たそがれ時の空目なりけり-2階席

10日に2階前方上手寄りにて観劇。


お年玉〈年始ご挨拶〉

担当は亀鶴丈。
最初の「かく賑々しく…」というご挨拶がすんでから、急に砕けた調子で喋りだす。
「いろいろ質問を受けるんですけど、今日は私からお客様に質問します」と客席に下りる。
最前列の方を指名したが、恥ずかしがってかなかなか答えてくれない。
「最前列に座ってるんだから責任があります」「一番前でも一番後ろでも料金は同じ」「劇場のどこからでもお芝居が見えるように出来てるので、前が良くて後ろが悪いというわけではないです」と頑張って、最前列の数人に話を振るが、なかなか答えてもらえない。
亀鶴丈は「このお客さん、空気が読めない」と毒吐きモードになりつつも、いろいろ喋って盛り上げてくれた。…5分の予定が10分のご挨拶になったけどね(笑)。


奥州安達原 袖萩祭文
以前、「瓜生山歌舞伎」で見たが、その時とは少し違うらしい。(でも、どこが違うのかは、記憶が曖昧でわからなかった。)
すごくでっかい腰元が振袖着て箒持って出てきたのに驚いた。
平傔仗直方(男女蔵丈)は厳しい態度をとりつつ、袖萩(勘太郎丈)が語り始めると、袖萩の方を見ていたのが印象的だった。(その後、また前を向いていた。) この芝居は、やっぱりお君ちゃんが泣かせる。


安倍宗任(愛之助丈)が登場し、袖萩に「平傔仗を殺せ」と刀を渡す。
宗任の「兄に代わって離縁するぞ!」という台詞といい、浜夕(歌女之丞丈)の「武士の妻ゆえ…」という台詞といい、女性が自由な時代に生まれてよかったとしみじみ思う。
宗任は八幡太郎義家(七之助丈)から通行証をもらって去っていく。


桂中納言に化けていた安倍貞任(勘太郎丈)が八幡太郎義家に見破られ、派手にぶっかえって戦いを挑むも、止められる。袖に取りすがるお君ちゃんがいじらしい。
宗任は押し戻しでもするんかいってくらい派手な衣装になって再登場。
最後、登場人物が揃って幕。
いいお話なんだけど、正月早々(それも浅草で)見るのは、ちょっと重たいかな。


悪太郎
松羽目物の舞台に、安木松之丞(愛之助丈)と太郎冠者(男女蔵丈)が登場し、悪太郎(亀治郎丈)の酒癖に困っていると語る。
それから、真ん中の松の木を残し、月夜の背景に変わる。
悪太郎は本当に困ったヤツで、智蓮坊(亀鶴丈)に絡むわ、松之丞と太郎冠者に「踊れ」と言うわ、やりたい放題。
寝入った隙に髪と髭を剃られるのだが、髭の剃り跡まで青くなっているのが滑稽だ。
自分の名前を「南無阿弥陀仏」と思い込み、智蓮坊が「南無阿弥陀仏」と唱えるたびに「やあ!」と挨拶するところが面白い。さらに、智蓮坊が調子を変えて「南無阿弥陀仏」と唱えるのが面白い。
最後、4人で踊っている最中に幕が下りる。
愛之助丈は長袴なのに、よく滑らずに踊れるなぁと思った。



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