日本百名山 其之弐 奥秩父山塊(大菩薩嶺) 前編
2007年7月7日土曜日 (七夕です!)
午前3時半起床
今週1週間で、この時期には必須のレインウェア系をまとめて買ったので
かなりテンションも高く、百名山、第二座目ということで、前日の夜はなかなか
寝付くことができなかった・・・。
にもかかわらず、準備は直前の直前という、いつものあわただしさ・・・。
布団に入っても・・・な理由で、熟睡できなかった。(笑
このあたりは割愛。。
結局、3時間程度の睡眠だろうか、やや頭がボーっとしているが、顔を洗って
水筒に水を入れ、午前4時過ぎ、家を出る。
自転車に乗って、駅へ向う途中・・・なにか忘れ物が無いかと考えたとき・・・
財布忘れてんじゃーん!!(笑
最悪です。。よくあるのですが・・。頭がボーっとしていたせいか
今日もやっちまいました。。
幸い、家からそんなに離れていないところで気づいたので、そんなに痛手になることは
ありませんでした。が、とんでもないロスだと、始発に乗れなかったため、今日の山業
自体が中止になっていただろう。
気をとりなおし、駅に向います。
夜明け前といっても、十分明るい中、茅ヶ崎駅に向う。
タクシーが邪魔だ。
午前4時25分に駅近くのコンビニにて、本日の昼食や行動食、水分を買い込み
午前4時30分茅ヶ崎駅到着。
始発ということで、やはり、徹夜組が多い。
駅に入り、相模線のホームに降りると、もう電車が入線していた。
さすがに、人は居ないだろうと思っていたが、先客が1人だけおり、深い眠りに入っていた。
相模線の車両は、ドアの開閉がボタンになっており、そのボタンを押して中に入る。
大きな荷物を網棚にのせ、シートに腰を下ろす。
出発の42分まで、まだ時間があったので、ホームに出て、ウーロン茶を買い
早朝の空気を吸う。ひんやりしていて気持ちが良い。
夜が明けてきて、空が明るくなってくる。が、天気は悪い。
雲が厚く、空はねずみ色だ。雨になってもおかしくない。
相模線 始発電車
結局、乗客2人で出発。買ってきた新聞に目を通しつつ、久しぶりの相模線の風景を楽しむ。
この線、実は学生時代や上京したてのころによく利用していたのだが、風景はもう忘れていた。
見たことの無い風景のなか、電車は進んでいく。
海老名、厚木方面の人々にとってはJRと小田急線を結ぶ、大事な線なのだろう。
途中、ぱらぱらと人が乗り、また、ぱらぱらと降りていく。
午前5時31分 橋本駅到着
横浜線に乗り換えるために、橋本で下車する。というか、相模線はここ止まりが多い。
意外と、人が多いことに驚く。
午前5時38分 橋本駅出発
横浜線に乗り換え、八王子を目指す。
午前5時49分 八王子着
午前5時52分 八王子発 中央線 高尾行き
午前6時00分 高尾到着
中央線本線への乗り換えのため、高尾駅で一時下車する。
電車はすでに入線しており、待っている。
構内のトイレに寄り、出発10分前に車内へ入る。
車内は、長野方面への登山客や自転車愛好家がすでに座っていた。
しかし、混んでいるというわけでなく、席は十分空いていた。
4人座席のBoxに一人で座り、反対のホームを眺めていた。
時間があったのと、途中、朝食を摂る時間が無かったので、車内で食べることにした。
茅ヶ崎で買ったウーロン茶があったので、家からも持ってきた、昨日の晩ご飯の残り、サラダ巻を食す。
午前6時14分 高尾駅出発 中央本線
Box席を独り占めにして、電車が進む。みな思い思いに時間を過ごしている。
私は、音楽を聞きながら、車窓からの風景を眺めていた。
音楽は吉田拓郎 「ペニーレインでバーボンを」、イントロからテンションがあがる。
はねた感じがたまらない。
