ラーメンろたす 煮干ラーメン 2011/09/07開店日モデル | めんりすと非公式ファンクラブ ~静岡県東部の美味しいラーメン店だらけのブログ

めんりすと非公式ファンクラブ ~静岡県東部の美味しいラーメン店だらけのブログ

静岡県の有名ラーメン店の名作500杯をレビュー。今はめんりすと(三島市)のラーメンに感動しまくった結果、勝手にファンブログを名乗ってます。紹介店舗を徹底して厳選しているのが自慢で拘り。ラーメンが唯一の恋人だから許してねw。

煮干しラーメン

(あっさり鶏ガラ煮干スープ うま味調味料不使用)


めんりすと 非公式ファンクラブ


FEAT 2011/September/xx 20:56:05


ラーメンろたす、開店。デビュー作を味わいます。
最初に・・・。豚そばすっげー美味いです。でもごめんなさい。私の豚そばのレビューを読んで、そんなに美味いんなら煮干しラーメンやめて豚そばにしようと思ったあなたに謝るよ。
煮干しラーメン超絶美味いっす。豚そばも美味いけど、煮干しラーメン超美味いっす。めちゃめちゃホッとしました。ここまで煽ってきて、食べてみたらぼちぼちの内容だったら、いったいどうやってレビューを書こうか悩んでいました。
何だよ、何を悩んでいたんだか・・・。煮干しラーメン凄すぎ。ここまで美味いと別の意味で悩むよ。とまあ、そんな序文です。
 
つーわけで、今度こそのレビューは煮干しのラーメンです。
ヤバいよね、いきなりの制覇かよ。
ところで私が煮干し系のラーメンに期待するもの・・・、やっぱり魚介系独特の味わいでしょうか?
それもカツオのような明朗で高域に広がる明るい風味でもなく、サバのような捻りと引っかかりを加えた中域に特化したつねるような風味でもなく、もっと複雑な表情がある種雑多にも残っていくような風味・・・。
低域に磯ものらしい潮を含んだかのような塩気と、青臭さや煎りからくる渋みや苦み、そして魚の肉が持つ甘み・・・それも小魚らしい肉のしまりを感じさせる味わいの中に浮かべる質感に密度がある甘み、油脂によらずもっとむき出しで魚介らしさを突きだしてくる感じが煮干しの面白さだと思います。
 
ラーメンろたすの髙梨店主が過去にクリエイトした煮干しのラーメンと言うと麺屋中川無題ブランドのど煮干し中華そばを思い出します。
この作品の初期のタイプは、煮干しの濃さ、それも煮干しの青っぽさや、煮干しが肌に含む海の潮気を重厚に波打たせたこれぞど煮干しと言わんばかりの渋みの深さを覚えるものでした。
渋みの質感に複雑な表情をめくるめくスピードで露わににする一方で、渋みに対してある種苦手意識を覚える方に対しては、その渋みの色気や表情を感じさせるには及ばず「渋みが強い」という一言でその感想を完結させるものでもあったと思います。
汎用性やポピュラリズムを全身で否定して、作り手の成長に必要なコンセプトを一方的に走らせたかのような作風は、理解しうるものや、店主さんのファンには痛快極まりないものであり、逆にそのコンセプトに追従することから脱落してしまう者にはそのフォローが残されていなかったように思えます。
熱烈なファンが圧倒的に多い店主さんの、週一でしか味わえない限定ラーメンの発売直後だから許される作風を、今しかできないタイミングで提示してきたものだったと思います。
 
後々、このど煮干しラーメンはややその表情を変えていき、私が最後に頂いた時には煮干しの強い性格を複雑に出すというものではなくなっていました。
むしろ上等な煮干しが含む様々な風味を素直に押し出すことで、表情に多様性と深みのある作品になっていたと思います。
カツオのようにその表情を拡散的に感じさせていく風味ではなく、煮干しらしい深く深くその表情を探れば探るほどに、新しい味わいが聞こえてくるような作品でした。
 
そして今回・・・。
髙梨店主が立ち上げた初めての自身のブランド「ラーメンろたす」の処女作は一体どの路線になるのか、とても気になっていました。
エクストリームな個性でラーメンマニアの想像を超えるクリエイティブさで「唸り」を要求するのか、あるいはブランドを長きにわたって土地に根付かせる「誰からも評価される作風」とするのか、それとも基本となる味わいをどまじめに作りこみながら適度に崩した部分を作ることで「心への引っかかりや中毒性を狙う作品」とするのか・・・?
 
