トリビュート」レポート(パート1) | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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◎「ソウル・サーチン:ザ・セッション~スライ・ストーン・トリビュート」レポート(パート1)

【Soul Searchin: Report】

第11回。

昨年のマイケル・ジャクソンに続いてお送りした、毎回一人のソウル・レジェンドをピックアップしそのアーティストについてのトークとリアル・ミュージシャンによるライヴで魅力を探るイヴェント「ソウル・サーチン」。第11回は、ファンク・レジェンド、スライ・ストーン。2012年3月29日、目黒のブルース・アレイで行われた。

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今回は、スライということで、大のスライ好きで、超研究されているスガさんに、とりあえず、見にいらっしゃいませんかとお誘いしたところ、ほんとに見に来ていただけて、強引にステージに引っ張り上げて、おしゃべりにおつきあいいただいた。いやあ、面白かったなあ。それにしても、あのギター・サウンドや、スライ・レコードの徹底研究ぶりの話は最高だった。

今回の趣旨、スライのソウル・サーチンは、次のプリンスのソウル・サーチンへの布石だと説明したら、スガさんから「プリンスも死ぬほど話したいことある。飛び入りしたいかも」などと言っていただいた。

さて、冒頭で、まず、「スライのギターのワウ・ペダルは、ほかのジミ・ヘンドリックスなんかのベタっとした重い音ではなく、スカスカのサウンドなのが特徴。テレキャスターなんかを使って、あまり、歪ませてないから、ああいう音になるんです」といきなりマニアックな話から始まり、過去の資料を漁って、スライがどんなギターを使っているかを調べ、徹底的に調べたという。「ワウのかけかたもいろいろあって、ワウ(・ペダル)自体が100種類くらいあるんですよ。その中でアイバニーズという(メーカー)のがスライそっくりの音がでるんです。とにかくいっぱい使って、それを探り当てたんです」

ワウ・ペダルは、けっこう消耗品ですでに廃版になっているので、中古を何個も買い集めているそうだ。

「ワウは普通、リズムに対してオンで踏む。1-2-3-4だと、そこにあてて踏むんです。でも、スライは、フレーズで踏むんです。だからリズムと関係なく、踏んでるんです」と鋭い分析。

「それは、スライが意識してそうやったんですか、あるいは酔っ払ってるうちにやってたんでしょうか」と尋ねると、「あくまで主観ですけど」と前置きして「ほとんどが酔っ払ってたんじゃないかと思います」とあって、大受けした。

また、スライは楽譜が実に強いというお話なども出た。

そして、スガさんとのトークの合間に、今回の目だま、スライのホームビデオ映像をスクリーンに流した。ビデオは3本あり、1本目は、2010年1月の来日公演のためのリハーサル・スタジオでの様子。黄色の帽子、パンツなどで相当インパクトのある姿が映し出された。「日本でもあるんですが、大御所が来て、まわりのみんながめちゃ緊張してるというか。そんな張り詰めた空気が漂ってますよね(笑)」とスガさん。

2本目は、スライが来日(2010年1月)したときに、ホテルの部屋で自分のマックで曲作りをしていて、そこにいたギターのトニー・メイデンとジャム・セッションを始めたときの映像。

3本目は2011年12月、スライが入っているマリブのリハビリ・センターの前の道端にピックアップトラックを止め、そこにギター・アンプをつないで、トニー・メイデンとスライがギターをただかき鳴らすという映像。スライの姿がまるで浮浪者かホームレスかと思えるようで、興味深かった。

第二部のトークでは、スライがファミリーの内部でもいろいろなメンバーと確執があったことなどを話した。

たとえば、超絶ベースのラリー・グラハムがなぜファミリー・ストーンを去ったかという話などもした。それは、ラリーがスライの妹のロージーと出来てしまったから、スライがラリーを嫌いになったため。また、ラリーはスライの弟フレディーの妻とも寝てしまった。まさに「ファミリー・アフェア」で、それでスライはラリーが大嫌いになった。

当時スライはギャングなど暗黒の世界とつながりがあり、ラリー憎しのスライは、ギャングにラリーを殴れ(beat him、今風に言えば、ラリーをボコボコにしてこい、といったところか)という指令を出したらしい。ラリーは、それから辛うじて逃げ、以来、スライには近づかなくなった、という。

で、その話をするとスガさんが「そんな話、どこから仕入れたんですか」と言うので、「実は、フィリップ(・ウー)から聞いたんです。彼はむこうの音楽裏事情にめちゃくちゃ詳しいんで」と説明。