梅雨の空の下、山々の緑が物憂げだが、音楽を通して見ると、木々たちも踊っているようである。
「旅の宿」あたりで、眠ってしまったような気がする。
目覚めたころには、初狩だった。
以降、中学生や高校生の通学途中に遭遇する。
おそらく、夏の大会前の練習なのだろう。懐かしく思いながら、眺める。
午前7時23分 塩山駅到着
電車を降りても、どんより梅雨空であった。いつ雨が降ってもおかしくない状況である。
ホームの連絡階段を登り、南口に出る。
バスターミナルには、既にバスが到着している。路線を確認し、バスに乗り込む。
後方から2列目の二人座席に陣取る。乗客は疎らだが、地元の人らしき人や、登山客がいた。
出発間際、なだれ込むように数人の登山客が乗り込んできた。
最後の乗客は年配の方だったが、連れがトイレに行っており、待ってくれと、運転手と交渉していた。
遅れてきたのはどうやら息子のようであった。
このバス、名前が「山梨貸切バス」というらしい。
塩山駅 バスターミナル
午前7時28分 塩山駅出発
甲州市の中心部を通り抜けていく。道沿いにはお土産屋が軒を連ねており、観光が重要な産業であることが伺える。
中央線の高架をくぐると、そこからは鄙びた風景が続く。
山梨名物の果樹園が広がり、所々に民家がひっそりと佇む。
車内は静かである。
眼前には奥秩父山塊の一部が広がってきた。
午前7時55分 登山口到着(番屋茶屋)
途中、地元の方が4人ほど降りたので、登山口まで来たのは10人ほどだろうか。
大菩薩岳の登山口ではあるが、番屋茶屋という茶屋に到着する。
ちなみに、番屋とはこのあたりの地名らしい。
塩山から出ているもう一本の路線バス(二本木経由)は、もう少し上に到着するようだ。
登山口 番屋茶屋
午前8時5分 登山口出発
登り用の服装に着替え、ストレッチをし、出発する。
同乗した皆さんは、すぐにスタートしていった。
私は、例の親子の前にスタートした。
登山口といっても、ここからまだ、舗装された林道が続く。
登山口付近の地図
登山口から伸びる道 公衆トイレと石碑
登りはじめてすぐに、左手に「雲峰寺」の長い石段が見える。まるで、京都の鞍馬寺のようである。
ここでは、立ち寄らずに、帰りに立ち寄ることにした。
この辺り一帯は「裂石」と表記されている。(登山標識にも裂石と書かれている)
その昔、大地震で大岩が真っ二つに裂け、間に大木が生えたという伝説の地である。
実際に裂石も存在するようだが、バスで通りすぎてしまっていたらしい。
参考:裂石
しばらく林道沿いに歩く。乗用車に追い抜かれていく。
途中、広い駐車場の向こうに登山道が見えるが、これは丸川峠に向かう道である。
ここで、バスに同乗していた3人組を抜く。彼らは丸川峠から登るようである。
丸川峠分岐への分岐と駐車場
先に進むと、つづれ折りのカーブで標識があり、上日川峠と出ている方向に曲がる。
上日川峠への近道
山道らしい道になってくる。天候だけが心配だった。
山道1
曇り空のせいか、わずかな光も木々に遮られて、薄暗く、物悲しい道となる。
15分ほど歩くと、車道に出てしまった。
恐らく、これが先ほどの林道だろう。この道はショートカットのようだ。
目の前には大きなお地蔵さんが黙然と座っている。
無事を祈願し、右手を見てみると、橋の向こうに千石茶屋があった。
お地蔵さん 橋からの千石茶屋
午前8時30分 千石茶屋到着
茶屋自体はやっていなかった。全てのドアが閉じられており、ガラス越しに中をのぞくことしかできない。
中には、宿泊客用の布団や、メモ帳などが確認できた。
昭和40年ごろからあるらしく、歴史を感じる建物である。
その脇の小道を行くと、左手に折れる登山道が現れる。
千石茶屋 千石茶屋からの登山道
