起業して不安はあるもののワクワクしている50歳・IT技術者・中小企業診断士のブログ

GWに入り少し時間が出来たので、移動できるオフィスとして利用出来そうな海外のキャンピングカーを見に行った。どうして海外なのかというと、かねてより、お気に入りの場所に車で移動し、車中で宿泊しながら休日を満喫する文化のある国で生産される車はどことなく居住空間としての洗練を感じていたので。しかしこのところの円安で、店主も、車両の仕入れ値がハンパないと嘆いていた。昨日、1ドル158円台まで下落した。34年ぶりの水準だ。今朝のニュースで海外からの訪日客が4万円の宿泊費なんて大したことない!と余裕の笑顔で答える一方、日本人の国内旅行客は2、3万が限界・・・とひもじいコメントを残していた。

 

 

バブルの頃の日本の物価は世界でも有数の高さだった。マクドナルドのビックマックの価格を基準に国際比較され、日本での、その高さが語られていたことを記憶している。しかし今となってその指数はベトナムのそれとほぼ同等である。ベトナムといえば優秀なIT技術者を比較的安価にソフトウエア開発を依頼できる、オフショアリングなんて言葉が10年くらいまでは聞かれていた。でも、もはや死語なのかもしれない。彼らの、「その報酬では・・・」な声が聞こえてきそうである。日本人技術者で開発した方がコスト的にリーズナブルな、そんな残念が刻一刻と迫っている。

 

そんな日本の通貨である円の力が低下する中、アメリカやオーストラリアに出稼ぎに行く日本人が増えているらしい。英語がペラペラで、MBAを保有しているようなエリートではない、一般的なガテン系の職である。昭和の農業の閑散期である厳冬の時期に東京に出稼ぎにくる雪国の建設作業員のように。僕もここ数年でドルを報酬として受け取れるようになりたいと本気で思うようになった。だって効率を考えたらそう思わざるをえないから。欧米の先進的なビジネスモデルを日本に持ってきてローカライゼーションして儲けるタイムマシン経営のように。

 

そんな安くなってしまった日本だけれども、株価はこのところ堅調(ここ数週間は一休みだけれども)で、さらに賃上げの勢いも増している。が、しかし、円安も影響してか物価高騰がハンパない。政治家、エコノミストは、デフレ脱却でハッピーな雰囲気満々だけれども、僕は素直に喜べない。物価が上がったほど、収入は増えていないから。むしろデフレの頃の牛丼290円の頃が、懐かしく思い出される。収入に乏しい学生時代の薄汚い定食屋での思いを寄せていた女性との最高の食事のように。大企業のサラリーマンであれば、賃上げ交渉は不要だ。賃金が安いと優秀な人から敬遠されてしまうものだから、企業は他社に劣らないように競い賃金の上昇圧力が生じる。その一方、僕のように大企業に所属していないと、自ら賃上げを要求していかないといけない。非常に億劫である。「5%の昇給をお願いします」に対して「あなたからその価値は感じられません」が怖すぎるから。

 

先日、自動車メーカーの系列の仕入業者に対する買い叩きの商習慣が報道させられていた。本当に嫌らしいな・・・と思わされる反面、他者に対する差別化された能力がないと低く見られて悪条件での取引を強いられるのも、交渉上やむ得ないのが実情だよなとも感じてしまった。企業の成長秘話を紹介するテレビ番組で、洋菓子を製造販売しているシャトレーゼの社長が商品を店先に置いてもらうために、金の腕時計をとんでもない価格でつかまされた、そういうのが悔しくてたまらなくて自ら販売店を設けた、そんな話を、いわくつきの金の腕時計をはめながら話している姿を見て感動してしまった。

 

自分安に陥ると、無理が効くとか、長時間に耐えうるとか、従順とか、そういうとこで勝負しないといけない。本当に心身にこたえる。それでは、安くみられないようにどうしたらいいか?少し背伸びするくらいの自分を見せるのが丁度いいように思う。背伸びした自分を受け入れてくれたクライアントへの恩を裏切らないために、背伸びを等身大にすべく必死になる、そんなんでいいと思う。余人をもって代え難い、あなたでなければダメなんだ、そう認めてもられるよう、ある程度のスピード感を伴いながら自分の強みを磨くことで、そんなには負けることはないだろうな、といったふうに差別化できたらと思う。控えめが素敵とか牧歌なこと言ってたら機会に逃げられてしまう。

 

幸運の女神には前髪しかない(早く髪を掴まないと間に合わない)