短期金融市場で、日銀の金融調節スタンスに関心が集まっている。政府・日銀が6年半ぶりとなる為替介入に踏み切ったことを受け、増加する円を相殺するかどうかの「不胎化」をめぐる気迷いがくすぶっている。

 注目されているのは、日銀が16日午後の金融調節で通告するとみられる「先日付」の公開市場操作(日銀オペ)。今回、政府・日銀が日本単独で実施した円売り介入は、2営業日後のスポット取引とみられ、実際に決済される17日の資金需給に影響する可能性があるためだ。

 日銀は、政策金利である0.1%の超低金利で資金を貸し付ける固定金利オペに加え、金利方式の供給手段を巧みに使って資金供給の実務を行っている。金利方式のオペでは、供給資金をロールオーバーするかどうか、満期を迎える前日に通告することが多い。

 日銀によると、17日が期日となる金利方式での供給額は1兆円に上る。市場には「同日の資金余剰分(予想ベースで3000億円)や為替介入額を加味すれば、非不胎化の分水嶺は8000億円程度ではないか」(短資会社)との見方がある。

  <短期債需給、懸念も>

 国庫短期証券をめぐる需給悪化の懸念も急浮上している。外為特会の負債である政府短期証券(FB、現在は国庫短期証券と統合発行)について、国は、公募入札で札割れしたり、国庫に予期しない資金需要が生じた場合、日銀が例外的にFBを引き受けるよう定めている。

 有事のたびに市中消化を余儀なくされては、到底間に合わない。このため、日銀が当座の資金繰りを引き受ける構図となっている。

 ただ、日銀が引き受けたFBについては「国が可及的、速やかに償還する」(財務省)ことになっており、結局、市中消化額の増加は避けられない。今年度の外為FB発行枠145兆円に対し、6月末時点の発行残高は110兆円程度となっており、「介入規模によって国庫証券の1回の発行量が5兆円台になるのは必至」(国内金融機関)との声も出ている。

ロイターより