完本 1976年のアントニオ猪木 | バーグマンのブログ

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緻密な取材に裏打ちされた説得力ある証言がズラリと並び、
読み進めるほどに、当時の時代背景と共に
思い出の映像がフラッシュバックして来た。
こんなに読みやすく、そして、初めて知る事実が多い
プロレス本は他にはない!

アントニオ猪木談

と、「プロレススーパースター列伝」調で
絶賛したくなるほどに読み応えたっぷりな傑作。

いや、プロレスというジャンルに縛るのは失礼かも知れない。
それが「完本 1976年のアントニオ猪木」だ。

1976年。
それは猪木がリアルファイトを重ねた年。
やりたくてやったのではない。
やらなくてはいけなかったのだ。

プロレスを世間に認めさせるため。
ライバル馬場を追い越すため。
そして、「アントニオ猪木」であり続けるため…。

プロレス最強幻想に惑わされた「元プロレス少年」たちよ。
この本は必読である。

アリとのスーパーファイトの「真の裏側」を暴いたのは
この本が初めてだろうか。

がんじがらめのルール、裏の力に命を狙われる…。
すべてはファンタジーであり、アリは最後までフェアなスポーツマンであった。
そして、猪木はどこまでも卑怯で、いつでも「最高のプロレスラー」であった。

韓国の英雄、パク・ソンナンはリアルファイトに巻き込まれ、
パキスタンの英雄、アクラム・ペールワンは自らリアルファイトを
申し込み、共に悲劇に終わった。

猪木の「磁場」にとらわれると多くの犠牲と引き換えに、プロレス史に
名を刻むことになる。

これは名誉か不名誉か。

それは当事者さえも分からない。

プロレスは最強の格闘技か、
キング・オブ・スポーツか。
決め事、筋書きがあるのか、ないのか。

21世紀の今、いまだにそんなこと考えること自体、
不毛な議論。

猪木に期待し、裏切られ、今度こそはの期待も虚しく、
結局また裏切られる…
しかし、そこには共に追いかけたい「夢」があったのだ。

プロレスはどこまでいってもプロレスであり、
猪木がプロレスを通じて多くの夢を与えてくれたのは事実なのだ。

分かったつもりでいても、実は全然分かっていない。
それがプロレス。


シロ、クロはっきりしないからこそ想像する楽しみがある。

この本に書かれたことが99%事実(ノンフィクション)であっても、
残りの1%には、すべてをひっくり返す「重大な真実」が
潜んでいるのかも知れない。

だから、プロレスファンはやめられないんだなぁ。