税理士<shin-shin>のブログ

税理士<shin-shin>のブログ

税金は難解・・・でも知っているのと、知らないのでは納税額が全然違います!
★実務で遭遇した税金の「アッ、そうなんだ~」「こんな方法があったんだ~」

Amebaでブログを始めよう!
 労働基準法ではパートの方でも要件を満たせば有給休暇が付与されることになっています。正社員は有給休暇があるけれど、パートタイマーにはないと思っている方も多いようですが、間違いです。

 弊社でも顧問先の給与計算を受託していますが、パートの有給休暇が発生するケースはほとんどなく、通常は退職する時にパートの方が有給休暇があるのではないかと店長等に直談判し、付与されることが多いです。

 このような場合、パートの方の有給休暇のときに賃金計算をどのようにするか問題となります。

パートの方の有給休暇のときの賃金計算はどのようにすればいいでしょうか。
 有給休暇の賃金の計算方法ですが、通常は「通常の賃金」で計算する方法と「平均賃金」で計算する方法のいずれかとなります。例外的に社会保険の「標準報酬月額」で計算する方法もありますが、一般的ではありません。いずれの計算方法を採用するかは、その会社の就業規の内容に従います。個人別に計算方法を変えたり、月ごとに変えることはできません。

●通常の賃金で計算する方法
 通常の所定労働時間に時給を乗じて計算します。所定労働時間は雇用契約書等で決めた時間数を使います。
 有給休暇の賃金=所定労働時間×時給

●平均賃金で計算する方法
 下記の計算式で計算した賃金のいずれか高い方の額を有給休暇の賃金とします。
 (算式1)有給取得以前3ヵ月間に支払われた賃金総額÷有給取得以前3ヵ月の総日数(暦日数)
 (算式2)有給取得以前3ヵ月間に支払われた賃金総額÷有給取得以前3ヵ月の労働日数×60%
 算式1は暦日数で割りますが、算式2は実際の労働日数で割ることに注意が必要です。

 一般的にはパートの方のシフト(何時に出社し、何時に退社するのか)が決まっているのがほとんどでしょうから、「通常の賃金」で計算していることの方が多いでしょう。



引用元:【給与計算】パートの有給休暇の給与計算
 相続税申告を多数行っていても土地の評価では毎回頭を悩まされます。

 いま依頼を受けている相続税申告でも土地の評価が問題となりました。土地の評価は、その接道している道路に設定されている路線価で評価することが原則です。しかし、私道に接道している土地のように路線価が設定されていないケースもあります。
 
 路線価の設定されていない道路のみに接している土地を評価する必要があるときには、税務署に特定路線価の設定の申出をすることができます(評基通14-3)。公道に接道していない土地は、公道に接道している土地に比べて売却金額が2~4割ほど低くなることは一般的です。
 特定路線価を申請してみると分かりますが、公道の路線価に比べてだいたい10~15%ぐらいしか下がりません。この水準の特定路線価で土地を評価すると実勢価格よりも相当高い評価額になってしまいます。

 従来は、特定路線価を申請しつつ、公道の路線価から画地調整(不整形地補正など)を行った評価額といずれか低い方の評価額で申告することもありました。

 しかし、平成24年の国税不服審判所で、特定路線価を申請した場合、特定路線価で評価すべきである旨の裁決が出されました。特定路線価を申請するかどうかは納税者の任意ですが、申請した以上はこれで評価すべきとの制限を受けます。

 今回の相続税申告では、(1)特定路線価では評価額が相当高くなる可能性があること、(2)特定路線価の申請をした場合はそれで評価すべきであること、を説明したうで、評価額を下げるために、固定資産税路線価を用いた比準方式を提案しました。

固定資産税路線価比準方式とはどのような評価方法でしょうか。
 路線価は、国税庁が毎年設定し、相続税、贈与税申告で使用します。
 一方、固定資産税路線価は、市町村が3年に一度設定し、固定資産税の課税(土地の評価)で使用します。固定資産税路線価は、街路に沿接する標準的な土地の単位地積(1平米)当たりの価格を表示したものであり、平成27基準年度においては、価格調査基準日である平成26年1月1日時点の適正な時価を評定して付設した路線価が記載されます。路線価に各土地の形状等に応じた補正率(画地補正率)を乗じて単位地積当たり価額を求め、これに地積を乗じることで、評価額を算出します。

 相続税路線価も固定資産税路線価も設定方法は同じ考え方の元で行っています。ただし、固定資産税路線価は3年に一度しか評価替えされないため、基準年度から評価年度までの時点修正を行うことに注意が必要です。

