103日、東京芸術劇場シアターウエストで、田村孝裕作『父よ!』を観ました。


老父を4人の兄弟のうち、誰が面倒を見るかで激論するうち、それぞれの男た

ちの、隠された過去や現在が、あぶり出されて来ます。

どうやら、この小さな一家族一人一人に見えてくる、人間の見栄と保身が主題のようですが、決して暗くならず、的を射た、面白い芝居でした。
それは畢竟、一つの組織の中でも、そのまま通用することだと、自分の周囲を思い出しながら苦笑いしてしまいました。


それにしても、役者個々がいろいろと工夫を凝らした演技は、見応えがありました。それぞれの役柄の魅力は、結局、役者自身の魅力に他ならないと痛感しました。
中でも、ベンガルさんの、自然な演技と、絶妙の間が笑いを誘います。
一つの芝居が、きめ細かい演出と、達者で、力量のある役者によって、成功を収めた良い例だと思います。

今日、自分がこの劇場に来た真の目的は、来年1月に、この劇場で私たちの芝居を上演するため、一度、客席から観ておく事でしたが、この芝居に魅入られて、つい、それを忘れてしまっていました。

でも、大丈夫です。声はしっかり問題なく客席に届くし、奥行きがあり、豊かな気分で観られる劇場でした。





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