今日は17時半起床。何事につけてもやる気が起きない。山行疲れか。金曜から再び合宿だというのに。

 しかし記憶が確かなうちに記録はつけておかねば。今回は2日とも晴天で素晴らしい山行だった。人が多くラッセルもなく難易度は低かったが、それでも反省点はたくさん上がってきたので、今後の冬山活動に活かしていきたい。

 0日目
 
 ー1日目に午前三時位まで部内資料を作っていたため、午後3時位に起床。買い物したりしたり荷物を揃えたりであっという間に出発の時刻となる。今回は余裕を持って駅につけた。毎度のことながら京王線内は周囲の視線が痛い。スリザーリンクを解きながら3時間半電車に揺られ、茅野着。午後11時。電車の中でシャープペンの芯が切れてしまったためその後スリザーリンクの本が無駄ボッカになったのは要反省。
 茅野の駅前は小奇麗だが何もない。コンビニもあったようだが着いた時には閉まっていた。駅の裏口を降りると公園のようなスペースに東屋があったのでそこで就寝。風が冷たくてあまり寝られなかった。今回初めて持っていったアイマスクはあまり意味がなかった。そもそも起きてからまだ10時間しか経っていないのに寝られるはずがない。
思ったこと-今回の行李

思ったこと-茅野駅着

思ったこと-広場

思ったこと-東屋

思ったこと-寝所


 1日目

 6時起床。今日は晴れてよかった。7時に渋の湯行きのバスに乗る。乗客は自分を含めてわずかに3,4名。上高地線の運賃が高いから嫌いだったが、少しアルピコ交通に同情心が湧いてしまった。途中チェーンをつけたりで到着は確か8時10分ごろ。30分に行動開始。
思ったこと-バス
思ったこと-渋の湯

 トレースというと、雪面に点々とついた足跡のようなものを思い浮かべていたものだが、ここ北八ヶ岳のそれは全く別物だった。なんというか、舗装路という感じだ。対向二人線くらいの道が、どこまでも均質に踏み固められている。起伏がない分夏よりも歩きやすいかもしれない。アイゼンがないと少々滑るが、まあ何もつけなくとも歩けた。途中降りてくる人と何人かすれちがう。バス組の出発は遅い方のようだ。
 どこかメルヘンチックな針葉樹林をぬけて1時間強で黒百合ヒュッテ。人がうじゃうじゃいる。テントも5張りほど。
思ったこと-Marchaenな森

$思ったこと-黒百合ヒュッテ

 中山峠でアイピケを装備するが、帰りに天狗の奥庭に寄りたいなとふと思い立ち、分岐点まで両手にピッケルとストックを持つ。間抜けだ。今気付いたがストックはザックにつければよかった。まあ何にせよ、今日の天候と人出では天狗岳までピッケルもストックも必要ない。
$思ったこと-東天狗の偉容

 天狗まで急な登りや岩場っぽいところもあったがこの日は何の問題もなかった。途中アイゼンバンドにもう片方の足の爪を引っ掛けて転倒してひやっとした。きちんと締めたはずなんだが。小屋から天狗まではとにかく人が多く、すれ違いでは少し待ち合わせたりもした。この日だけで200人くらい擦れ違ったと思う。
 あっさり天狗着。展望が素晴らしい。思えば僕の人生で初めての冬山ピークからの展望だ。四周の雪に覆われた山々を見て、ああこのために冬山を始めたんだったな、と感慨に耽った。
$思ったこと-東天狗山頂にて

 西天狗にも登る。こちらはさらに見晴らしがいい。東天狗に比べて広々として雪の多い山頂で、実に気持ちの良いところだった。ノリノリのおじさんと写真を撮りあったり、コーヒーを飲んだりして1時間以上休憩する。贅沢な時間だった。
思ったこと-山頂の憩い

思ったこと-北アルプス

思ったこと-茅野・諏訪

思ったこと-南八ツ

思ったこと-先週の山

思ったこと-南アルプス

思ったこと-山頂は人まみれ

 ここから奥庭への分岐へは本来東天狗を経由しなければならないはずだが、東天狗と西天狗のコルから、分岐までトラバースするトレースが付いていた。至れり尽くせりだ。気分よく分岐まで行くと分岐にデポしてあったストックがない。しかも今しも出発しようとしているおじさんの手に僕のストックが。何でも天狗に登って降りてきてもまだストックが置いてあるため、忘れものだと思いヒュッテに届けるところだったとのこと。これから長時間デポするときは付箋でも貼り付けておこう。それにしても奇跡的なタイミングだった。
 奥庭経由の道は稜線からだといかにも切り立って見えるが、実際にはトレースがはっきりしていて全く怖くない。振り返ると2つの天狗岳が対照的な山容をみせている。サクサク進んで再びヒュッテ。
思ったこと-天狗岳対照

