第四百十一話、FELT F75 の訃報――Part2、真っ白な灰になっちまったよ……
峠連の直前に、発覚した愛車 FELT F75 のトラブル――。
まず最初の容疑者――ホイールの挙動が妙に怪しい。
長期間グリスアップしてないので、この際自分でやってみるコトにした。
D先生の手組ホイールの時に、なんちゃってグリスアップしてる ので手順はわかっている。
必要な道具は同じ。
板スパナ・モンキ・グリス・耳かき(一服盛るのに役立つ)
後輪を外してフレ取り台に乗せてみる。
まず回転状態を確認。
ん~、なんとなく回転が鈍い気もするけど、イチオ~回るよな~。
でも、ひょっとすると体重をかけた時にベアリングが不審な挙動するかもしれないし……。
ドッチにしろ掃除しないと。
念のためバラしてみるか?
手順もあいかわらず。
板スパナで内側玉押しを固定して、モンキで外側ロックナットを緩める。
玉押し・ロックナットを外すと、ベアリングが見えてくる。
シャフトを慎重に抜いて、ホイールをひっくり返し、耳かきでベアリングを一個ずつ取り出す。
(マメ知識:この時、耳かきの先端がさじ状になってるのが役立つ)
シャフト内部は中空なので、中にベアリングを落とさないよう注意。
ベアリングを取り出して、綺麗に拭いてグリスを落とす。
一個ずつチェックしてみたけど、欠けたり割れたり不具合はない……。
はて?
おかしいな?
ベアリングは犯人じゃなさそう。
とはいえ、ココまで作業を進めてしまうと、後には退けない。
ちゃっちゃと、カップ内部をティッシュで拭き取る。
埃なのか、摩耗した金属粉なのかワカランけど、
グリスが灰色のヘドロみたいになってた。
ドッチにしろコレを放っておくと、トラブルの元になりかねないので、ついでにグリスアップを済ませてしまう。
カップの中にたっぷりとグリスを盛りつけて、一個ずつ慎重にベアリングを詰めていく。
新品グリスは粘着性が強いので、そう簡単には落ちない。
指でカップの中に落として、耳かきで突いてカップ内にハメてやる。
(ココでも耳かきは使いやすい)
ベアリングを詰め終わったら、も一度上からグリスを盛って、耳かきでグイグイ奥に詰めてやる。
(ハブ内部は中空なので、ナンボでも入る)
玉押し調整・ロックナット締めを済ませて、またフレ取り台へ。
回してみると、やはり特に問題なさげ。
せっかくフレ取り台に乗せたので、ついでにフレ取りも。
もうコイツで、10000km以上走ってるはずだけど、0.1~0.3mm範囲に収まってる。
縦フレも、ほとんどなし。
(マメに抜重してるおかげです)
自分で言うのもなんだけど、フレ具合から乗り方を診断すると――綺麗に乗ってますね~。
イチオ~超微調整を加えて、精度を高めておいた。
む~。
どうもホイールは犯人っぽくない。
こ~なると、クランクが怪しい。
ひょっとするとBBが歪んで、クランクシャフトが綺麗に回らないのかも?
クランク・BBは、ロードバイクの心臓部だし、
もしもクランクだったらコストがかかる。
これは、厄介だな。
とりあえず、整備したホイールを装着して、展示台に乗せてクランクを回してみる。
トコロが不思議なコトに――
回るんですよ、綺麗に――
ありゃ?
ちゃんと回るじゃないか?
もう、ワケワカラン???
じゃ、試し乗りしてみよう。
そう思い、チェーンルブをさして、念のためキャリパーを調整。
しかし、乗ると何かがやはり不自然???
しかもトルクをかけると、グニョッ! と何かがホイール回転を邪魔する……。
ん、なんなんだ、こりゃ???
全くもって意味不明?????
こりゃ自分で見ても、ワケワカランな~。
シロート目で見破れない何かが、おかしいのだろうか?
そう結論づけて、翌朝あ○ひ組に持っていくコトにした――。
翌日――5月15日(金)
この日、朝イチでリハビリ。
AM 10:00 頃に終わって帰宅。
ついでに一日お仕事も休みをもらっていたので、あ○ひ組に FELT F75 を持ち込んだ。
間の悪いコトに店長はお休み。
代わりにロードバイクに詳しそうなアンチャンが見てくれた。
事情を説明して、調子を確認してもらう。
「手でクランク回しても何も問題ないんよ。
何やろね?」
「あ~。確かに何も変なトコないですね~」
実際にその場で回してみると、
「とりあえず、乗ってみてくれる?
多分、乗ったらおかしな感触があると思う」
と、実際に乗ってもらって感触を看てもらうことにした。
――5分後
アンチャンが戻ってきた。
「僕の脚力じゃちょっとワカリにくいんですけど、
グッと踏み込んだら、微妙に変な感触ありますね~」
はて?
乗り手によって変わるのか???
で、もう一度チェックしたが不具合箇所がどうにも見つからない。
なので、再度試し乗りしてもらった。
今度はダンシングでトルクをかけながら――
――5分後
アンチャンが戻ってきた――。
ココで致命傷が発覚!!!
一目見てわかるでしょうか?
不具合箇所を拡大……。
ギャー!!!!!
ほぼ確実に致命傷……。
コレを修復するのは容易ではない。
エンド部分なら付け替えは効くが、
エンド取付部のアルミ地が破断!
こ、これは致命傷……。
なぜなら FELT F75 は、
シートステイがカーボン
チェーンステイがアルミ
のハイブリッドフレーム。
店長いわく、アルミだけなら探せば溶接できるビルダーさんもいるだろう、とのこと。
しかし、カーボンは熱に弱いので溶接するなら、外さないと無理。
さらに溶接ってコトは、熱で塗装が焼け付いて剥離するので、色も塗り直さないとダメ。
それに、アルミの溶接自体が技術的に難しいし、
仮に溶接できたとして、強度・耐久力が元通りになる保証もない。
トルクのかかる場所なので、くっついたとしても、また破断するかも……。
……ぶっちゃけ、コレもうリカバリ不能だろう。
参った~。
よりによってフレーム!
イチバン肝心な骨格じゃないか!
パーツなら部品交換だけで済むけど、フレームってコトは部品全部外して総とっかえ、しかない。
翌日――5月16日(土)
イチオ~店長に FELT社の代理店であるライトウェイに問い合わせしてもらうことにした。
修復はかなり難しいと思うが、念のため……。
あと、もうひとつの対処法としてフレーム交換。
2009 FA フレームセット
価格 120,750円(本体価格 115,000円)
カラー マットブラック
サイズ
500mm<165~180cm>
520mm<170~185cm>
540mm<175~190cm>
560mm<180~195cm>
2008年モデルと2009年モデルに違いはあれど、
おそらくジオメトリ的に、かなり近いブツのはず。
問題点は、
破損したのがフレームだけなので、フォーク・ヘッドパーツはいらない。
しかも、他のパーツは丸ごと生きてるんだから、流用しないと勿体ない。
なので、できればフレーム本体だけ供給してもらえんかな~?
と、まあムシのいい話だけど、イチオ~聞いてもらうコトにした。
まあ色的に黒一色なのもちょっとモノたらんけど、
FELTユーザーとしては、できれば修理の方向で逝きたい……。
でも最悪の場合、フレームセットごと交換だろうな~。
それに予算もかなりかかる。
色的に変わるのも、アレだし……。
はぁ~。
かなりショック……。
今まで数々のライドをともにしてきた相棒だけに……。(号泣)
とりあえず今日のトコロはもう何も考えられません。
また明日考えます――。
次回へ続く――