私たちが苦しんでいるこのSLAPP裁判には、じつは、説明しはじめると長くなる、複雑な背景があります。

 

まず、私たちを訴えた側は、私立精神科病院御用組合連にのっとられた組織です。

のっとられた、ということは、元々は違ったということ。

 

「国家の治安維持」を民間で肩代わりする特権を与えられた、つまり「精神医療」を担う、この国の私立の精神科病院のほぼ全てが加盟している某巨大団体が実効支配する医療系諸団体のうち、「心理職」部門の全国組織があります。

このブログでは「御用組合」ともっぱら呼んでいます。

 

その幹部とかれらに操られている数名※の人たちが、精神科医療領域での心理職の利権の確立とそれに伴う生活の安定を求めて、ここ20年余り水面下で(しかしそれなりに活発な)政治運動をやってきました。

 

※SLAPPを提訴した原告組織の代表をいま名乗っている会長さんは、操られている方に入るんじゃないかと思います。でも彼も、児童ディ事業で収益を得ておられるので、国の制度の利権の恩恵にあずかっている側のお仲間です。

 

病院内でほぼ唯一国家資格が無く、保険点数も稼げない心理職が冷遇されている現状からその運動は、あくまでも「労働運動」として正当なものだと思います。

 

しかしズルいのは、精神科医療にかかっている患者さんや社会的弱者や女性やLGBTの人たち少数者に寄り添って、「共に歩」む、他の学会とは違う学会だと表向きのアピールをして、それを自分たちの利権獲得運動の隠れ蓑にしてきたことです。

 

でも、実際は、社会的に著名な事件は別にして、法律や制度の矛盾に抑圧されて苦しんでいる無名の個人が、この学会に救いを求めても、「個人の問題には学会としては関われない」と執行部内の多数決で門前払いです。事務局長を務めていた時にすらっぷにゃんも、知人や教え子の窮状を学会組織で支援して欲しいと訴えたことがありました。でも、他の役員さんたちは耳も貸さないか、「会員じゃないと支援できない」とかと、その場しのぎの理由(実際、会員が文書で出した正式な支援要請にも、金口さんは、慇懃無礼に蹴っ飛ばしています。)を言って、一度も聞き届けてもらったためしはありませんでした。

 

そんなふうな二枚舌の執行部多数派は、同じ執行役員からの疑問の声や抗議があっても、黙殺します。うかつに返事をすると議論になって、筋の通らないことを実際にしている自分たちの不利になることを恐れていたのではないかと思われます。

 

しかし、弱い立場や少数者の話しを親身に聴かないばかりか全く無視するという、この団体が掲げてきた看板とは全く正反対の態度を長く続けていると、当然、内部から反発が起こってきます。

 

そこで、2年前の定期総会で、とうとう、大きなできごとが起こりました。

執行部から追い出された元役員、この学会が掲げて来た理想と行動を一致させたいと願う人々、現在の精神科医療への疑問を抱く心理に限らない多種の専門職や不適切な精神科医療で深刻な被害を受けた元患者の人々、この団体が、自分たち個々の苦しみや思いを世の中に伝える姿に戻って欲しいと願う会員たち(この学会は誰もが正会員になれます。)が立ち上がったのです。そして、その言葉を代弁してくれる役員を、総会で行われる役員選挙で選ぼうとチャレンジしました。

 

しかし、組織操作に手慣れた御用組合の人たちはとてもしたたかでした。自分たちの側が絶対的な少数派であることが分った時点から、阿吽の呼吸で、モグラたたきのモグラよろしく数名が多数を装った(それが後ほどかれらが編集した逐語録でのマジックとなっています)ヤジや議事を停滞させる動議などが噴出し、私たちが多数決で選んだ議長の實川幹朗さんに十字砲火を浴びせ、議事を妨害しました。

 

そのため、議事がものすごく長引いて、選挙の投票の直前で会場が閉鎖され、総会直前までのお膳立てをした「21期運営委員会」が、實川議長からの定期総会再開提案を蹴って、総会を流会(つまり自分たちが少数派に転落した力関係自体をちゃら)にして、臨時総会の日取りと場所(東京)を一方的に提示してきました。

 

私たちの味方は、東京、千葉、神奈川、愛知からも来てくださっていたのですが、関西の人が多数を占めていました。お薬の後遺症で体調が優れなかったり、経済的にも遠出は困難な人が多いことを見込んで、御用組合本部のある東京での開催と決めたようにも思われました。

 

そして、その御用組合が肩入れした「臨時総会」が開催され、實川議長と選挙管理委員として選挙再開を訴え続けたすらっぷにゃんは永久除名されてしまいました。私たちは、かれらに都合良く記された除名理由への異義申立て書を会場で配って、この集会を正式な学会の総会としては認めない立場を示すため、泣く泣く退席しました。

 

もちろんその前に、私たちは、「この集会が、そもそも正しく成り立っているのか」という異義申立てや意見を述べたいと求めたのですが、大音響のマイクでの議事が進められて、私たちの声はかき消され、私たちの思いは押しつぶされてしまいました。21期運営委員長も、21期運営委員会が選んだ議長も、私たちの言葉が全く聞こえてないかのように、どんどんと非情に議事を進めていったのです。

......その3ヶ月前に實川議長はそのような会場からの発言を全て無視せずに拾い上げて応答したために、議事が長引く結果となったのです.......、その時とこれはまったく対照的でした。

 

しかし、實川議長やすらっぷにゃんを永久除名するということは、謂わば虎と負けん気猫を野に放したことにもなります。これまでは内部への告発だったのが、これからは<社会への内部告発>をおおっぴらにさせてしまうおそれがあったのでしょう。

 

いままさに、これから、御用組合とそのお仲間のみなさんは、公認心理師法を最大限利用して新たな美味しい利権を、精神科医療既得権者(つまりドクターとそのコバンザメの皆さん)と「共に歩み」「共に生きよう」としているんです。

その二枚舌の隠れ蓑を、すらっぷにゃんらにカリカリと爪を立てられ少しでも傷が付くと、親方の私立精神科病院連合ホオジロザメ様お歴々への顔が立たない。

 

いまや、御用組合連中が、本当は精神科の患者さんたち社会的弱者の味方ではなかったことがバレバレになってしまいました。弱い立場の人たちを自分たちの飯の種にしている理由を、「だって私たちはその人たちではなくて『専門家』なんだからね!『共に』というのは、私たちがその人たちとは同じだと言ってるんじゃないんだ。私たちがその人たちに『してあげる』(上から目線の)前提からの<共に>なんだよ」っていう本音が暴かれてしまいました。そして、弱い立場の人たちの声を押しつぶし踏み台にした利権追求の本性を、現さざるを得なくなってしまった

 

それが、この私たちの口封じを目的とするSLAPP提訴だったのです。