前売り券を購入済みだったので日曜日に弟と『ジャンゴ』ー繋がれざる者ーを鑑賞しに行った。今年に入って劇場で鑑賞した作品は『宇宙戦艦ヤマト』2199ー第4章「銀河辺境の攻防」-、『渾身』『カラカラ』『ホビット』ー思いがけない冒険ー、『特命戦隊ゴーバスターズ』VS『海賊戦隊ゴーカイジャー』『ダイ・ハード』ーラストデイー、『スタードライバー』『ライフ・オブ・パイ』に続いて9作目だ。

 西部劇を劇場の大スクリーンで初めて堪能したのは09年夏の『3時10分、決断のとき』。一昨年んはエイリアン侵略を融合させた『カウボーイVSエイリアン』も鑑賞しているので今回で3度目の体験。藤子ファンで或る自分は西部劇自体に興味を抱いていたけど、あの有名な『シェーン』や『駅馬車』さえ未見だし、『3時10分、決断のとき』で感銘を受けたにも関わらず、何れ絶対に鑑賞したいと願望している『決断の3時10分』自体が未見状態だ。・・・・・とまあ、ダラダラと語ってしまったので、そろそろ本題に入ろう。オープニングの主題歌自体が最高に格好良く、挿入曲も含めて黒人『ジャンゴ』のレジェントヒーローぶりが伝わってくる。


・・・・・って黒人でレジェントヒーローって『アイ・アム・レジェント』を思い出すけど、パンフレットによると『ジャンゴ』を演じたジェイミー・フォックス氏によると当初はウィル・スミス氏をキャスティングしようとしていたらしい。・・・・・実は『アイ・アム・レジェント』自体が藤子・F・不二雄先生の短編『流血鬼』の原作:『地球最後の男』3度目の映画化された作品なんだけど、あの作品に関しては「人間、誰もが『流血鬼』なんじゃい」という肝心なテーマが排除されていたので俺からしたら只のゾンビ映画にしか思えなかったけどね。まあ自分の場合は原作も過去2作の映画も未見だけに『流血鬼』のラストシーンが好きな俺は『流血鬼』をレジェントヒーローものとして描いてないことが作品を傑作にしたと藤子ファンだからこそ譲れないのだけど、この作品の場合は南北戦争開戦2年前の時代背景が描かれてるからこそレジェントヒーローものとしての存在感も感じるね。


>僕は何故か、幕末時代が好きだ。その幕末を舞台に、異形の奇人怪人たちが正邪いり乱れて戦うこの『サムライガン』は危険な魅力にあふれている。鉄仮面とレーザースーツの『サムライガン』が連発銃を撃ちまくる戦闘シーンがスタティックでシビレタ(ヤングジャンプコミックス『サムライガン』5巻巻頭に寄稿された藤子不二雄A先生のコメントを引用)


 何故ここで『サムライガン』なのかって?僕が藤子ファンだからA先生のコメントを紹介したかったってのも或るけど、実は『サムライガン』に共通するカタルシスを感じたからですよ。歯科医だった賞金稼ぎが松崎だとすると、『ジャンゴ』は捨吉や市松な気がする。しかも時代は南北戦争2年前という時代背景のリアルさ自体が黒人奴隷に過ぎない『ジャンゴ』のレジェントヒーロー性を強調する形になるからカタルシスを感じるし、異形の奇人怪人のオンパレードでレオナルド・ディカプリオ氏が演じる富豪のファシズムぶりは下劣極まりなかったし、奴隷頭は黒人と言えども、世渡り上手ゆえに生きる術を身につけて権力を握っている。個人的にレオナルド・ディカプリオ氏に計画がバレて絶体絶命になるまでは最高にカタルシスを感じた。と言うのも、この作品において俺がツッコミ処だと思っているのは


>権力者として自分の都合次第で奴隷を思い通りに始末していた富豪が呆気なく死亡


 奴隷頭がこの映画ではラスボスという形になってしまうのだが、彼はラスボス向きのキャラでは無いからね。本来なら目を覆いたくなる残虐シーンも「制裁には制裁を」というテーマ自体が最高にカタルシスを感じてしまうことは『ランボー』ー最後の戦場ーで承知済みだけど、なまじ『ジャンゴ』がレジェントヒーローとして描かれてるからこそ俺が藤子ファンだから拝見したかったシーンをここで紹介しよう。


>義を重んじる白人ガンマンとの一騎打ち


 なんだよね。何だかんだで、この作品って決して独りよがりだと思ってなくて、黒人奴隷への傍若無人ぶりも凄まじいし、だからこそ普段だったら後味悪く感じる残虐シーンも「制裁には制裁を」というテーマを描かれてるからこそカタルシスを感じるという意味では普遍性すら感じてたりするんだけど、残虐シーンのオンパレードなので目を背けると作品の面白さが理解出来ないので、お勧めは出来ないね(苦笑)

 藤子ファン仲間のビッグ・ボスマンさんはタランティーノ監督の作品自体が好きらしいけど、僕自身『ジャンゴ』を絶賛したと言っても、他のタランティーノ作品を拝見したいかと問われれば躊躇してしまう(苦笑)。俺は『漂流教室』が『みどりの守り神』や『20世紀少年』と共に泣ける終末モノ3部作に入るけど、他の楳図かずお先生のホラー作品を拝見したいとは思ってなかったりするんだけど、解りやすい喩えだっただろうか?