私が患ったギラン・バレー症候群とは何か?
フリー百科事典『ウィキペッディア(Wikipedia)から抜粋してみよう。
「ギラン・バレー症候群 (ギラン・バレーしょうこうぐん、Guillain-Barré syndrome)とは、
多発性の根神経炎の一つで、主に筋肉を動かす運動神経が障害され、
四肢に力が入らなくなる病気である。
重症の場合、中枢神経障害性の呼吸不全を来し、
この場合には一時的に気管切開や人工呼吸器を要するが、
予後はそれほど悪くない。日本では特定疾患に認定された指定難病である。
一年間の発病率は10万人当たり1~2人程度とされる。」
また難病情報センターHPでは次のようなことも。
「経過中に亡くなられる方が役5%と報告されています。」
ERで和製トム・ハンクスの内科ドクターから
「教科書でしか読んだことのない」という
ギラン・バレーのインパクトが強すぎて、あっけにとられてしまった私。
神経内科のドクターがやってきて初めて
免疫系の病気に襲われたのだということを知った。
そのときはまだ「限りなくギラン・バレーの疑いが濃い」
というだけで、まだ検査の段階。
はっきりと病名が
判明するまで少し時間がかかると言われた。
神経内科のドクターがやってきたころから
私の意識は朦朧としてきた。
ただ
末梢神経は麻痺していたが
意識、つまり中枢神経だけははっきりしていた。
神経内科のドクターと、次のような質疑応答をしたことだけは
よく覚えている。
(かっこ内は私の心の呟き)
「ギラン・バレーかもしれないというのは、どうしてですか?」
「風邪が長引いていた、下痢をした、発病は痺れ、筋肉の硬直、
これらの症状からギラン・バレーという疑いが限りなく濃い」
(和製トム・ハンクスの診断とほぼ同じだ。和製ハンクスドクターは教科書でしか読んだことがない
と言っていたけど、ひょっとしたらすごいドクターかもしれない。ううむ…)
「原因は何ですか?」
「風邪の抗体がウィルスを攻撃しようとして、誤って形が似ている末梢神経と運動神経を攻撃したと考えられる。
人によっては自律神経も攻撃される」
(自分で自分を攻撃?私の免疫は、ひょっとしてM?自虐的な免疫なの?)
「これから症状はどうなっていくのですか?」
「わからない。ギラン・バレーは悪くなるだけ悪くなる。それからは回復するだけだよ」
(ひぇ~ドクターにもわからないの?)
「悪くなるって、どこまで悪くなるのですか?」
「最悪の場合は呼吸筋を攻撃されて、呼吸困難になり、人工呼吸器をつける」
「その場合、どうなるのですか?」
「口がきけなくなる」
えええ~(!!!!)
喋れなくなるの?
あまりの衝撃に
そのときの私は、本当に唖のように
黙り込んでしまった。
しかしドクターは私の驚きなど知らないように平然として
「さっき実家のお母さんに連絡を入れたら、明日、東京へ向かうからと」。
秋田の母は、
私がまさか唖になるかもしれないなど
想像もしていないのだろう。
……悪い予感が広がり、次第に意識が薄れていった。