 ここで遅まきながら日焼け止めを塗り高見石へ。高見石への道に入るとぱったり人波が途絶える。トレースはばっちり。枝がかなりうるさい。それだけ積雪が多いということか。途中で分岐するにゅうへの道はトレースが全くなく対照的だった。
 この頃から疲れが出始め(睡眠不足?)度々立ち止まって息を整える。なんとか中山の先の展望台を越えてからは単調な下りでサクサク進む。小屋の手前で看板を見かけて立ち止まったらすぐ後ろにおばさんがいて驚いた。ずっと一人だと思っていたのにいつからいたのだろうか。
 黒百合とは対照的に高見石小屋は閑古鳥が鳴いていた。明日は平日なんだから当然か。またもサクサク下り、本日のサイト地白駒池。まだ時間があったので池の上を歩いて遊ぶ。つぼ足だと対岸まで渡り切るのに20分かかったのに、わかん着用だと僅かに5分。ここまでの威力があったとは。色々試した結果、わかんを正しく装着する重要性に気づいた。
思ったこと-白駒池

思ったこと-浅間山

 池畔で適当にテントを張る。平で風もなく非常に快適。しかし寒い。飯を炊いているとき、コッヘルの中にゴム製の折りたたみ食器を入れっぱなしにしているのに気づいて、慌てて取り出す一幕があった。幸い食器は融けたりしていなかったものの、飯の方は大惨事だろうと覚悟していたら、意外にもいつもよりよくできていた。これからは食器を入れて炊こうかな。
 鬼平の19巻を読んで10時頃就寝。冬山の長い夜を如何に過ごすかは重要な研究課題。
思ったこと-白駒雪原


 2日目

 とにかく寒かった。昨日のように風はないものの、手足の先がとにかく冷える。マットもぴったり体の幅分しかないロールマットを持っていったため、マットからはみ出すと冷たい。加えてシュラフの金具や、吐息が凍りついたシュラフカバーが顔に当たってこれまた冷たい。結局眠いはずなのにあまり寝られなかった。2日連続でよく眠れなかったことになる。要対策。
 水もシュラフカバーの中に入れたのに若干凍っていた。プラティパスは口に氷が詰まるから困る。まあいざとなったらアイゼンの爪で外せば良いのだが・・・。
 そういうわけで、4時起床予定のところ、たまらず3時には起きてしまった。1時間鬼平を読んで潰す。もっと快適に過ごす方策を考えねば。
 朝食は0.5合の米に鮭茶漬の素で、味が薄かったから梅茶漬けの素も足したらおかしなことになった。混ぜるな危険。朝はさっぱりした梅茶漬けの方がいい。
 食事の後もごろごろして5時半撤収開始。6時出発の予定が気づいたら6時半だった。撤収が遅いのは分かっていたつもりだったがまさかこんなに遅いとは。
思ったこと-明け染める湿原


 麦草峠まで樹林の中をぐだぐだ歩く。予想に反して今日も天気がいい。寧ろ雲量で言ったら昨日よりも少ない。まさに快晴。しかし周りの山々には雲がかかっているので遠望はよくない。国道299号線は完全に雪の下で、そこから標識がにょきにょき生えているのはおもしろい光景だった。峠から茶臼、縞枯としょぼいピークを越えていくのだが、1日の初めなのに全く調子が上がらずすぐ息が上がる。この日はずっとこんな調子だった。やはり睡眠不足か。雨池峠までトレースばっちり。トレースが消えていた場合多少縞枯山の先の稜線が平らになったところで迷うかもしれない。でもそういう考察に意識が向かないくらいトレースがはっきりついている。教育上はあまり良くない。
思ったこと-雪下の国道

