昨日は付き合わせちゃってごめんね。
夜景と海、二人しか見えない景色、本当に素敵だったし、翔といると幸せなんだって分かる。
でも、なんか、翔に悪いから、今日は行かない。
また、今度行くね。
いつもおいしいカクテルをありがとう。
また絶対一緒に飲もうね！私も生きるから。
今日はあんまり連絡しないほうがいいよ。
でも待っちゃいそうだけど……
なんでだろう、…人気ダンサーってだけなのに。やっぱ夢を追いかけてる人だからかな…離れられない。
それに昨日は気付いてた。翔にもしかしたら、違う女性の影がある。
翔に女性がいなかったらおかしいくらいだけど。
その人は私よりおとなしい感じの人だった。
すんごくきれいで、私より物怖じしないとこがありそう。
あの人なら翔だって悪い気はしないだろうに。
だからじゃないけど、今日は行かない。
彼の人生を壊すようなまねだけは絶対にしたくないっ(>_<)それだけは護りたいと思った。
あ～、………翔から連絡きちゃった……いらないのに。
私は、翔からのメールを見ても返す気にならなかった。
翔、ごめん。
ごめん。
涙があふれてきた。
こんなはずじゃなかったのに。
私は、何も考えられなくて、ベッドにうつぶせになって寝てしまった。
翔に会いたいよ。……会って話したい。
だけど、お店に行くと私よりきれいで多彩な女性はたくさんいる。なのに、翔はいつも私から離れたがらない。
本当は窮屈でたまらなかったのではないのだろうか。
窮屈なら、仕方ない。
翔という一人の人間を好きになってしまった。
他に翔のことを好きな人間だってたくさんいるのはこんな私だって知っているから胸が痛いの。
……私は、眠れなかった。
眠りたいのに。
現実に引き戻されてしまう。
もう、会うのやめようか。
また翔からのメール。
‘連日ありがとう。瞳、また来いよ。今日は？家にいる？迎えに行ってもいい？ 翔’
私は、言葉にならなくなってしまった。そっか昨日は家まで送り届けてもらったんだ………
取り返しのつかないことになりそう。
でも、好きな気持ちはかわらない。
私は今日、お店には行かないこと、言えない。
だって彼の寂しがる顔なんてもう見たくないよ……
だから返信しなかった。
ふと見上げた空に夕焼け雲が浮かんでいた。
車のエンジンの音が近づいてくる。
だけど私は、出たくなかった。……