 固定資産税路線価のもう一つの特徴としては、相続税路線価の設定されていない私道(公衆用道路)にも路線価が設定されることです。

 今回の評価対象地も私道(公衆用道路)のみに接道していて、相続税路線価は設定されていませんでしたが、固定資産税路線価は設定されていました。

20151025

 そこで、評価対象地の評価にあたっては特定路線価は申請せずに、相続税路線価100千円を固定資産税路線価(80千円、50千円)から比準調整して評価することにしました。
 特定路線価で評価した場合はおそらく8,000万円ぐらいの評価額だった土地ですが、5,000万に下げることができました。

 固定資産税路線価は、相続税申告を多数行っている税理士でも知らない人もいるようですので、一度見てみるといいでしょう。
 




引用元:【相続税】路線価の設定されていない土地の評価-固定資産税路線・・・
 生前、親が認知症になり、子供が後見人となることは多いです。ただ、後見人が親の財産を着服したりするケースが後を絶たないことから、後見人を監督する役割である後見監査人として弁護士などを選任するケースもあります。

 今回の相続税申告の依頼者も親の後見人として子供の内の一人が選任されていて、さらに後見監査人として弁護士を選任していました。
 
 親が亡くなり、後見監査人が裁判所に申請して後見監査人としての報酬を請求し、相続人が支払いました。今回の相続税申告において問題となったのが、後見監査人の報酬が債務控除の対象となるかどうかです。

相続開始後に相続人が支払った後見監査人の報酬は債務控除の対象となりますか。
 相続財産から差し引くことができる債務は、「被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるもの」とされています。死亡時点で金額が未確定のものは金額を見積もることになります。つまり、ポイントは、相続開始時点で債務で確実と認められるものかどうかです。

 ところで、後見報酬、後見監査人報酬は成年被後見人の財産から差し引く(負担)こととされていることから、後見監査人が選任された時点で被相続人の債務として確実なものと認められます。

 したがって、被相続人の相続税申告において、債務控除の対象とすることができます。



引用元:【相続税】後見人報酬の債務控除
 普段、経営者の方とお会いし経営戦略を話ししていますが、経営者に万が一のことが生じた場合の対応を話しすることはほとんどありませんでした。経営者も「生涯現役だ」という方もいます。

 しかし、先日、経営者の方が病気で意識不明の状態になり、いまは少し回復されましたが、まだ会社に復帰できる状態ではなく、経営の意思判断ができる状態でもありません。

 この会社の株主及び持株割合は、社長60%、A(取締役)20%、B(取締役)20%です。社長の議決権を行使ができないと過半数に達しません。中小企業では、社長が過半数の株式を持っているのがほとんどでしょう。もちろん社長が奥さんに議決権行使の委任をすることができればいいのかもしれませんが、意識不明の状態であれば委任することもできず、また、奥さんは会社経営に一切携わっていないため、議決権行使も困難であることが考えられます。

 そこで、この問題の解決案を提案することにしました。まず最初に考えたのが社長の持株を無議決権化することです。社長の株式を議決権のない株式(種類株式)に変えることで、AとBで決議することができます。無議決権株式は実務上ポピュラーな制度ですが、(1)種類株式の発行に関して登記が必要であること、(2)謄本に種類株式の発行が記載され、対外的に知れ渡ってしまうこと、(3)社長が復帰したあと議決権を回復させるのにA、Bの承諾が必要となること、がネックになりました。

 業務提携している司法書士に相談したところ、「属人的株式」を設定することでこの問題をクリアできるだろうと回答をもらいました。

属人的株式とはどのような制度ですか。
 株式会社の株主は、株主平等の原則により、「議決権」「利益の配当」「残余財産の分配」について平等の権利を持つことが原則です。たとえば、議決権であれば、1株1個の議決権を持ち、300株を持っていれば議決権は300個、100株であれば100個となります。

 属人的株式は株主平等の原則の例外であり、「議決権」「利益の配当」「残余財産の分配」について株主ごとに異なる取扱いをすることができる株式(種類株式)です。

 たとえば、ある株主が「病気、事故、精神障害などにより判断能力が喪失した場合、行方不明の場合、その他株主総会に出席して議決権を行使できない場合」の状態に限り、株主Bの有する株式1株につき3個の議決権を有する、などと設定することができます。

●現状<x社>
 株主A  600株(議決権600個)
 株主B  200株(議決権200個)
 株主C  200株(議決権200個)

●属人的株式の設定後
 株主A  600株(議決権600個)
 株主B  200株(議決権600個)
 株主C  200株(議決権200個)
 