ここからはかなりの登り坂となる。深い森林の中をえぐるように道がある。
この山の特徴かもしれないが、岩(石)が多い。道の真ん中にも大岩が存在する。
岩を穿って、道を作った跡も見られる。
その岩自体も古く、コケがかなり生している。
山道2
苔生す岩
途中、第1展望台、第2展望台と通るが、この天気のせいで、展望がまったく利かない・・・。
岩と木々が覆う道をかなりのペースで登った。
途中で、水分補給を行いながら、短い小休止をとった。
しかし、ほとんど歩いていたのだが。。
この途中で、バスに同乗していた人を2人抜いた。
一人は第1展望台で、もう一人は第2展望台過ぎたあたりで。
第一展望台 第一展望台からの眺め
第二展望台 ブナ林
木々が折れた中を進み、なだらかな道を歩いていると、「あったかいきのこ汁まで、あと3分」という
標識を見つける。ロッヂ長兵衛が近い。
ロッヂ長兵衛で少し休もうと思っていたので、身が軽くなる。
少し行くと、先ほどの林道にまた出てしまう。
ロッヂ長兵衛手前の標識
午前9時22分 ロッヂ長兵衛(上日川峠)到着
ここで、しばし休憩。
だが・・とうとう、雨が降って来た。かなり強めの雨だった。
ここで、水分補給、及び、行動食のカロリーメイトと黒砂糖飴を取り出す。
雨が凌げる、軒下で、雨の用意をする。っといっても、ここではザックカバーをかけただけだが。
ザックカバー
ここでは、バスに同乗していた人、1人と出会う。彼は私の前に座っていた方だ。
彼は先に出発してしまった。
もう一人先客がいて、彼はまだ若く、自転車でここまで来ていた。
朝食なのか、おにぎりを食べていた。
この上日川峠からは、3本道が出ており、大菩薩峠への道、石丸峠への道、下日川峠への道
があるようだ。
駐車スペースもあり、ここまでタクシーで来ている人が大勢いた。
ここからの登山がポピュラーのようだ。
10分くらい休憩し、地図を確認し、出発する。
雨が冷たい。
ロッヂ長兵衛1 ロッヂ長兵衛2
大菩薩峠への道 駐車場と分岐標識
ロッヂ長兵衛の軒下(雨)
午前9時35分 ロッヂ長兵衛出発
山林の中に入ると、雨はほとんど、降り込んでこない。
雨のせいか、涼しく感じる。先ほどまでにかいた汗が少し冷たい。
ここから、福ちゃん荘までの道のりは、大体なだからな道が続く。
疲れた体には心地よい。
雨の森林
午前9時50分 福ちゃん荘到着
山小屋前の急な坂道を登りきると、福ちゃん荘に着く。
かなり大きな山小屋なのか、下駄箱が大きい。
福ちゃん荘1 福ちゃん荘2
福ちゃん荘 店内の様子
ここから登る人たちも多く、団体さんがストレッチをしていた。
軽く、辺りを眺めて、先を急いだ。
午前10時00分 富士見山荘到着
福ちゃん荘からの、第1チェックポイントだが、ものの5分程度で着く。
富士見山荘は営業しておらず、雨のなか、怪しげな雰囲気を醸し出していた。
ヨーロッパの山小屋風な建物だ。
天気がよければ、富士見平から、秀麗富士を拝めるようである。
うしろから、先ほどの団体の声が聞こえてくるので、足早にここを去る。
午前10時10分 勝縁荘前通過
富士見山荘から、しばらく行くと、綺麗な沢にぶつかる。
その奥に、勝縁荘がある。
ここには奥秩父多摩国定公園の地図が立っている。
勝縁荘前の沢 秩父多摩甲斐国立公園案内図
ここからの道には、現在、この先にある山小屋「介山荘」の改装工事のため
車が通っているようで、タイヤの型が残っている。
雨が少し強くなってくるなか、先を急ぐ。
ここから介山荘までは、また、しっとりとした山風景に遭遇する。
標高も高いせいか、亜高山植物と呼ばれる、針葉樹があちこちに出現する。
木々の屋根がなくなると、雨が直接、体にかかってくる。
気温もかなり低い。
