新国立競技場について(勝手に)考察 | 桜の名所でヴェルディを応援する

新国立競技場について(勝手に)考察

練馬(としまえん)のスタジアムに続いて、今週は国立競技場の建替えも話題になっていましたね。
日本サッカーの聖地であると同時に、東京ヴェルディにとっての準ホームスタジアムとも言うべき国立霞ヶ丘競技場。
こちらのスタジアムについても少し考えてみたいと思います。

今回の建替え計画は、五輪誘致の目玉のひとつとして、ラグビーW杯開催会場としてなど、色々な側面があるようです。

建設に向けての経済的な問題、そしてなんと言っても、稼働率の極めて高い施設である国立霞ヶ丘競技場を一定期間閉鎖しなければならないなど、超えなければならないハードルは数多く高いです。

8万5千人収容の規模を目指すという報道も目にしましたが、それについては少し疑問を感じます。
と言いますのも・・・現状の規模でもバックスタンド側など、敷地に対して結構ギリギリに収まっている部分が見受けられるからです。
現状規模の維持ならともかく、現状よりも更に大きなスタジアムをあの敷地の中に作ることが果たして可能なのか?

そこで、ざっくりとではありますが、シミュレーションしてみました。


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まず、試しに日産スタジアム(72,327人収容)をプロットしてみました。↑

結論から言えば、この規模でしたらなんとか敷地の中に収まりました。
ただ、これより更に大きくなる8万5千人規模というのはとても難しい気がします。
サッカー・球技専用スタジアムでしたらもう少しコンパクトになりそうですが、
最新の国際陸上基準に適合した陸上トラックを設けるとなると、どうしても大きくなってしまいます。
敷地は国有、道路は都有。道路の移設は大変に難しいでしょう。

もし仮に、どうにか8万5千を敷地内にギリギリ押し込めて作ったとして、
陸上の国際基準には必須のサブトラックを作れる場所はどこにもありません。
どう頑張っても国際的大会を開催可能な規格を満たす事は出来ないのでは。

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続いてスタッド・ド・フランス(81,338人収容)もプロットしてみました。↑

スタジアム本体はなんとか敷地内に収まりました。が、屋根を支える構造体は完全に敷地を飛び出します。
あと、スタジアム周囲にもはやエスケープゾーンとなる空間は残っていませんね。防災上も大きな問題です。

このシミュレーションでひとつの事に気付きました。
現在の霞ヶ丘競技場に屋根を付けられないのか?という議論はよく上がりますが、
屋根を作るには当然何らかの柱が必要になります。(直立ではなく斜めでもいいのですが)
スタッド・ド・フランスの場合、観客席内を柱なし空間にするために、スタジアムの外側に屋根を支える構造体が突出してきています。(ご存知、味の素スタジアムの屋根も同様の方式ですね。)
同じような方法を採用する場合は、現在の国立競技場ではコーナー付近への屋根の設置はなかなかに面倒なようです。(ただ、これはアイディア次第で解決可能とも思われます。)


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あと、もうひとつ意外に面倒な問題が心配されます。
競技場の敷地は競技場をとりまく道路に囲まれた部分だけで完結しているわけではなく、
「神宮外苑」として単一の広大な敷地なのだそうです。
広大な敷地の中にいくつかの建物が建っている状況になっています。
敷地に対しての建ぺい率(および容積率)については、敷地内に建つ全ての建物の面積がカウントされてきます。

この数年、神宮外苑内には建物を新築・増築した形跡が殆どありません。
(イベント用の仮設建築は作られてきました。恒久的な建物は殆ど増えていないはず)
明治記念館では、わずかな面積の茶室を増築する事ができなかったと聞きます。
つまり、神宮外苑内の建ぺい率(もしくは容積率)が既に一杯一杯の状態である可能性があります。

現在と同じ規模のスタジアムを建設するのであれば、プラスマイナスゼロという事になりますが、
更に大きなスタジアムを建設するとなると、建ぺい率(もしくは容積率)をオーバーしてしまう危険性がありそうです。

もちろん法令の改正や規制緩和をして、建ぺい率・容積率をアップする事は不可能ではありませんが、
言葉で書くほどに簡単な事ではありません。法令改正や規制緩和をする大義名分と時間と手間が掛かります。

以上、
あくまで私が勝手に書いているだけですので、見込み違い見当違いもたたあるかと思います。
ただ、建設地の狭さはいかんともしがたく、その点は大きなネックになるのは間違いないでしょう。
現状よりも大きな規模のスタジアム建設は、どう考えても困難です。

国立霞ヶ丘競技場の建替えは、多くの時間と手間のかかる事業になりそうです。
この件は、その扱いや方法を巡って、今後も二転三転があるのではないでしょうか。


ダラダラと長文、失礼しました。(一旦公開し、適宜文面を修正したいと思います。)
おっと!気付けばもう明日は、霞ヶ丘競技場での横浜FC戦だ!


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(参考資料)


建ぺい率とは : 敷地面積に対する建物の水平投影面積の割合。
例)建ぺい率50%の地域で、敷地面積が500㎡の場合、建物の水平投影面積を250㎡以内に収めなければならない。

容積率とは : 敷地面積に対する延べ床面積の割合。
例)容積率200%の地域で、敷地面積500㎡の場合、延べ床面積1000㎡以内に収めなければならない。