網戸にして寝ていると、肌寒くなってきたが、眠くて動けない。
するとリビングにいたアベフトシがこれを掛けろとボロボロのひざかけを持ってきてくれる。
サマーニットのような肌触りの悪いグレーの生地で、ミシンで雑に縫った跡がありところどころ長い糸が飛び出している。
真ん中にはトミーヒルフィガーそっくりの赤・白・黒のロゴで「LAMONES」(ラモーンズ?)とある。
アベの手作りと知り、感動と感謝を伝えようとするが、とにかく眠くてうまく言葉にならない。
地元の、土産物を売る観光施設(実在)の駐車場に左折して入ろうとすると、駐車場から出ようとした銀色の古びた初代ヴィッツが接触してくる。
そのまま出ていこうとするのでクラクションを鳴らして手招きすると、しぶしぶ戻ってくるが、隙をついて別の出口から逃げられてしまう。「5594」というナンバーだけかろうじて覚えた。
警察を呼ぶと、私服の男女のペアが来て土産物屋の2階通路にある小さなテーブル席で話を聞かれる。
あまりやる気がなさそうな男性。事故の詳細を話すと「それは白いウイングロードではなかったですか?」となぜか言われる。ヴィッツだったと主張する。
女性が席を外し、男性と二人で待つことに。テーブルの向かいには細長いクッキーデニッシュパンの専門店があり、色々なフレーバーのパンが並べられている。
ふと気づくとテーブルの隅にそれらのパンが「試食用」として小さく切られて透明な箱に入れられ置いてあった。食べてみると、麩菓子のような食感であまり美味しくない。
女性はまだ戻らない。土産物屋の大きな窓から、観光の目玉である山脈を眺める。土産物屋には観光客は皆無で、活気がない。
「今日は平日だから人がいないんですかね?」と男性に話しかけると、「いやいや土日も似たようなものですよ」と笑って答える。
夫、息子の三人でドライブをしていると、世界が早送りになる感覚と共に体が金縛りのように動かなくなり、視界が白くなる。
気がつくと夫と二人家にいたが、息子がいない。
代わりに中学生くらいの少女が学校から帰ってくる。実の娘かどうかわからないが三人で暮らしているらしい。
場面が少し飛び、少女がパン屋で盗みを働こうとしたと連絡が入り、店主に平謝りする。
頭を下げようとしない少女の頭を必死で押さえ付ける自分を、何人もの人がじろじろ見ている。
その夜、夫と元々いた世界について話し合う。
「あの小さな可愛い男の子がいた世界に戻りたい」と二人で泣く。二人とも、息子の名前は一切思い出せない。