ある方と面談したときに、その人は私の闘病blog(ごく最近のもの)を読まれたようで、

「どうして、親兄弟に助けてもらえないの」と質問された。

なぜ助けてもらえないのか、私だけでない患者全体のこととして、そのことを書いたつもりなのだが、

世の中は震災以降、「絆」「絆」の大音響が鳴り響き、

家族のつながりこそ尊いという風潮が高まった。

だが、病気や事故と同様に、震災という天変地異によっても人の運命が大きく変わるのだ。

家族の絆が深まり、家族で助け合うというのが多くの世の中の人にとって

「当たり前」のことが、

病気をしたことによって、「家族が仲が良く助け合うことが当たり前ではなく、実はとても幸せなこと」だと気づいたのだ。

病気や事故、天変地異、さらに戦争によって、人の運命が激変する。

そのことを、私はギランバレー症候群という難病を患ってから、受け止めるだけである。



私は独身で、いつ誰かと縁があるかもしれない。

婚活を考慮すると、病気をしてから親兄弟と縁が薄くなったという事実は、プラスどころかマイナスに働くだろう。

でも私は、書き手として、自分の身に起きたことを、ただただ嘆くのではなく、

第三者に理解してもらえなくても、「世の中は当たり前だらけではないのだ」と伝えたい。

伝えることが私の役目なのなら、

病気になったことがないため、患者の心境を理解できない人の言動に、

いちいち落ち込んでいられないなあと思う。



ごく当たり前のことが、どれだけ幸せなことか。

身をもって知ってしまったわけだから、そのことを残したい。

生きていくことだけで精いっぱいで、書籍のプレゼンに体力も気力も必要だが、

何としてでも、私が病気で苦しみ、その苦しみを解き放ったことから、回復したことを、出版したいものだ。