 この状態でれば、株主B、Cで普通決議は行うことが可能になります。
属人的株式を設定する手順を教えて下さい
属人的株式の設定は、定款の変更が必要となり、総株主の2分の1以上の出席、かつ総株主の議決権の4分の3以上の賛成が必要です。実務上は株主全員の同意を得ておくことが望ましく、敵対的株主の議決権割合を相対的に低下させるために属人的株主を設定した行為が否認された事例があります。
 また、属人的株式は他の種類株式と異なり、登記する必要がないため、対外的に知れ渡ることがないこともメリットです。
属人的株式は使用例を教えて下さい
 今回の事例のように経営者が議決権行使できない状態になったときを会社の危機を救う「ヒーロー株式」があります。経営者が信頼できる第三者にヒーロー株式を1株譲渡しておけば、経営者が万が一の状態になってもヒーロー株式の議決権が増加し、会社を救ってくれます。

 また、それ以外に使用方法としては事業承継の際に使用することができます。
 経営者から後継者に持株を移転し、会社の運営を任せたいと思っても、株価が高額で一度に後継者に渡せない場合があります。この場合、後継者が買取れる金額分の株式について、議決権が増加する「VIP株式」にすることで、後継者だけの議決権で会社経営ができるようになります。



引用元:【会社法】属人的株式の活用ー代表者が病気により判断能力が喪失・・・
 税金の納付が困難な場合、税務署が財産を差し押さえ、滞納処分を行って財産を換価し、滞納税金に充当することがあります。しかし、営業上の重要な財産が換価されてしまうと事業継続が困難になります。そこで、従来は、税務署に分割納付のお願いをし、換価を猶予してもらっていました。税務署の「職権による換価猶予制度」といい、滞納処分を猶予するかどうかの決定権は税務署にあり、猶予されなかった場合に納税者は不服の申立てができませんでした。

 平成26年度の税制改正で、国税徴収法が改正され、納税者の「申請による換価猶予制度」が創設されました。この制度は、従来と異なり納税者から換価猶予の申請を行うことができ、税務署が許可しなかった場合に納税者は不服の申立てができます。

 今回、消費税の納付を一時に行うことが困難な会社で、申請による換価猶予制度を使いました。平成27年4月1日以後に納期限となるものから初めて適用できる制度ですので、税務署の担当者も先例がなく、戸惑っていました。

申請による換価猶予制度について教えて下さい。
(1)制度の概要
 国税をその納期限までに納付していない場合には、納付するまでの日数に応じて延滞税がかかるほか、督促状の送付を受けてもなお納付されない場合には、財産の差押えなどの滞納処分を受けることがあります。
 ただし、国税を一時に納付することが困難な理由がある場合には、税務署に申請することにより、財産の換価(売却)や差押えなどが猶予される制度です。
 分納と違い、換価猶予の許可がおりると延滞税が軽減されます。

(2)換価猶予が認められた場合
(イ)既に差押えを受けている財産の換価(売却)が猶予されます
(ロ)差押えにより事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがある財産については、差押えが猶予されます
(ハ)換価の猶予が認められた期間中の延滞税の一部が免除されます

(3)換価猶予の適用対象
 主な適用要件は次のとおりです。
(イ)平成27年4月1日以後に納期限が到来する国税であること
(ロ)納税について誠実な意思を有すると認められること
(ハ)換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
(ニ)納付すべき国税の納期限から6ヵ月以内に「換価の猶予申請書」が所轄の税務署に提出されていること
(ホ)原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること

(4)換価猶予期間
 換価の猶予期間は原則として1年以内です。ただし、猶予期間中に完納できないことにつきやむを得ない理由がある場合は、当初の猶予期間を合わせて2年以内まで延長することもできます。なお、換価の猶予の適用を受けた国税は、原則として猶予期間中の各月に分割して納付します。
換価の猶予申請の注意点を教えて下さい。
(1)換価の猶予申請書の提出期限
 納付すべき国税の納期限から6ヵ月以内に申請書を提出しなければなりません。

(2)担保の提供
 猶予を受ける期間が3ヵ月以内または滞納国税が100万円以下であれば担保提供は不要です。ただし、担保を提供することができない特別の事情(担保財産がない場合など)がある場合は担保提供が免除されます。
 今回の事例でも、代表者の自宅が持ち家かどうか聞かれました。住宅ローンの抵当権が設定されていても担保として取るとのことでしたが、代表者の自宅は借家だったため担保提供は免除されました。保証人も必要ありませんでした。

(3)分割納付
 毎月納付することが原則とされていますが、今回の事例では、1年間で3分割での納付が認められました。
換価猶予が許可された場合、延滞税はどのような取扱いになりますか。
 平成27年では、納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については「年2.8%」、それ以降は「年9.1%」です。
 換価猶予の許可がおりると2月を経過後の期間は特例基準割合「年1.8%」に軽減されます。
 換価猶予は申請書を作成し、提出する必要がありますが、このように延滞税が相当軽減される効果があります。税務署に単に分割で納付するお願いをしても延滞税の軽減は受けることができないため、できる限り換価猶予制度を活用しましょう。
 




引用元:【国税徴収法】平成27年4月から適用の換価猶予申請を行いまし・・・