開業医「言いなりに診断書」 奈良市の長期病欠職員


2006年10月27日17時49分

 奈良市環境清美部収集課の男性職員(42)が病気を理由に休暇・休職を繰り返し、5年9カ月の間に8日しか出勤していなかった問題で、奈良市内の開業医が27日、「言いなりに診断書を書かざるをえなかった。利用された」と朝日新聞記者に証言した。この職員は記録の残る00年12月から現在まで、過敏性大腸炎や大脳酸素欠乏症など14の病名で計34回、休暇・休職を取得した。そのたびに診断書を市に提出し、多くを開業医が作成していた。

 開業医によると、42歳の職員は2年ほど前から繰り返し訪れるようになり、「神経を使うと下痢をする」「腰が痛い」などと訴え、過敏性大腸炎、胃潰瘍(かいよう)、腰痛の病名で診断書を20通ほど書いたという。

 42歳の職員の態度に威圧感があったといい、「訴えられた症状通りの診断書を作成した」と認めた。

 この病院には約5年前から、市環境清美部の他の複数の職員が診療に訪れるようになった。「それぐらいで休まなくても」と開業医が診断書の作成を拒むと、「しんどいから来てるんや」などと大声で怒鳴りつけられることもあったという。

 開業医は「いやと言えなかった。利用されて反省している」と話している。

 42歳職員の他の病名は市への提出順に、右ひざ関節炎、一過性脳虚血発作、多発性神経痛、左ひざ関節炎、椎間板(ついかんばん)ヘルニア、背部神経痛、左座骨神経痛、右座骨神経痛、左ひざ内側の側副靭帯(じんたい)損傷など。開業医を含む4病院が診断書を作成。職員は04年以降、三つの病名を交互に繰り返していた。

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 奈良市は27日、42歳の職員を懲戒免職、上司の管理責任者ら約20人を減給などの処分にした。

http://www.asahi.com/national/update/1027/OSK200610270044.html