そば切り 凡愚 | 蕎麦巡記

そば切り 凡愚

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大阪の名店として名高い、大阪市大正区の「そば切り 凡愚」。
「凡愚ファミリー」と称し、ここで修行した「蔦屋」や「月山」を紹介する雑誌もある程で、さながら大阪蕎麦の総本山的な存在です。

生い茂った観葉植物の中に見えるファンキーな看板が目印。
土曜日の午前11時半に入店しました。


店内にまだ客はおらず、ひっそりした雰囲気。インテリアは何とも表現のしようがない雑多な印象。壁際に手作りの蕎麦猪口がズラリと並んでいなければ、古いペンションの食堂かとも思える風情。

メニューは、壁に書かれている「太切りそば」「細切りそば」「大根おろしそば」「かも汁そば」の4種類。「手挽きそば」があるかどうかはご主人の体調次第?で、運が良ければ食べられます。

この日は「手挽きそば」は無いとの事で、「太切りそば」と「細切りそば」を注文しました。
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まずは「太切りそば」から。太切り特有の、野趣あふれる力強い蕎麦の風味を楽しみたかったのですが、この太さにしてそれもなく、そして少し水っぽい。

蕎麦つゆは返しが強めの、いわゆる関東風。蕎麦掻きの様な感覚で食べるなら、醤油の強いこのつゆは最適か、と思いきや、この太切りの前ではそれもやや物足りなく感じられ、結果、各テーブルに置かれている粗塩を振って食べるのが一番美味しいのではないかと思いました。


粗塩は、モンゴル産・日本(能登半島)産・フランス産・イタリア産の4種類が置かれ、個人的にはモンゴル産が蕎麦の風味を一番引き立てていたように思います。

あれこれ試している内に「太切りそば」を完食。続いて「細切りそば」が運ばれてきました。粗挽きの粒子と、星が見え隠れする、透明感のある繊細な蕎麦。しかし太切り同様、蕎麦の風味は弱く、そして太切り以上に水っぽく感じられます。
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蕎麦つゆは太切り・細切り共用です。太切りは粗塩で食べたので、細切りはやはり蕎麦つゆで、と思っていたのですが、どうもここの蕎麦つゆは今ひとつ。コクのある醤油の風味は良いのですが、その後に追いかけてくる鰹出汁が弱く、蕎麦と共にすすり上げた時の、口の中での広がりが物足りない感じ。やはり粗塩の方が、蕎麦の風味が素直に引き立って美味しいと思います。

ところで、各テーブルには粗塩の他に、ラップに包まれた「笹の葉寿司(鯖寿司)」がいくつか常備されているのですが、鯖の〆具合、酢飯のまとめ具合が良く、これが素晴らしく美味しいです。



次回訪問することがあれば、この「笹の葉寿司」をつまみながら、暖かい「かも汁」でもいただこうかと思います。


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