できる限りエピソードを思い出して書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。
アフリカンパイク
生息地:アフリカ
全長:50cm程度
餌:人工飼料や生き餌等
・まるでワニのような大きな口と牙をもつ野性味あるアフリカンカラシン。
・大きくなり過ぎないため、90cm水槽からでも迫力の捕食シーンが楽しめる。
・泡巣を作る習性がありアフリカンカラシンの中でも変りモノの魚種である。
@アフリカンパイクの種類@
以前はHepsetus odoeが知られ、1属1種であるとされていました。しかしながら、その後の研究により、複数種の存在が認められます。現在は5種が知られておりますが、観賞魚ルートでは単に「アフリカンパイク」と種分けされずに流通する事が多いでしょう。
「学名と大まかな生息域」
・Hepsetus occidentalis:カメルーンからコートジボワールなど
・Hepsetus odoe:コートジボワールからカメルーンなど
・Hepsetus lineata:カメルーンからガボンなど
・Hepsetus kingsleyae:ガボン(オゴウェ川流域)など
・Hepsetus cuvieri:コンゴ民主共和国、アンゴラ、ザンビア、ボツワナなど
いずれの種も全長はおおよそ25から37cm程度とされていますが、中には50cmを超える野生個体の存在が知られています。しかしながら、飼育下で大型化させるのは難しいでしょう。
「Kafue pike」という呼ばれ方もしますが、これはザンビアのカフェ川が由来です。産地としてはcuvieri種であり、釣魚として人気があるようです。また、観賞魚としてはナイジェリア産の個体が非常に美しいことで知られ、産地から推測するとodoe種であると思われます。アフリカの熱帯域に広く生息しているため、産地別にコレクションし差異を楽しむのも面白いでしょう。ちなみに、比較的多く出回るのはコンゴ産の個体とのことです。
現地では食用とされており中央アフリカのソンゴーラ族は、かき出し漁で掘り出し頭を叩いて動けなくした後に金だらいの中へ集め、塩とトウガラシで料理します。
上層で一定の位置にいることが多い。
@アフリカンカラシンとしての位置@
カラシンの産地といえば南米が大変有名であり、ショップで見かけるカラシンの仲間の殆どが南米種です。その昔、南米とアフリカが繋がっていたことは皆様ご存知の事でありましょうが、圧倒的に種が多様化しているは南米である事は明らかです。現在、カラシン目18科のうち、なんとアフリカンカラシンは4科にすぎません。
中南米の熱帯雨林面積が約400万平方キロメートルに対し、アフリカの熱帯雨林面積は約180万平方キロメートルと、東南アジアの約250万平方キロメートルよりも規模が小さいそうです。また、アマゾンの熱帯雨林で甲虫の調査を行ったところ、かなりの丼勘定の仮定とはいえ既知の全生物種数の10倍以上の種が生息しているとの結果報告があるようで、とてつもないパワーを南米から感じます。
「アフリカンカラシン4科」
・ディスティコドゥス科 Distichodontidae:ディスティコドゥス、ネオレビアス等
・キタリヌス科 Citharinidae:キタリヌス
・アレステス科 Alestidae:コンゴテトラ、タイガーフィッシュ、アドニステトラ等
・ヘプセトゥス科 Hepsetidae:アフリカンパイク
この図を見るとアフリカンカラシンはキタリヌス亜目とカラシン亜目に分かれています。例外はありますが外見だけで判別しますと、キタリヌス系統はディスティコドゥスやキタリヌスといった丸っこい体型が多く、カラシン系統はコンゴテトラやタイガーフィッシュ、アフリカンパイクといったシャープな体型の印象を受けます。
その他の種の説明は省きますが、アフリカンパイクはいずれも肉食性でバブルネストブリーダーといった特徴を備えている、アフリカンカラシンの中でも独特なグループなのであります。また、現地では夏に繁殖期をむかえ、雄が植物などに泡巣を作ることが知られています。
@アフリカンパイクの飼育について@
餌は馴れれば人工飼料も食べてくれます。ですが、アフリカンパイクの魅力を味わうには生きた魚を用意するといいでしょう。鋭い歯で獲物を捕らえ、大きな口を開けてゴキュゴキュ飲み込む姿は衝撃的です。
濾過はパワーのあるフィルターを使うと便利です。肉食魚であり、更に大食漢であるため水を汚しやすいと思います。水質悪化に特別弱いといった印象はないため、ある程度の汚れには耐えてくれると思いますが、そこに甘えてしまうと取り返しのつかない事になる危険性があるため注意してください。また、水流が弱いと尾筒がたれ下がってしまうように見えます。ある程度の水流がある方が良い姿勢を維持できるでしょう。
混泳は肉食魚であるためサイズに気をつけてください。私は半分程度の大きさのバンカスネークヘッドを捕食されたことがあり、腹がパンパンに膨れ上がった姿を今でも思い出します。性質は特に荒くはなく大人しい方でありますが、自身に攻撃してくる相手に対して攻撃を仕掛けるようになります。そこまで執拗に攻撃はしませんが、攻撃力が高いため注意が必要です。
タイガーフィッシュと並ぶアフリカで有名なフィッシュイーターのアフリカンパイクは、とてもカッコイイ魚です。ワニのような顔だけではなく、鰭の模様や鱗の光りも素晴らしく、その迫力と美しさに水槽の前でしばらく見惚れてしまう程です。きっと皆様も生で見れば飼育がしたくなることでしょう。注目です!!
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参考:Wikipedia、FishBase、本川達雄(2015) 『生物多様性』 中公新書、アニマ第7号(1974)