しばらく行くと、左手側に山の稜線らしきものが見えてきた。
雨の山林
午前10時25分 介山荘到着(大菩薩峠)
介山荘に到着。
なかなかの山道であったが、後半は気持ちよく登れた。
介山荘を眺め、奥の標識あたりで休憩した。
天候は相変わらず曇りで、展望がまったくきかない。
ガスも出てきており、すぐ前が見えない状態であった。
荷物をおろし、防寒用にレインウェアを着る。
風を防ぐことができ、体も温まる。
少し、行動食を食べながら、地図を確認。
方向感覚がまったく無い・・・。峠のどちらに行けば、大菩薩なのかまったくわからなくなっていた。
山座同定盤を見なければ、南の方角さえ、わからなかった。
峠で出会った人々と写真を取り合い、この峠を後にする。
介山荘 その1 介山荘 その2
すると、いきなりの岩場・・・。視界も悪く、かなりの難所であった。
晴れていると、稜線際にあるいているので、とても眺望がきれいなのであろう。
途中にお堂がある。この山は岩が多いこともあり、石碑等が多い気がする。
霊験の高い山なのだろう。
お堂 岩場1
上りきると、軽く下って、非難小屋前を通過する。
そこからすぐに、標高2000米地点に到達する。
人生初めての2000米だ。
今後100名山を登っていく上では、避けては通れない標高だ。
しかし、こんなもの、子供が少し背伸びしたくらいのもんだろう。
標高2000米標識
ここから先は、細い岩場が続く。
20分ほど歩くと、雷岩手前で、下の第二展望台の直後に抜いた人をまた、抜く。
おそらく、峠で休憩している間に抜かれたのであろう。
午前11時15分 雷岩到着
急峻な岩場を降りると、雷岩に到着。
なだらかな斜面が広がっており、登山客が昼食を摂っている。
その中をそそくさと通過し、大菩薩嶺を目指す。
ここまで来ると、もうすぐである。
雷岩標識 雷岩
レインウェアのおかげか、まったく雨や寒さが気にならない。
さらに、雨も弱くなってきているようであった。
深い森林の中を突き進む。
午前11時20分 大菩薩嶺到着
一等三角点のある頂上は、木々の中にあり、ひっそりと静まり返っていた。
人がいなくなると、日本カモシカでも出てきそうなほど、神聖な景色に見えた。
先客のご夫婦のなかむつまじい光景を写真におさめ、少し先まで歩く。
ご夫婦は、茨城から来ているらしく、今夜、河口湖あたりで一泊し、明日別の山に登るそうである。
二人で写真を撮る際、おじさんが少し照れていたのがおかしかった。
大菩薩岳山頂標識 亜高山植物
地図を確認し、帰りのルートを考える。
実は来た道を引き返そうと考えていたのだが、いろんなルートがありそうなので考えてみた。
予定より早くに登頂できたので、早く下山し、山小屋で昼食をかねて
名物「ほうとう」を食べることにした。
丸川峠からのルートを無視して、雷岩から唐松尾根のルートを選択する。
(実は、どのコースをとっても、あまり時間的は変わらないことを後で理解する。)
(唐松尾根は福ちゃん荘への近道であり、登山口までと考えると、どのルートも同じである。)
三角点まで戻ると、次の登山者がいた。男性二人である。
三角点と標識を写真に撮ろうとすると、その付近にいたお二人が、邪魔だと思い場所をずらしてくれた。
荷物まで避けてくれたのだが、標識の上の水だけは置きっぱなしであった。(笑
この水について話を聞いてみると、山梨県の下部温泉の水らしい。
下部温泉とは身延線沿線にある、有名な温泉らしい。
お二人は山梨百名山を登っているらしく、この前は雁ヶ腹に登ってきたらしい。
頂上の様子 一等三角点と下部温泉の水
秀麗富士の写真パンフレットを頂戴した。
大月在住らしく、非常に気さくに話しかけてくれた。
登山口から歩いてきたというと、すこし驚いていたが・・。(笑