▷アップルの創業者のスティーブ・ジョブズの死の謎について、崎谷先生の本から抜粋したのですが、かなり反響があった。

そこで、フルータリアンがどうして膵臓を病むことになるのか、すこし調べてみたら、糖質制限食で有名な江部康二先生のブログの中に、そのヒントになるものがアップされていた。

失礼だが、抜粋を引用させて頂く。

私は、果糖というのは点滴の糖とも言われていて、インシュリンを使わずに細胞内に入れる糖分ということで、膵臓を返って休める糖分だと思っていたのです。だからフルータリアンが膵臓を痛めるということのメカニズムがわかりませんでした。

すこし、調べてみると、「アライブサプリメント」さんのブログに、次の記述がありました。

◎お菓子を含む加工食品や甘味飲料に広く使用されている果糖が、がん細胞の成長を促すことが分かりました。

◎果糖の主な供給源は、比較的安価で、輸送が簡単、そして食品の湿度を保つことから、過去30年間に恐ろしいほど劇的に使用量が増加した甘味料のブドウ糖果糖液糖(コーンシロップ)です。

◎新しい研究は、すい臓がんの悪性細胞は、細胞分裂を促進する主な細胞経路を活性化して腫瘍を素早く成長させるために、果糖を使うことを発見しました。
(  アライブサプリメントより転載)

より詳しくは以下のリンクからどうぞ。


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http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-426.html

果糖の代謝は特殊



果物に含まれている糖質は、果糖、ショ糖、ブドウ糖です。この中のショ糖は、果糖とブドウ糖から構成されています。市販されている砂糖の主成分がショ糖です。

皆さん、果物の糖質は、全て果糖と思っていませんでしたか?

実は、私も当初はそう思っていましたが、実態は違うのですね。

例えばリンゴ1個(約240g)の
カロリーは約150kcalであり、
ビタミンC含量は8mg、
遊離糖含有量は35.6g
(果糖:18g、ブドウ糖:6g、ショ糖:9.6g、ソルビトール:2g)、
水溶性食物繊維含量は0.95g、
不溶性食物繊維含量は2.95g

くらいだそうです。

さて、その果糖ですが、実に面白い性質をもっていますので検討してみましょう。

まず、
果糖は、ブドウ糖とは代謝経路が全く異なっています。

そして、果糖のGI(血糖上昇指数)は20くらいと低いです。

果糖の代謝経路は特殊で、10%がブドウ糖に変換され吸収されますが、残りの90%は、果糖のまま吸収され、肝臓でそのまま直接代謝されます。

ですから、果糖は血糖値をほとんど上昇させず、インスリンの分泌もほとんど促しません。

つまり、果糖のGI値が低いのは、果糖が「ブドウ糖として」利用されるのはごく一部であるからであり、果糖の吸収速度が遅いからGI値が低いというわけではありません。

消化吸収されて肝門脈に流れ込んだ果糖は肝臓で、ブドウ糖より速く解糖作用をうけます。

これは、ブドウ糖が解糖系に入って代謝されていく時には、ホスホフルクトキナーゼという酵素が必要なのですが、果糖はこの段階をバイパスして、速やかに解糖系に入って代謝されるからです。

肝臓に取り込まれたブドウ糖、果糖は解糖系、TCAサイクルを経てATP産生に消費され、余分なものは、グリコーゲン、中性脂肪に変換されます。



肝臓のグリコーゲン蓄積には限りがあるので、ブドウ糖より速やかに代謝された果糖の代謝産物により、

脂肪酸合成が促進され、中性脂肪の合成が亢進し、高中性脂肪血症となります。

血糖値の、上昇をみるGI値では、
ブドウ糖>砂糖>果糖」ですが、

中性脂肪値の上昇速度は、「果糖>砂糖>ブドウ糖」となります。

ですから、果糖は、ブドウ糖に比べれば血糖値はほとんど上昇させませんが、中性脂肪合成を促進させ、太りやすい性質をもっています。

果物の糖質の主成分は果糖ですので、血糖値はパンや米など穀物より上昇させにくいですが、中性脂肪に変わるという意味では多く摂ればやはり太ると思います。

もともと少食タイプの糖尿人が、糖質制限食で血糖コントロールは良くなったが、痩せて力が入りにくいというような場合は、この性質を逆手にとって、甘味料に果糖を使うのもありと思います。

勿論、通常の糖尿人やメタボ人には、甘味料はラカントSなどがお奨めですが・・・。

農耕以前の人類は、来るべき冬の食糧難に備えて、実りの秋に果物を摂取して、効率よく中性脂肪を蓄えていたというのが私の仮説です。

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今回のブログは「ハーパー・生化学」
原書27版、上代淑人監訳、丸善株式会社、2007年などを参考にしました。

江部康二

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引用おわり

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