兵庫県がが26日、「武庫川ダム」の建設を見送る河川整備計画原案を発表しました。
兵庫県篠山市を源流とする2級河川、流域人口は100万人、1級河川も含めた国内の全推計の中でも10番目に多い人たちが住んでいます。この方々を水害から守るためにどうすればいいのかという視点からダム計画も検討されてきました。
下流では市街地より河床が高い天井川になっていることからもその成り行きが注目されてきました。ご多分にもれず本体工事に着手すれば285億円を要するとのことてす。ここでは金額面とは別の「治水」面の考え方を記しておきます。
この武庫川、上流から下流までの高低差が比較的少なく、地形や動植物などの自然も貴重な材料が転がっていることでも知られます。これらの自然をどう保護していくのかという視点も忘れられません。
流域の人たちを水難からどう守るのか、自然をどう守るのか、どの治水計画でも悩むところです。
今回の選択では、「集中か分散か」という考え方の「分散」の選択を取ったと言えるでしょう。
ダムを造ることは水をダムに集中させ治水を行うということでしょう。溢れる水を大きな瓶に溜めて下流に一気に流れないようにする方法です。この場合、環境対策への合意形成に何十年も要する、工事にも時間がかかるといういつまで我慢しなければならないかという問題が生じます。
もう一つが「分散」という考えです。こちらはダムのような一つの答えではなく「できるところからやっていく」という考え方です。例えば流域に遊水地を造るという発想があります。武庫川上流浄化センターです。あるいは学校や公園の用地を活用した雨水を受け止める方法もあります。そのほかにも少しずつ水をどう溜めどう逃がすかという方法を流域みんなでやっていくという考えです。その中には大地に水を溜め少しずつ出てくるような自然を構築するというのも含まれるのでしょう。
このためには流域でみんなが水害のリスクは必ずあるということを共有する必要があります。それに備えた避難や防水にも力をいれることになります。情報などソフト整備も必要でしょう。
何十年か先にできあがるものよりも、少しずつ対策を行っていく、そういった分散した流域全員の総知を集めた対策も注目と言うところでしょう。
「集中と分散」、企業の活動にも通じるテーマでないのでしょうか?
今日のキーワード
”分散し少しずつが最も早い方法かも”