前夜よく眠れた すっきり頭で快調に滑り込んだ都築PAは、煌き広がる秋の空。地図とネタ帳を開いて
「さぁ、今日は どこへ行く?」
来月第三土曜だと山の上は凍結シーズンインしている場所が チラホラ出てくるんじゃないだろか。山肌と蒼空が織り成す輪郭線を凍えることなく凍結に怯えることなく堪能できる今年最後の第三土曜は、今回なのかもしれない。
ならばとメインディッシュは山道に決定。
各休憩ポイントまでは経路自由とし、現地まで不案内な場合は勝手知るライダーに着いていくと言う形式で。
穏やかに流れる一般道から高速道路へ入ると いつもどおり混雑を見せていた。そして視界がグンと開ける いつもの区間から快調な奔流へと。
遠く見晴らせる平地から4輪の群れと共に山肌を遡上して辿り着いたのは、まだ夏っぽい顔の霊峰富士を望む展望台駐車場。所狭しと様々なバイクが並ぶ。
ここは昔からその時代時代の気分が映し出される場所だ。ZZRシリーズを やたら見かけた時代、イタリア車はイタリア車と言うだけで珍しかった時代。そして現代は大型バイクが花盛り。
今まさに駐車場で現れては走り去っていくバイクたちの光景ですら時代のひとコマに過ぎない。
・・・・・次は何が来るんだろう?
時代の流れはブラインド・コーナーみたいなもの。進入したら意外な方向へ曲がっていたなんて、そう、よくあることだ。
レーサーレプリカが街なかに溢れていた時代の最中に、ネイキッドが台頭することは想像しづらかったしビッグスクーターが あんなに持てはやされる時代が来るなんてことを予見できた人が果たしてどれほどいただろう。再度遡れば、公道用市販車でフェアリングの装着が禁止だった時代に、レーサーレプリカが あれほど市場を牽引する時代が来るだなんて誰が予測できただろう。
そして現代。あのハーレーダビッドソンが最高速度140km/h以上を出せる電動バイクを市販し始めた。
ブラインド・コーナーの先は進んでいかないと見えてこない。時の流れと言うワインディング・ロードは どこまでも続いていく。人は過去からやって来たが未来へしか進めないんだ。
意外な方向へ曲がっていたときに硬直しないよう身体は柔らかくしておきたい。
さてと。このあと辿る山道のボリュームを考えるとそろそろ腹ごなしの頃合いかな。それは ともかく・・・・暑い!汗が止まらん。
栄養補給し再びバイクに跨った我ら一行の頭上には変わらぬ青天井。気を良くしたまま快調に突入した第2ステージは さっきまでの暑さから一転、今が秋であることを思い出させる冷えた空気に満たされていた。
右へ・・・左へ・・・のぼっては下る道の うねり・・・見知らぬバイクとライダーが現れては消えていく・・・
木立の向こうにコーナーの続きが見えたり、いつか通った ここではない道の気配を思い出したり。
山を後にして全体解散とした海沿いのパーキング・エリア。丸い月が遠くから遠慮がちに顔を見せていた。
今回最後に申し合わせたことは・・・
「自宅玄関に上がるとき足の小指をぶつけたりしないよう最後まで気を抜かず行きましょう。」
足の小指をぶつけることなく無事に玄関を上がれたのは今日一番ほっとした瞬間だった。