思ったこと-縞枯山の頂稜

 案の定雨池峠から雨池山へのトレースはなかった。そう思って苦労して登って行ったら途中からつぼ足、スノーシュー各一人のトレースに合流してしまった。夏道じゃないところ歩いてすみません。雨池山はつまらないピーク。
 その後大分降りて三ツ岳に登り返す。地形図に山名が載っていないくせに見ごたえ登りごたえのある山だった。5m登るごとに足を止めながらもなんとか登頂。三ツ岳からはかなりはっきりとトレースが付いていた。でも風で雪が飛んでいてそれほどトレースのありがたみは感じない。
 三ツ岳の主峰からの下りはかなり急な岩場の上鎖が凍りついていて使えない。下が5~6mで平らになっているから落ちても死なないだろうと安易に踏み込んでしまったがもっと考えるべきだった。おまけにアイゼンを付けてなかったのだが、岩肌から落ちたつららが散らばって大分滑りやすくなっていた。反省。何とか登り返してよく観察したら、山頂手前から立派なまき道が付いていてさらに反省。
思ったこと-三ツ岳

思ったこと-雨池

 朝は12時までには下山できるなどと考えていたのに、もう12時半になっていた。それでもペースは上がらず、のたのた歩いて漸く黒百合ヒュッテ。この日は営業していなかった。
思ったこと-北横岳ヒュッテ

 ヒュッテの横から本日最後の登りにかかる。ヒュッテが各所で登山道を滑り下りないでください、と言っている意味が分かった。とてつもない急登だ。アイゼンがあれば何てことはなかっただろうが、意地でキックステップで乗り切った。登山道はつるつるで、シリセードで下ったところで崩れるステップもないのだが、昇ってくる人とぶつかったら確かに危なそうだ。
 大して期待していなかったが北横岳の展望もよかった。遠くの山は昨日より霞んでいるが、ここからは南八ツの全景が望める。ぱっと見氷河でもありそうな堂々とした雪山だ。赤岳と阿弥陀岳を頂点として、そこへ硫黄岳や南八ツのなだらかな裾が、ごく滑らかに接続している。深田久弥が赤岳や阿弥陀岳ではなく八ヶ岳全体として扱ったのが少しわかった気がした。山頂では山ガールもとい山おばさんがこちらのポーズを指定して写真を取ってくれた。
思ったこと-北横から蓼科

思ったこと-再び南八ツ

思ったこと-南八ツアップ

思ったこと-坪庭俯瞰

思ったこと-坪庭にて

 あとは下るだけである。坪庭は開けて爽やかな場所だった。でもここまでの山歩きを思い起こすとわざわざ歩いてみたくなるほどの魅力はなかった。というか疲れたのでさっさと下山したい。

 それでもロープウェーは使わず、1時間下って4時ちょうどにロープウェー山麓駅着。親に電話しようと公衆電話前で財布を出していたら、親切なおばさんが車に乗せてくれるという。タクシーを呼ぼうとしていると思ったらしい。こんなことが現実にあるのかと感動した。しかし茅野駅までは行かないようなので丁重に断ったのだった。残念。
 ハイチュウとコーラで時間をつぶし、5時のバスに乗って茅野へ。このバスも乗客三名だった。頑張れアルピコ交通。6時前に駅に着き、みどりの窓口でチケットを買おうと並んでいたら、並ぶ列が違っていて、6時8分の電車を逃してしまった。寝起きとはいえ余りに恥ずかしい。本屋で立ち読みしたり立ち食いそばを食べたりして更に時間をつぶし、7時20分の便に乗る。結局家に着いたのは11時過ぎだった。

 感想
 とにかく晴れていて素晴らしい山行であった。僕のしたかった冬山を具現化したような山行、と言おうか。しかし人が多すぎたのはいまいちで、天気が良すぎてトレースもばっちりだったためあまり訓練にはならなかった。
 それでも色々課題はのこった。特に天狗の登りでアイゼンバンドに爪を引っ掛けて転んだこととや、三ツ岳の下りでアイゼンを付けなかったことなど。夜の快適な過ごし方も考える必要がある。
 景色は奇麗だったけど、前景の北八ヶ岳の山々はなだらかで迫力に欠ける。やはりいずれは上越や日本アルプスの山々に行ってみたいものだ。

 因みにこの文章は朝の7時に書いている。眠い。明日の朝読み返したらさぞや稚拙に思うことだろう。


 追記:漸く写真を貼り終えた。デジカメを買い直してから写真1枚毎の容量が大きくなり、ブログに上げるのに一々画像を縮小しなければならないのが面倒。画像のサイズを一括して小さくしてくれるようなソフトはないものだろうか。いやあるのだろうが探すのが面倒。