LAの空港から日本へ帰ろうとしている。
この旅を始めたころは、LAに着くなんて想像できなかった。
あまりに途方がないから、あと何マイルでつくのかは数えないようにして、
がむしゃらに1日100キロのペースで刻んでいった。
そうしているうちに、昨日のことさえ懐かしく感じるようになり
通った道路も、畑や牧場や荒野や砂漠の変化のない景色も、出会った人たちも、
貴重に思えてくる。
あの時、あの道を選ばなかったら、彼らに会うことは出来なかったんだなと気づくと、
かなり不思議だ。
人生を楽しめ!って言ってくれた爺さん、メロンくれたおじちゃん、20ドルを渡してくれたおっちゃん、
鍵届けてくれた姉さん、金はいらねえと言ってくれた中華料理屋、チャリ横断中のジョーとスイス人のお二人、
不気味なほど親切なモーテルのご夫婦、ランチご馳走してくれたツアーご一行、アマリロの寿司屋のオーナー、、、、
昨日、LAに二十年間住んでいる日本人が言っていた、
アメリカ人は裕福だよ、余裕があるという意味で。
確かにそう。
汗にまみれた、ろくに言葉も話せなくて、なぜか自転車にまたがっているアジアの男にも、
親切にしてくれた。
ここまで、魅力的ならメキシコへ下って南米へ行きたい気もしてきたが、いけないいけない
日本へ帰ろう。