さらには麺はどうするのか?
煮干し系のラーメンは、麺に煮干しの個性がひしっと張り付いていくと思います。
これが麺そのものの香ばしさと感じられるものと、スープの味が麺によく絡んでいると思えるものと、あるいは煮干しの個性が麺の旨みを潰していると思えるものがあると思います。
 
これをどのバランスに持ってくるのか・・・?
 
さらには余韻で感じさせる煮干し感のふくらみ。
持続的に残すか否か、その質感を美しく豊満な明るさを思わすものとするか・・・、それともある種のエグミを生かしたごつごつとした風味を残すことで「食べ応え」を感じさせてくれるのか・・・?
 
これらがどの程度のバランスで整えられてくるのかが楽しみで仕方ないのです。
 
 
そんなラーメンろたすの処女作、煮干しのラーメンを食べてみます。
繊細な感覚を研ぎ澄ませて食べてみます・・・と言いつつ、ぶっちゃけ本当のことを語るならば、これを食べる数時間前に二郎インスパイアを食べています。
でも、そんなことで舌はぶれないよ。
常にぶれてるからね(爆)
 
というわけで、超期待の煮干しラーメンを頂いてみます。
 
スープを一口。
げっ、これは美味いっ!!!!!!!!
 
別に新しいお店を気遣っているわけでも、高梨店主の人柄にやられているわけでも、オーラの強いスタッフ陣に脅されたわけでもなく、馬鹿美味い。
 
本当にこれは凄い。
今までのど煮干しラーメンと全然違うなんて言うつもりもないし、明らかに延長線上にあるのですが、え~、ウソだろってくらいに美味い。
 
にわかには信じがたい満足度の高さでちょっと困る。

 
 
ぶっちゃけるよ、
 
ぶっちゃけるよ、
 
沼津市清水町ブロックの今まで食べた全てのラーメンの中で一番美味いと思った。

 
ってか、ぶっちぎりで。
 
それも高梨店長にイメージする「個性の突き抜けた魅力」が故のトップというよりは、「欠点が何らあげられないラーメン」という意味でこそ一番美味い。
さらに言うなら、「化学調味料が大好きだけど、化学調味料使ったらもっと味がまとまるんだろうけどね~」とか、「化学調味料入れていいから塩抑えて欲しいな~」なんてことを一切思わなかった。

 
ひょっとしたら初めて「化学調味料を使っていないからこそできた美味しさなんだよ」って言いきれるラーメンに出会っちゃったんじゃないのかって思う。
 
煮干しって素材のできることってのが、まるで想像越えていて、ちょっと何なのよって感じ。
しかも麺も凄い。
自家製麺じゃないことは1000も承知の助だけど、だって美味しいんだもの。
この麺の味、どっかで感じたことがある味なので、きっとブランド小麦を使ったような麺だと思うのですが、同系の味の麺の中で一番美味いじゃん。
欠点ないんだもの。
しかも煮干しというこの手の麺の個性に相反すると思えるスープなのに、そのスープに対して微塵のブレも感じさせない。
しかもスープを汚してくる感じもなし。
 
え~、本当ですかって驚きまくる。
 
めんりすとさんの全粒粉入りの細麺が大好物の私ですが、めんりすとさんの麺が知識を詰め込んだ作り手の技巧とセンスを主張する麺であるのに対して、ラーメンろたすの麺はシンプルでありながら口当たりから噛み続けての味わいまで終始旨味が崩れないという徹底した素材感の良さを主張する麺です。
きっとこの麺って、高いんじゃないの?
製麺所さんの本気モードの集大成って位に、欠点見えないんですけど。
路線としては普通の麺、でもそのクオリティーが全然違うんだ。
 
豚そばもすっげー美味いけど、やっぱりラーメンろたすは煮干しラーメンだと思った。
このラーメンは強いです。
 
 
と、雑なレビューじゃなくって、もう少しだけちゃんとレビューしてみる。
 
スープは煮干しの香り豊か。
浮かぶオイルには特別な分離感はなく、全体として穏やかな液面を思わせます。
スープは口当たりから煮干しのまるーく柔らかな味わい。
しっかりとした明るい表情には、魚の快活な表情が思い浮かぶほど。
そして後味に向けて磯めいた小魚の味わいや潮気を感じていきますが、この質感は神!!
 
