医療と介護と伝統工芸と農林水産業に携わる人が減っているという。
全てに共通するのは、労働人口の減少。
医療と伝統工芸と農林水産業に共通するのは技術伝承と後継者不足。
介護と伝統工芸と農林水産業に共通するのは低収入、低賃金。
医療では、更に訴訟件数の増大による特に外科手術における医師のリスクが増大したことだろう。
それにより、外科医、産婦人科医が減少している。
さらに収益面から耳鼻咽喉科医、眼科医が減少。
さらに地域的には賃金報酬から都市部集中、地方に不足という図式がある。
さらに地方は過疎化により医療を必要とする人の比率が高い。
そこに持ってきて新医療制度である長寿医療制度(後期高齢者医療制度)により、中でも医療を必要とする75歳以上の方々の医療費負担増大が追い討ちをかける。
過疎化して高齢者の多い地方の深刻な医師不足は、医師の都市部と比較した際の賃金報酬も含め病院の財政も困窮している上に新医療制度に該当する方々が多いため、生活が困窮し、必要な医療が受けられないという事態を生み、さらに病院経営が逼迫し、医師の報酬も厳しくなる(都市部との格差が激しくなる)。
但し、医師の報酬が不十分なのかについては疑問が残るが、医師を目指すには相当な資金や投資が必要であり、これがいちおうに低額だと倫理的な選別がより難しくなる為、これらを天秤にかけると難しい実情もある。
介護では、増え行く高齢者と減り行く労働人口から人材不足が慢性化しており、さらに賃金報酬も低額なため、なり手がおらず、海外から人材を受け入れている現実がある。
肉親であっても介護は一大事で、それを他人にやってもらうとなると、引き受けてくれる他人は何をモチベーションに介護職に就くのか?
現在、こうした低賃金の中で介護をしてくださっている人々の心に支えられている。
こうした方々に丸投げしてしまうという意味は毛頭ないが、そういう意味では、心優しい人々がか弱いお年寄りを守ってくださっているという点で安心してお任せできる面がある。
もし、賃金目的や他に仕事がないから介護ならすぐ雇ってくれるからと安易な発想でこの職に就くことは妥当だろうか?
グッドウィルの介護事業実態がこれにあたる。
グッドウィルの創業者は、昔大流行したジュリアナ東京などのディスコで経済的地位を得た人物であり、経営者の資質はともあれ、先見の銘があるのは確かだが、経済にどっぷり浸かった人物だ。
介護に先んじて目をつけたのもこの先見の銘だろう。
でも、介護(医療)は、経済よりまず真っ先に真心を優先して運営していくという使命がある。
180度方向転換したなら別だけど、中古とはいえ自家用ジェットを持つような経済にどっぷり浸かった人物が、行える事業ではない。
また、介護と見せかけて国からくすねる介護事業者も出てきた。
ここが悩ましいところだと思う。
今、実際に介護に真摯に取り組んで下さっている、実際に介護をして下さっている個人(法人内の従業員含み、介護をしていないスタッフを除く)をしっかり選別して報酬をアップする必要がある。
介護にしろ、医療にしろ、伝統工芸にしろ、農林水産業にしろ、地球や自然環境保護にしろ、赤字垂れ流しでは補填ができないため困るという問題はあるけど、だからといって経済に主眼を置いたのでは、必ず歪を生み、往々にして本来の意図を見失う。
介護については、基本的には家族が死別など特別な事情がない限りは、血縁関係のある家族が行い、例外的な方々は良心ある方に職業人として取り組んでいただくのが結果的に必要だろう。
その為には、これまで別居を常としてきた親世代、子世代はそれぞれに言い分はあるだろうけど、昔のように数世代に渡って代々一緒に住み、大家族を形成するような社会にする必要がある。
経済一辺倒であるがゆえに、単身者用とか小家族用の住宅を造り続けていることが核家族に拍車をかけている。
ただでさえ、人口が減っていく中、大家族を形成するためにはこうした建造物は見直す必要があると思う。
また、内需主導として経済を抑制すれば、都市部の利点はほとんどなくなると共に大家族化が進めば、全国的に人口が分散し、地域の過疎化が避けられ、地方に人口が増えるので病院や医師なども分散する上、大規模化してしまった商業も商圏も昔のような商店街が主流となったり、個人の工務店など大工さんも復活し、伝統工芸がもてはやされ、地域での自給自足に近い生活が自然となり農林水産業が重要となり、物々交換なども自然と行われ、暮らしの上でも人と人とのつながりが大切となり、躾やマナーやモラルを地域に教え、教えられ、無関心な冷めた社会が変貌し、犯罪も激減(分散したそれぞれの地域の触れ合いが重要になるので何かすれば誰だかすぐに判明してしまうことから抑止効果がある)し、豊かな地域をつくりだす為、地域格差が限りなくなくなる。
冷めた社会が変わる事。
これが医療も介護も伝統工芸も農林水産業もうまく循環する最良の手法だと思う。