多くの案件で単なる政争の具になっている日本の政治。


世界的な金融不安のさなか、日銀総裁人事が進まない事によって日本の政治は停滞している。


この記事を書くつもりはなかったんだけど、あまりに長引いているので少しだけ。


現在の日本経済はいざなぎ景気を越える長期にわたる好景気だと言い続けてきた日本。


過去の経験から人件費を抑制し続けた経済界。人件費の抑制を持ってリストラとしてきた経済界。


そして内部留保してきた潤沢な資金を元に設備投資を行ってきた経済界。


ところが賃金が上昇せず停滞気味。超上場大企業でも停滞しているのに企業の95%以上を占める中小零細企業は潤沢な資金もなく、賃金も上げられる状況にない。


さらに非正規雇用増大によってさらなる人件費抑制を行った経済界。格差がさらに広がった。


国を挙げて正社員化や仕事内容が同等なら正社員と非正社員の待遇差別禁止といった政策もとっているが、それはそれで素晴らしいとしてこれが正社員全体の人件費を押し下げる結果となっては元も子もない。(ワーキングプアと生活保護の間違った政策と同じになる。ワーキングプアに合わせて生活保護費を削減するなんて対策これも早く訂正すべき。)


これにより鉱工業生産指数が伸びた。消費行動においては、衣食住にかかわる最低限の家庭の支出が下支えとなり、消費も伸びていた。


この表面的な統計値で景気判断をしていた為、見た目上のいざなぎを越える緩やかな好景気が持続した。


グローバル経済中心の現代において世界の大国アメリカと日本は日米安保という根柢の元、日本はモノ申せぬ時代が続いてきた。


金融市場では1971年のニクソンショック以来、37年もの間、そして今も尚、金(金地金)という現物資源との関係を断ち切り世界の基軸通貨として台頭した米ドルという紙幣(紙切れ)を中心としていた。


特に21世紀、2000年に入りM&Aを含めある程度金融資産を持つ者の市場として実質限られていた投資家の構成も一気に変貌を見せた。


でも、なぜ普通のそれほど所得も多くないサラリーマンが株や外為投資、FX、投資信託などに急速にのめり込んでいったのだろう。


もちろん、国を挙げて金融市場や企業も実質的に個人投資家増殖計画(適当な名前)を実行したに過ぎない。


その背景には何があるのだろう?


それは国民の実感なき好景気への不安と不信感からだ。


「実感なき好景気」というか「好景気なんてとんでもね!不景気だべ?」という正直な正確な視点からくる不安と不信感。


さらにその背景に以下のような事がある。



なぜ、アメリカで確定拠出年金とか日本版401kとか出てきたんだろう。これは年金基盤が貧弱になってきたから。米政府は保険機構の脆弱性、年金の脆弱性によってそれぞれのシステムの維持が困難になってきたから。


日本はこれに続いた。なぜなら米国の仕組みを真似たシステムは同じように基盤が脆弱になったため。さらに黙っててもすんなり莫大な今すぐに払う必要のないお金(企業年金、国民年金)が入ってきたため目がくらみ、社会保険庁や各事務所で相当過去にさかのぼって以前から不祥事が日常茶飯事となっており、無駄遣いもしてきた。余計基盤が揺らいでしまうわけ。


世界で統制がとれているかに見える(実際、世界の中では何をとってもほとんどダントツ優等生)である欧州ですら年金制度が危機的状態にあるといわれている。


ここに苦しい台所事情のアメリカが考案した無理矢理なサブプライム。それをさらに金融市場にねじ込んだ。そしてサブプライム絡みの金融商品に投資した企業や個人も打撃を受けた人が多く世界にその影響が波及した。(もちろんそういう時でも先見の明があり稼ぎまくる人もいるんだけど)


さらにサブプライムによる金融不信から投資家が一気に現物に流れ、金地金や原油が投機的に(実態を伴わず実質価値以上に)高騰している。


さりげなく天然ガス資源国のロシアの影響も垣間見える。


さらに環境対策として打ち出したバイオエタノール。食糧、飼料となるトウモロコシや大豆をあてれば、食料供給がひっ迫することは容易に想像できたはず。しかし起こってしまった原油高騰もあいまった品薄による原料、飼料、食料の取引価格高騰に連鎖した食糧関連製品の相次ぐ値上げ。


当然電気、ガスなどエネルギーにも。


そして、いくら争うのが人類の性とはいえ、誰と戦うんだか知らないけど軍備増強に馬鹿みたいに予算をつぎ込んでいる。


さらに科学や未来をそして探究心から宇宙の調査探究は必要なんだけど今、世の中こんな状態なのに大量の燃料を一瞬で消費するスペースシャトル飛ばしたり、今度はスペースシャトルやめて違う方法検討中って・・・そんな場合?