めんりすとさんの煮干しのラーメンが大好きな私も、それとは異なるこの個性もまた正解の一つだったと受け入れなくてはなりません。
むごい程に美味いです。
 
磯っぽさ、潮っぽさを十分に感じながら、その風味を潮風が流れるように軽やかに感じさせ、余韻にエグミを一切残しません。
ザラツキのあるような味わいに一見似ていながら、透明感があり、制御されていない雑味はなし。
整然と存在させられた小魚っぽい旨味は存在すれど、雑多な表情がまるでないのです。
滑らかではない個性でありつつもキメの整い方に計算が行き届き、リズムを感じる風味の展開であるために、常に周囲の風味を感じ取らせてくれる・・・。

 

WSRBさんの鮎そばの、シンプルだからこそ美しい味わいがありました。

そして鮎そば並みにキレのある魚介の風味が感じられます。

そして鮎そばとの決定的な違いは、WSRBさんが得意の淡麗であるのに対し、

 

シンプルな美しさとキレのある魚介の風味に加えて、風味の十二単と語っても良いくらいに繊細な風味を幾層にも重ね合わせた緻密で精巧な重厚さを併せ持っているということ。
 

これ以上って、ちょっと想像できないです。

トッピングや麺がこのスープの個性を妨げないように、非常に気を使われていることも伝わります。

 

大切に大切に仕立てられた、宝石のようなスープですよ、これ!! 

 
ラーメンろたす開店でテンション上がり過ぎて、舌がおかしくなったんじゃないかと疑いたくなるくらいに、食べる前の予想をはるかに凌駕しています。
ぶっちゃけ高梨店主の作品ですから、個性が張り過ぎて美味しいけれど数字に直したとしたら評価は上がりきらないタイプのラーメンが来ると思っていましたよ。
思っていたどころか、ほぼ確信してましたよ。
もっといえば、こんだけラーメンろたすに期待しているって話を書き続けていて、食べたら好みじゃなかったらどうしようかと思ってましたよ。
 
全くのノープロブレムでした。
 
何なのこのスープ。
わさらびさんの鮎そばを、もっともっと魚介に重心を寄せて、もっと旨味にストーリーを加えて、ぬくもりを持つ出汁を抑えた感じかな?
もちろん全然違うタイプのラーメンだとわかってはいるけれど、そのくらい透明感に意味を持たせつつも濃厚で主張的な味があるってことを言いたいわけです。
 
ちょっとドライながらも厚肉めいたこのスープの個性・・・、どこかの有名店のパクリなのかオリジナルなのかはわからないのですが、こんなに美味い煮干しのスープがあるんだなって感動です。
これまで高梨店主の作品では、鶏塩そばのスープに神がかったポテンシャルを感じていたのですが、それをまさかのひとっ飛びですからね、恐れ入ります。
 
高梨店主のブログだかツイッターだかでは、煮干しのエグミをどの程度残すかがポイント見たいなことが書いてあったと記憶しますが、ないよそんなもの。
小魚特有のザラッとした旨味もあるし潮気もあるし、磯ものの香りもありますよ、でもエグミじゃない。
どっかから勝手に出てきちゃった偶発的な苦味なんて存在していません。
余韻も、臭味は残りませんよ。
むしろこれを食べ終えた後の呼吸は、爽快さを増して感じられるほど。
 
