半世紀前の料理本(49) | Die Ruine der Walhalla

Die Ruine der Walhalla

In dieser Ruine findet man nichts.

このコーナー、実はまだ終わってなかった。(笑)


最後に料理用語解説という横書きの頁が3ページだけある。五十音順に百余りの用語が解説されている。


素材の名前や調理法など、フランス語と英語の用語が思いつくままに並べられた感じで、本文との整合性もない。おかしなものをピックアップしてみよう。



アマンド AMANDE(仏)あんずのこと。


何か勘違いしてるぞ…。



アントレ ENTRÉE(仏)入場とか入口とかいう意味から転じて、序の口に出る料理の意に用いられていましたが、現在では魚料理のあとに出る肉料理のことをいっています。正餐の場合はスープ、魚のあとにルルベ(RELEVÉ)が出なければなりませんが、これは荘重な上に量が大変多いもので、現在ではルルベの名称はあまり用いられません。


いや、アントレは今でも序の口の料理のことなんだが…。ルルヴェ、久し振りに聞いた。(笑)



スフレ SOUFFLÉ(仏)温かい前菜の一種、温かい甘味の菓子ともなります。


これ、意味分かってないだろ。(笑)



トールヌード TOURNEDOS(仏)牛ヒレ肉の先の細い部分のこと。


なぜヌを伸ばすのかという突っ込みはおいといて、昭和後半にはトルネードという変な読み方が一般化したことがあるらしい。この本はそれ以前に正しい読み方に近い読み方がされていたという資料になる。



マスタード MUSTARD(仏)からしのこと。


もう、英語とフランス語の区別すら付いていない。



しかし、大半の用語はフランス料理の専門用語を正しく解説している。辻静雄以前にこのような本を一般の家庭の主婦を対象にして出版したということは、やはり驚愕すべきことだと思う。もっとも、初版だけで絶版になったのは当たり前だと思うが。