インフルエンザをはじめとした流行性の病原菌、まだ高濃度の農薬を使用している、最近まで使用されていた国の食の安全問題。


ボランティアやNGO、NPOの方々の地道な努力が実っている例もあるものの、いつまで経っても解消しない世界の貧困問題。好景気の時に一気に先進各国が資金と人員投入していれば、ある程度の短期間で底上げだけでもできたはず。もちろん長期的な視点に立った教育や自立支援は必要なんだけど。


さらに経済を敬ってきた代償と言っても過言ではない地球温暖化をはじめとする人類の作った地球の危機。


そしてこの地球の危機がさらに貧困な国々に暮らす人々を真っ先に苦しめてきた、苦しめているという事実を無視した経済活動優先の先進各国&高度成長国。



いろんな事が一気に起きたかに見える世界の状況にあって日本の政治も岐路に立たされ、どうしていいかわからない状況にあるのはわからなくもない。


でも、これらの事は今突如として起きたことではない。


現総理は何かと発言が他人事に聞こえるが、最も驚いたのが、アメリカのサブプライム問題が発生してしばらくしたインタビューでインタビュアが「総理の決断力をはじめとして日本の政治不信が投資を冷え込ませているとみる専門家も・・・」というような主旨の質問をした時


キレ気味に「どこの専門家がそんな事言ったんですか?」そんなのあり得ませんみたいな回答をしたことだ。


日本では、それまで改革路線で突き進んできた日本の政界が総理交代でストップし諸外国が不安視する中、ねじれ国会となったことも不安を煽り、さらに極めつけは「何も決まらない、何も決められない日本」というイメージがこれまで微かにあった日本への興味関心という細い糸がいとも簡単に切れ諸外国が一気に不安に陥ったと言ってもいいだろう。


総理交代前の改革路線も国の借金を民間に丸投げしたり独立行政法人増やしたり逆効果というか逃げの戦略ともいえるけど、海外から見たら革新的ということで評価されるんだからこれもまたどうなのかと思うけど。


そんな中、総理の指導力、決断力もさることながら、最大野党である民主党の対応も大人げない。


自民公明と民主党との派閥争いなんて今はどうでもいい。嫌でも世界に目を向けないといけないこの時に諸外国にさらに不安を煽る結果となる日銀総裁人事の混迷。


現段階においては自民党が民主党の納得する案を出すことも、民主党が譲って自民党推薦人事を受け入れる事もどちらも世界に目を向けた日本の未来を考慮した行動だと考える。


与党自民党の決断力のなさやこれまでの失態に愛想をつかす国民も多いだろう。


でも野党第一党の民主党も「自論なき政党」という感も否めず、ましてこんな重要な局面で国内にだけ目を向けて自民党へ参院議席数多数という力を誇示せんがばかりに政治をストップさせている大人げない稚拙さは、与党とともに国民の士気を一気に削ぐこととなっている。


そんな自覚がないようだ。


水面下で話し合おうとなんだろうとこの際どっちでもいいから、代行ではなく総裁を早く決めるべし。


民主党が言う政府財務と日銀分離の考えもわからなくもないが、この世界の状態において、たとえ政府系の色彩が濃い人がなったとしても政府に有利な施策などできるはずもないのだから。


中央銀行総裁は、国内ばかりではなく「海外」にも配慮しなくてはならず、世界の目というお目付け役がいるのだから。


アホなことしたら世界から総すかん食らう事になり、なった本人も日本政府も立ち直れなくなるほどの痛手なのだから、いくらなんでもそんな事はするはずがないよ。もうダメだ~崩壊だ~ってサジ投げてやけにならない限りそんなことするはずないから。