実は、これ、月曜のリハのときの雑談の中でフィリップが僕にしてくれ、おもしろいのでトーク・ネタにしようと思って、一応、いろいろ調べてみた。そうしたら、スライの伝記本の中に、これに近い記述があり、裏が取れたのでお話した。

そんなこんなでスライ話にはキリがなかったのだが、スガさんは2009年9月の初来日でブルーノートでやったときに、スライは15分もステージにいなかったことに腹を立て、ブーイングをしたそうだ。「やっぱりちゃんとダメなときは意思を示さないとダメなんですよ」といいつつ、「でも(初めて見られたんで)拍手はしちゃったんですけどね」と複雑な揺れ動くファン心を披露し笑いを誘った。スガさんの結論としては、「ま、はやくリハビリをしっかりしていただきたい。まともになって欲しい」ということになり、僕も完全に同意した。(笑) 

(ケイリブのスライ話など、明日以降につづく)

■ 当日、スガさんのブログで書いていただきました。なんとものすごい数のコメントが。この効果もあってか、何人かスガ・マニアの方もいらっしゃったようです

http://ameblo.jp/shikao-blog/day-20120329.html

■ ユーストリーム

演奏部分をユーストリームしましたが、その映像が途中ノイズが入ったり、切れたり、音も途切れてしまいました。どうもコード回線の接触不良のようで、ご迷惑をおかけしました。改めて綺麗な画像のものを後日アップします。

■ 前回ソウル・サーチン~マイケル・ジャクソン

2011年08月31日(水)
『ソウル・サーチン~ハッピー・バースデイ・マイケル・ジャクソン』
http://ameblo.jp/soulsearchin/archive1-201108.html

■ エッセンシャル

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『ソウル・サーチン:ザ・セッション Vol.11~ア・トリビュート・トゥ・スライ&ザ・ファミリー・ストーン』

出演 ケイリブ・ジェームス&ザ・ソウル・サーチャーズ・フィーチャリング・フィリップ・ウー

メンバー

ケイリブ・ジェームス(キーボード)Kaleb James
フィリップ・ウー(キーボード)Philip Woo
日野ジーノ賢二(ベース)、Kenji Jino Hino
マサ小浜(ギター)、Masa Kohama
シン・タカダ(ドラムス)、Shin Takada
グレッグ・ハートリッジ(オルガン&ヴォーカル)Greg Hartridge
ゲイリー・スコット(サックス&パーカッション)、Gary Scott

アージー・パイン(ヴォーカル)Argie Pine
ポーラ・ジョンソン(ヴォーカル)Paula Johnson

MC 吉岡正晴
飛び入りトークゲスト スガシカオ

■ セットリスト 「ソウル・サーチン~スライ・ストーン」2012年3月29日(木)@目黒ブルース・アレイ
Setlist

[ ] indicates original albums

Talk started 19:45
Talk Panel #1 

SET 1

Performance started 20:20
01. If You Want Me To Stay [Fresh](1973)
02. Hot Fun In The Summertime [Greatest Hits](1970)
03. Everyday People [Greatest Hits](1970)

04. You're The One [by Little Sister](1970)
05. Crazay [by Jesse Johnson featuring Sly Stone](1986)
06. Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin) [Greatest Hits](1970)

07. Everybody Is A Star [Greatest Hits](1970)
08. Stand! [Stand] (1969)
ended 21:20

talk started 21:30
Talk Panel #2

SET 2

Performance started 21:49
09. Sex Machine [Stand] (1969)
10. The Jam [by Graham Central Station](1975)
11. It Ain't No Fun To Me [by Graham Central Station] (1975)

12. Don't Call Me Nigger, Whitey [Stand!](1969)

13. MEDLEY 13-16 Babies Makin' Babies [Fresh](1973)
14. (You Caught Me) Smilin' [There’s A Riot Going On](1971)
15. Runnin' Away [There’s A Riot Going On](1971)
16. Sing A Simple Song [Stand!](1969)

17. Que Sera, Sera (Whatever Will Be, Will Be) [Fresh](1973)
18. Family Affair [There’s A Riot Going On](1971)


ENCORE
19. Dance To The Music [Dance To The Music](1968)
20. I Want To Take You Higher [Stand](1969)
show ended 23:15

(2012年3月29日木曜、目黒ブルース・アレイ、「ソウル・サーチン:ザ・セッション Vol.11 ア・トリビュート・トゥ・スライ・ストーン」)

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