先日発売された『Number』より木崎さんのステキな記事があったので紹介します
ザッケローニの人心掌握術。・・・木崎伸也
日本代表を魅了した「人たらし」の資質
アジアカップ準決勝、韓国戦前日。
長谷部誠がチームバスから降りると、ドアの前にアルベルト・ザッケローニ監督が待っていた。
「相談したいことがある」
ザッケローニは通訳を介して、キャプテンに質問した。
「韓国戦を前にして、チームの雰囲気はどうだ。集中しているか?このタイミングで活を入れた方がいいと思うか?」
決勝トーナメント準々決勝のカタール戦は、伊野波雅彦のゴールで日本が逆転勝ちするという劇的な展開だった。
チームにホッとした雰囲気が生まれることを監督は警戒していたのだろう。
長谷部はその場では「あえて言わないでも大丈夫だと思います」と答えたが、部屋に帰ってじっくり考えたのちに、「活というよりは、もう1回集中してやって行こうって言うのはいいんじゃないかなと思います」と監督に伝えた。
夕食でみんなが集まったとき、ザッケローニは「この夜から、もう一度集中していこう」と呼びかけた。
韓国戦は延長終了間際に追いつかれる厳しい戦いになったが、PK戦のプレッシャーに打ち勝ち、決勝に駒を進めることができた。
長谷部は大会を通して、このイタリア人監督の日本人を知ろうとする並々ならぬ意欲を感じたという。
「確かめてくれるっていう意味で信頼されているのを感じたのと同時に、日本人の気持ちをわかろうとしていることが伝わってきました。
選手に確認を取る監督ってなかなかいないじゃないですか。
すごく気遣いがある監督だと思います」
ザッケローニは自分のスタイルを押し付けるというよりも、まずは選手たちの気持ちを理解して、どう接するべきか、どういうニュアンスで言葉を伝えるべきかを工夫しているのだ。
これまでトルシエやオシムら6人の外国人監督が日本代表を率いたが、初のイタリア人ということもあり、どのタイプとも違う人心掌握術を持っているようだ。
ザッケローニの指導でまず目につくのは、とにかくピッチ内外で、選手と1対1で話すことだ。
DF槙野智章は左足捻挫のため、初戦のヨルダン戦後にチームを離脱することになったが、短い期間に監督との距離がどんどん近づくのを感じたという。
「監督はその人にしかわからないコミュニケーションが、すごくうまいんです。
たとえば、隣に座っているときに、足をコツコツぶつけるとかって、当事者にしかわかりませんよね?
2人だけの合言葉じゃないですけど、合図があるというか。
僕には顔を合わせるたびにフイーと両手を突き出して『また騒いでいるなぁ』という感じでおどけてきます」
仕事に手を抜かないまじめな職人タイプというイメージが強いが、やはりそこはイタリア人。
女たらしならぬ、“人たらし”的な資質も、あわせ持っているのだ。
槙野がケガをして大会に出られなくなったとき、「それでもチームに残ってほしい」と頼まれたという。
「試合に出られない選手に『残ってほしい』なんてありえないじゃないですか。
自分の存在が、監督にとってそこまでデカイのかと。
僕は年齢が上の選手にも食ってかかりますし、食事会場なんかも盛り上げるので、そういうのを見てくれているんだと、あらためて感じました」
結局、槙野は移籍先のケルンから「早く合流してほしい」と言われたため、チームを去ることになった。
だが監督が信頼を示してくれたおかげで、何の迷いもなく新天地に向かうことができた。
ときに選手に相談を持ちかけ、ケガをしても残ってほしいと伝える――。
ザッケローニは選手に対して、「特別な関係を感じさせる」のが抜群にうまいのだ。
特別なつながりを感じれば、誰だって嫌な気持ちはしないだろう。
ザッケローニは、選手の向上心を刺激するのもうまい。
センターバックのレギュラーとして活躍した吉田麻也は、「選手の課題を見分けるのが、すごく早い」ことを、今大会に強く感じさせられた。
「僕が課題だと思ってることを、監督は2週間くらいで見抜いたんです。
僕だけでなく、岩政(大樹)さんや今ちゃん(今野泰幸)に何が足りないのか、誰に何を一番言わなきゃいけないかを、的確にわかっていた」
一口に課題と言っても、10年かけても改善できなそうなものもあれば、1年で克服できそうなのもある。
ザッケローニの場合、校舎の様な「手が届きそうな課題」を示すのが上手なのだ。
吉田が指摘されたのは、「注意力」だった。
「ようは集中力ですね。おまえはセンターバックだから、絶対にパスミスはしちゃいけない。
あとゾーンディフェンスにおける戦術的なミスはダメだと。
絶対にいいものを持っているから、集中力さえ保てれば大丈夫と言われ続けました」
カタール戦の後半18分、吉田のパスミスから攻め込まれ、吉田は相手を倒して退場になってしまった。
さらにそのFKから日本は失点。
香川真司と伊野波のゴールで逆転できたから良かったが、まさに監督から指摘されていた注意不足によるミスで、試合を落としてしまうところだった。
しかし、試合後、ザッケローニはまったく怒らなかった。
吉田がローッカールームでうなだれていると、ザッケローニは頭をポンポンと叩きながら、「ベーネ(大丈夫)、ベーネ」と慰めたのである。
「帰ったらじっくり分析のビデオを見直そうな」とつけ加えて。
「何が悪かったのか、僕が誰よりも痛感していることを、監督は気がついていたんだと思います。
だから、ほとんど何も言わなかった。
要求はすごい高いですが、それだけ期待してくれているということ。
もっともっと上を目指そうという気持ちにさせてくれる」
この後ろ姿の圭佑さん・・・大好き
ザックさん、こっち見て笑ってる・・・
写真は本誌とは全く関係ございません
ザック監督の選手たちの語った言葉
槙野くんにかけた言葉。
マヤヤにかけた言葉、最後に付け加えた言葉にはジ~ンってきちゃった
ザックさんとキャプテン長谷部くんは、とっても深~い信頼関係を築いていってるんですね。
あとちょっとでつづきの②
がupできると思うので・・・
今日もCSKAの練習風景がupされてない・・・
圭佑さん、練習に参加してるよね・・・
大丈夫なんだよね
今夜試合だよね~
圭佑さんは出るんでしょうか