むごい程に美味い・・・、この言葉を的確と思えるくらいの素晴らしいスープでした・・・、が、ここで終わったりしないよラーメンろたす。
 
このスープに当てる麺がまた凄いんです。
 
忘れちゃったけど残る舌の感触では、麺は断面円系の自然なストレート麺。
玉子を思わすかのように錯覚させるジャガイモめいたようでもあるほっこり甘味を口当たりから後味まで確かに感じさせます。乾いた苦味の存在しない柔らかでボディーのある味わいの麺ですね。
これ、小麦がいいんだろうなあ・・・。
違うかもしれないけど、国産小麦なんでしょうね。
日本の小麦なんて世界中で日本人しか美味いって言わないのに、何を有難がって使ってんだろって思っている、どっかのG高原パンマニアの脳天を鈍器で打ち破る美味しさ。
できればフランス産だと言って欲しいけど(笑)、このコシだけでなくモチッと感も見せるこの麺は、流石に国産なんでしょうね。
国産らしい個性が魅力的に感じられます。
 
で、この麺、美味しいだけじゃないんです。
 
煮干しのラーメンの場合、どうしても煮干しの苦味、悪い時には煮干しのエグ味が麺に貼りつき気味。
それこそめんりすとさんのような、徹底して透明感を主張する煮干しのスープですら、麺に煮干しの味は絡んできます。
まあ、その苦味を麺の香ばしさに錯覚するように演出してくるめんりすとさんはめんりすとさんで凄いのですが、このラーメンろたすの細麺は、なぜか煮干しのエグ味が張りつかない。
これはスープの個性?
麺の個性?
 
麺の舌触りは穏やかで、スープを弾くものではありません。
しかし煮干しの味によって麺に苦味が出ることはなく、むしろスープの苦味の反動で麺のもる甘く緩やかな旨味が明るさを増して浮かびあがってきます。
 
うわっ、この麺のセレクト凄いわ・・・。
 
 
スープだけを語るラーメンでもなければ、麺の固さだけを語るラーメンでもありません。
美味いです。
スープも麺も、徹底して上質なんです。
 
 
それにしても、この煮干しラーメン、訪問前の予想とはだいぶ違いました。
これ・・・、この地域に住む方々の生活に入り込めるラーメンですよね。
 
今までの髙梨店主の作品と比べても「日常」を感じます。
今までの作品には「非日常」を強く感じさせていただきましたが、あえて「日常」にフォーカスしたというのが、本音の印象。
器用さやアイディアによりすぎない落ち着いた環境における静かでひた向きな仕事・・・、それが生み出すしっとりした情熱みたいなものを、この一杯に感じました。
 
髙梨店主の人柄や才能を凄さは、私がラーメンについて記事を書き始めたころから語ってきたことであります。
しかし当時はラーメンIQの高い人という評価でありました。
この煮干しラーメンはそういう次元じゃないですね。
  
これまで髙梨店主が麺屋中川で生み出してきた限定ラーメンは、食べた人に新しい驚きを提供したいという面もある一定の割合で存在したと思います。
だから作家性には一本筋が通っているのに、どこかその作品が目線がファンの数だけ存在するような心地よい散漫さもあったのだと今になっては思います。
そして高梨店主が麺屋中川ブランドを卒業すると聞いた時、きっとこれまでやろうとしてもできなかった無茶なことに挑戦してくるんだろうと思っていました。
ところがそれが違ったんですよね。
 
髙梨店主が自身のブランドを掲げての最初の作品は、髙梨店主の無茶ではなく、髙梨店主の日常の延長にある体温の籠った一杯・・・。
一つ一つの試作をも丁寧に丁寧に努めてきたことまでもが伝わります。
思い付きの積み上げにはない、日々のひたむきな仕事の延長にあることをしっかりと感じさせてくれるのです。
作品への愛情に満ち満ちた一杯です。
素晴らしいものを体感できました。
  
どまいぽ~でした。
 




ラーメン ろたす (by ge-cさん)

ROTAS (Ramen Of Tasty And Smiley)

   
ラーメンろたす

静岡県駿東郡清水町徳倉1881

TEL/FAX  ?

定休日 木曜日

営業時間  11:30~14:30 17:30~21:00


RAMEN ROTAS ラーメンろたすのブログ

http://ramen-rotas.blogspot.com/

 

店主さん(ge-cさん)のブログ

http://sugoizoquruli.jugem.jp/


店主さん(ge-cさん)のツイッター

http://twitter.com/#!/ge_c_ramen