前筋による伸展の純化-多分もう前筋だけ- | 枠組みをまとめる ~理論から実践まで~ 今はボイトレ

枠組みをまとめる ~理論から実践まで~ 今はボイトレ

発声好きの一般人がテーマにそって枠組みを考えて紹介していきます。

ボイトレ情報をかじっている人ならば前筋(輪状甲状筋)が歌声にとても重要なことは知っているでしょう。ピッチ調整は声帯の張力変化に主に対応しており、前筋によって声帯を引き延ばすことが高い声を出すためには必要不可欠です。

前筋による伸展の仕組み前筋による伸展の確認は既に記事に書いますし、自分で前筋が働いているのは確認していました。苦しいながらも叫ばない範囲でhiGが使えるのでこれで前筋は十分使えているだろうと油断していたのですが、最近になってようやく前筋だけを収縮させるような純粋な声帯の伸展ができるようになりました。

これがなかなか面白い!はっきり言ってブレイクスルー

喉仏を動かさずにピッチを変えるというのは結構前からできていましたが、この感覚はそれとはひと味違います。今まで多少喉頭のポジションを支えるような調整、引き上げ筋と引き下げ筋でバランスさせるような調整、を少しかけていたのですが、今回はまったくありません。前筋だけを働かせるような調整が分離されたような感じです。

これで色々と分かったことがあります。

一つは今まで収縮させてしまっていた筋肉を緩ませることができるようになり、より無駄な緊張を減らして声が出せるようになりました。流石に全音域とは行きませんが、中高音域はかなり整理されました。

分かる範囲で緩められた筋肉は3種ほど
①肩甲舌骨筋
②甲状舌骨筋と舌骨上筋群
③咽頭収縮筋

です。

各筋肉の働きやどういう改善があったかは長くなるので別の記事で書くことにします。

高音でのピッチ調整が自由になると今まで意識が向けづらかった調整にも意識が回せるようになり表現が広がりました。とにかく、高音がとても楽に出せるようになったのが大きい。今までhiC以上では伸展よりも収縮が強くなりがちで、喉の抵抗感も増えるし息も苦しい感じになっていたのが改善されて、hiEまではかなり安定して出せるようになりました。この音域でロングトーンとビブラートをちゃんと調整できるのは非常にありがたいです。

出来るようになったつもりでも中々前筋だけを使うというのは難しいものなんですね。ちょっとしたブレイクスルーが起きたのでまた色々試してみたいと思います。


・追記
「どういう感覚か?」ということをあまり書いていなかったので追記します。
前筋だけ動かしてもほとんど何も感じません。筋肉が収縮するような感じはほぼないです(そもそも腱紡錘などがないので当然)。指で輪状軟骨を触るとクイクイ動いているのがよく分かります。喉仏は前筋を使うだけでは全く動きません。非常に強く前筋を収縮させようとすると他の筋まで動かしてしまい動くことはあります。hiC以上だと若干連動させてしまいますね。

筋の収縮感覚はないですが、輪状軟骨が動く感じは微妙に感じられます。声帯が引き伸ばされる感じも多少はありますが、大きいものではありません。イメージとしては喉頭下部の両端が前方斜め下に向かって動かすような感じが一番やりやすいですが、実際には輪状軟骨が上に回転したり奥に引っ込んだりするだけです。前筋による伸展の仕組みの記事の通りです。解剖学は偉大ですね。