注意
当、創作妄想2次小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください。
《ダーリンは芸能人LoveDuet》は、京介くんのキャラ設定がこれまでの彼と違いすぎるということを聞いたので手を出してません。
そのため、《ダー芸LD》しか知らない方は恐らく当創作に出てくるキャラたちとイメージが合わないかもしれないことをご了承の上、お読みください。
Staticeの花言葉とともに with 中西京介⑦
★
《ダーリンは芸能人》妄想2次小説短編vol.43
2~3分ほど固まっていただろうか。
部屋の外で名前を呼ばれていることに気付き、私はすぐにAスタジオに向かった。
スタジオの真ん中近くにwaveのみんながいるのを見つけると同時に、京介くんが私を見つけてくれたのか手招きする。
「京介くん」
「……あれ? さっきとちょっと雰囲気違ってみえるけど。 メイク直した?」
「あ…、これね、さっき……」
ほかのメイクさんに直してもらったことを言おうとしたとき、SAYAさんが私たちに近づいてきた。
「きゃー、海尋ちゃん久しぶりー。 元気だった?」
そう言って私にハグするSAYAさんは全てがシークレット扱いになっているミステリアスなカリスマ・モデルであり、女優やMCもこなすマルチ・タレントさんだ。
そして、実は京介くんのお姉さんであり、また、実生活では女の子のお母さんでもある。
もちろんこれはほんの一部の人しか知らないトップシークレット。
さらにミステリアスでクールとも言われているが、ご本人は至って普通の明るい女性だ。
「SAYAさん、紹介したい人って?」
そんな声と同時に彼女の後ろから現れたのは、ほんの数分前に別れた桜城京谷さんだった。
私はお礼を言うのを忘れていたことを思い出し、
「先ほどはありがとうございました。 お礼も言わないままですみませんでした」
と、頭を下げた。
すると今度はSAYAさんが目を丸くして言う。
「あら、いつの間にか会ってたのね」
「あ、さっき、椿さんって人にメイクの手直しをお願いしてくれて…」
「まぁ。 椿くんにも会ったの?」
「はい」
「椿くんは表参道の『camellia』のオーナーさんでスタイリストもやっててね、私もお世話になってるのよ」
「えっ、『camellia』のオーナーさんって予約取れないって聞いたことあります!」
「イイ男でしょ、カレ!」
そう言って盛り上がってしまうが、SAYAさんは今度は意味ありげな視線を京介くんに送る。
京介くんはムッとしながらもそれ以上何かを言うことはせず、だけどその代わりに亮太くんがポンと手を叩きながら言葉を継いだ。
「あー、そういうコトだったんだー!」
「え?」
「さっき名札が下がってない部屋の前通ったさー、桜城さんが出てきた部屋から海尋ちゃんも出てきたの見たから何事かと思ってー。
僕、てっきり~」
そこで続きの言葉を止め、SAYAさんと同じように意味ありげな表情で私と京介くんを見る亮太くん。
そんな言い方されると私と桜城さんに何かあったように聞こえる…そう思って何かを言おうとしたけれど、スタッフさんたちの呼びかけによってそれは中断せざるを得なかった。
京介くんがとんでもない誤解をしていなければいいけれどと思いながら、私はスタッフさんたちに指示された立ち位置に着くことになった。
(あとでちゃんと説明しなきゃ…)
内心焦っているとき、ふと京介くんと目があった。
彼は何か言いたげな表情を浮かべ、でもすぐに視線を外してしまう。
ヤバい、と思うと同時に特番開始のカウント・ダウンが始まった。
京介くんのことがどうしても気になりつつも、番組の進行を妨げないように意識を集中させる。
カウント・ダウンがゼロになったとき、今年度のメインMC役の人たちが25時間特別番組の開幕を告げた。
年に一度のお祭り騒ぎということで、初めっから誰もがハイ・テンションだ。
そんな中で始まったのが、現役カリスマ・モデルたちによるミニ・ファッションショー。
桜城京谷さんが立ち上げたメンズ・ブランドやリアル・クローズドをコンセプトとした『Enchanted』の新作発表会といったところか。
洗練された衣装に身を包んで特設ランウェイを歩くSAYAさんたちカリスマ・モデルは見る人の目を奪う。
そして、ファッション・ショーが終わると今度は各ブランドのチーフ・デザイナーさんたちとのトーク・ショーが始まる。
SAYAさんを中心に展開されたトーク・ショーは同じ仲間同士の気楽さもあってか、普段聴けないような貴重な話題で盛り上がった。
補助的MCだったために台詞も少なく、圧倒されっぱなしだった私もSAYAさんのフォローなどに助けられ、何とか無事に終えることが出来た。
「ありがとうございました! お疲れさまでした!」
番組を終えて引き上げるモデルさんたちに頭を下げてお礼の言葉を言うと、SAYAさんから労わりの言葉と「まだまだ長いけど、頑張ってね」という励ましの言葉をもらう。
もう一度頭を下げて、私はみなさんが退場する背中を見送った。
と同時に、慌ただしく撤去作業が始まり、また、次の番組のための大道具が搬入され始める。
そんな中、
「海尋ちゃーん、次はBスタだよー!」
とスタッフさんに声を掛けられ、慌ててBスタへと走る。
5分ほどの報道フロアからのニュースのあとにBスタで始まるのは、F局の長寿歌番組の特番であった。
いつも以上に豪華な顔触れで、しかも特別なセット。
その中でも今回の目玉となるのはスター・プロモーション所属の男性アイドル51人によるスタプロ・メドレーだ。
現在活躍中のほとんどのグループが出るらしく、各ファンクラブ限定で特別観覧募集がされていたようだが、その当選倍率はほぼゼロに等しかったと聞く。
これから先、他のTV局も含めてこんなに企画があるかどうかはわからないこともあり、倍率が異常なほど跳ね上がったみたいだ。
そして、私もwaveのいちファンとしてそれを楽しみにしているのは言うまでもない。
時刻通りに始まった特番は順調にすすみ、自分の出番を終えた私はそのままの姿で特設会場を目指してひた走る。
スタプロのマネージャーさんが特別にステージ袖での観覧を許可してくれたのだ。
突然の爆音とともに始まった、スタプロ・メドレーは。
スタプロ所属のメンバーがグループの垣根を越えて、特設ステージで縦横無尽に歌とダンスを繰り広げる特別バージョン。
特別観覧のファンの子たちもかなりのハイテンションで、それぞれ支持するグループの順になると更に熱のこもった応援合戦が繰り広げられていく。
次から次へと展開していくメドレーの中でも、wave以外の歌とダンスを完璧にこなす京介くんの雄姿に私の心も感動で震えっぱなしだ。
(京介くん、すごい…!)
自分たちのツアーの練習だけでなく、この特別ステージのための練習も懸命にやってたのを知ってるだけに、感動もひとしおだ。
私は心からのエールを彼に贈った。
~ to be continued ~